ソロデビュー20周年を記念し、2枚組ベストアルバム『J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> [W.U.M.F]』をリリースするJ。常に熱く心の炎を燃えさからせているJが至上命題としていたのは、過去の寄せ集めではなく“今”に軸足を置き、未来へとつながる作品にすることだった。
取材:大前多恵

“過去の寄せ集め”ではなく“今の俺”
に近いものにしていきたかった

ソロデビュー20周年、おめでとうございます!

ありがとうございます。97年に『PYROMANIA』というソロアルバムを出したのがスタートで、そこから数えて20年ですからね。あっと言う間だったけど、振り返ってみるといろんなことがあったし…平坦な道ではなかったとは思うんです。ただ、その全てが今のこの自分自身のエネルギーに変わっていっているので、すごい時間を過ごせたなとは思いますね。昔を振り返って“この時はこうだったな”とかノスタルジックになるような性格でもないので、こういう機会は逆にいいですね(笑)。

全31曲というフルボリュームですが、リクエスト投票の上位曲を中心に選曲をされたのですよね? 

過去にベストアルバムというものを2回ほど出しているので、当然、それとは全然違うものにしたいという想いがまずあったんです。それでスタッフたちと話していくうちに出てきたアイデアが、リクエスト投票案なんです。実は俺自身、最初はちょっと“うまくいくのかな?”という不安もあって。でも、考えてみると確かに、自分のことって自分自身が一番よく分からなかったりするじゃないですか。もっと言えば、この20年というのは俺自身の20年でもあるけれど、ライヴで盛り上がってくれたり、LUNA SEAを通してずっと見てくれたり、そんな俺の歴史の全てを見てくれたみんなの20年でもあるから。だから、俺ひとりで作るより、みんなの意見が入っているアルバムのほうが、よりこの20年を表してくれるものになるんじゃないかと思ったんですよね。最近のライヴだと“Jさん、俺LUNA SEAって観たことないんですよ”というような新しいファンもいて。そんな世代のみんなの意見も入っているし。そういう意味ではまさしく“今”の俺のベスト・オブ・ベストになると思ったんですよ。

実際に投票が進んでいくにつれ、“えっ、この曲にこんなに票が入るんだ!?”とか、意外に思われることもありましたか?

いろんな時代のいろんな曲をみんなが聴いてくれていてね。それと、ここ最近のライヴでプレイしてる曲たちをピックアップしてくれることが多かったのは嬉しかったですね。ベストアルバムって普通に考えれば、昔を寄せ集めているものじゃないですか。でも、そのリクエスト結果を見ると“今”を表わしてくれるものになる手応えがあった。まさに自分が思い描いていた、最高なベストアルバムのかたちになるって、その投票を見ながら思ってましたね。

ライヴ活動をコンスタントにしていて、楽曲を育て続けていらっしゃるJさんだからこその結果では?とも思います。

自分自身も昔と今を隔てることなく曲をプレイしてきたつもりだし、相変わらず1stアルバムの曲も何曲もプレイするし、そういう部分がみんなに響いてるとすれば嬉しいですね。もともと俺はLUNA SEAで作曲に向かう時も、風化しない、いつまでも燃え上がっているような曲を書きたいと思っていたから。

スピード感あふれるアグレッシブな曲が詰まったDISC1、メロウなバラードやミディアム曲を収めたDISC2と2枚組になさったのには、どんな想いがあったのですか?

このアイデアも実はスタッフから最初に出たアイデアで、最初はやっぱりちょっと想像が付かなかったんですよね。でも、よく考えると今の時代、いろんなCDの聴き方ができるじゃないですか。自分で曲順だって決められるし、曲を飛ばすことだってできるわけだから。だったら、逆にそういったコンセプトをこっちが明確に示してコントラストを付けるのは、違った楽しみ方ができるようになるし、いいんじゃないかなって。

一般的には、Jさんの激しいロッカー然とした面が印象としては強い気がするんです。その面しか知らないリスナーに向けて、DISC2は“こんなロマンチックな面もありますよ”という、いい提示の機会なのかなとも感じました。

まぁ、アルバムを代表してMVを作る曲やリード曲は、勢いがあって弾けるようなテンションの曲にどうしてもなっちゃうじゃないですか。でも、俺、これは昔から思ってるんだけど、ハードな音をやってるからと言って、ずっと怒ってなきゃいけないかというと、“そういうことじゃねーだろ”みたいな(笑)。

ずっと不機嫌でいる必要もないですよね(笑)。

パンキッシュな音だからといって、何かにずっと歯向かってなきゃいけないかというと、決してそうじゃなくて。怒ることはあっても、ロックってその感情だけじゃないし、楽しいこともあれば、誰かを愛する時もあるし、悲しい時ももちろんあったり。そういうたくさんの感情が曲にも絶対的にあるべきだよなと常々思っている人間なので。今回、俺のそういった面を知ってもらうには、いいタイミングかもしれないですよね。ハードでヘヴィな曲、ロックの過激な部分も大好きだけど、ミディアムテンポでメロディアスで…という曲も絶対的に自分の中の引き出しに自然にあるんです。その両方が立ってないといつもバランスが取れなかったし、“それがまさに俺だ”ということだと思います。

完全再録した「ACROSS THE NIGHT」の他、ヴォーカル新録が6曲も。なぜ新しく録ろうと思われたのですか?

リクエストの結果がどんどん出始めて、曲をピックアップしていく段階で、“今の自分だったらこうできるのにな。こう表現したいな”というものが増えていったんです。ベストアルバムを“過去の寄せ集め”ではなく、“今の俺”に近いものにしていきたいからこそ、そうすることで新しい世界を見せたかったし、本来見せたかった世界をより色濃く描き出すことができないかなと。「ACROSS THE NIGHT」に関しては投票数が1位だったからこそ、ヴォーカルだけでなく全てを今のバンドメンバーと録り直すことにして。過去のテイク、過去のヴァージョンを超えるような、さらにもっと血を通わすようなものを作れたらいいなと思ってトライしたんです。俺、過去のテイクも大好きなんですよ。それに、リスナーの立場に回った時、実はリレコーディングとかあまり好きじゃない人でもあって…(笑)。

“もとのまま聴かせてくれよ!”タイプですか(笑)。

そう(笑)。だから、その部分に関してはすごく慎重になったし、過去を上回るものができなければダメだよなと思いながらずっとレコーディングしてた。これは決して消しゴムで過去を消す作業じゃないんだってこと。“まだこの絵は完成してないんだ”という想いに近くて、書き足していく作業なんですね。過去の素晴らしいテイクがあるわけだから、楽しみをもう1個増やすってことなんだよと。実は、このヴォーカルの再録に関しては、過去のテイクもたくさん入ってるんですよ。全部が新しい声ではないんです。コーラスは昔のものをそのまま使ってたりする曲もあったり。

過去と今のJさんのハイブリッドなのですね。

今しか出ない声もあるし、昔しか出なかった声もある、その日しか出なかった声もある。だから、実は“これカッコ良いよね!”という声の今と昔がミックスされてるんです。きれいにすることがゴールではないしね。みんなの20年間も過去のヴァージョンにはギュウギュウに詰まってるわけだから。今回のテイクを聴いて、もし“…ん?”と思ったら、昔のテイクを引っ張り出して聴いてもらうってのもいいと思うしね(笑)。

OKMusic編集部

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