INORAN

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【INORAN インタビュー】
もとにはもう戻らないのだったら
次のところへ行こうよ!

コロナ禍でも活動を加速させ、2021年2枚目という驚異のスピードでアルバム『ANY DAY NOW』をリリースするINORAN。前2作『Libertine Dreams』(2020年9月発表)『Between The World And Me』(2021年2月発表)同様にひとりで打ち込みにて全曲を制作し、三部作の完結編と位置づけている。この時代に漂う不安な空気に寄り添いながらも、光へ向かって一歩足を踏み出すような名盤だ。

作った音楽が
みんなに寄り添ってほしい

5夜10公演からなるライヴ企画『TOKYO 5 NIGHTS-BACK TO THE ROCK’N ROLL』(2021年9月23日〜30日 at LIQUIDROOM ebisu)を完走されました。手応えはいかがですか?

こんな時代なので、まずは無事に終えられたことが一番嬉しいですね。有観客だとやっぱり“ライヴをしてる、生きてる”感覚が強いので、それはすごく尊いものでした。

RYO YAMAGATA(Dr)さんはライヴのためにわざわざフランスから帰国。ソロバンドのメンバーのみなさんとの関係性も良好なんだなと感じました。

また一緒に音を出せる喜びは、あそこにも確実にあって。自分にとっての宝物のひとつなんだなぁと思いましたね。もちろんそれはLUNA SEAも変わらないし。だから、ソロでああいうバンドサウンドを出す時は、やっぱりメンバーは彼らしか考えられない。何事においても完全な確約はない時代なので、だからこそああやってやりきれたのは嬉しいですよね。

一日2公演で1stと2ndのセットリストがまったく違っていたのには驚きました。

最近はセットリストリーダーとしてu:zo(Ba)に考えてもらっていて。なぜかと言うと、悪い意味でのルーティーンは嫌だからなんですよね。自分の中で凝り固まっているものもやっぱりあるから。

ヴォーカルをYukio Murata(Gt)さんに託す大胆な演出もそういう自由さの一環でしょうか?

そうですね。たくさんの可能性を持っているメンバーたちなので。その都度思いつきで言ってしまって困らせてしまう部分もあるんだけど(笑)、僕は彼のヴォーカルが好きだし、彼のバンドも好きだし。ああいうふうに、いろいろと交じり合えればと思います。

MCにも宝物のような言葉がたくさんありました。“コロナ禍でいろいろと諦めなければいけないものもあるけど、残っているものの中に大事なものがあると気づけた”とか。

この2年間でいろいろな経験をして、いろいろなことを考えたりして出てきた言葉ですよね。

“希望を持って生きようと思った”という言葉もあり、それは今回のアルバムに通じると感じています。今作は『Libertine Dreams』と『Between The World And Me』に続く三部作の完結編だと。二部作かと思っていたのですが、最初から三部作の構想があったのですか?

いいえ。同時に作った前二作は二部作なんですね。で、一年ぐらいで開けると思ったコロナ禍がさらに続いて、いろんな意味で疲弊しかけている世の中になってしまって。今年の3月ぐらいに曲作りを始めていたところへ、また緊急事態宣言が発令されたので、“緊急事態になったら作るしかねーな”ということで作り始めました。

バンドサウンドではなくEDM色が強いですが、方向性やコンセプトは最初にあったのですか?

いや。作っていってみないと分からなかったし、思い浮かぶものを紡いでいった感じでしたね。前々作、前作と作り方は同じで、打ち込みでほぼメロディーとサウンドはできています。

それをもとに、ところどころ生音に差し替えたり?

生音に変えたところはないですね。ギターは一音も弾いてないです。

そうなんですね! 歌声は柔らかい声色も目立ち新鮮でしたが、自然にああなったのでしょうか?

自然にですね。歌詞のニュアンスにもよるだろうし。今回は自分の声色をミックス段階でちょっと探求した部分はあります。以前は自分の声に対して、そこまで気が回らなかったんですけど。自分だけがそこにこだわったというよりも、やはり人と一緒に作っているので、そういう人の意見も取り入れながら。前々作、前作からの進化というか、アップデート、ブラッシュアップしていく部分として、そこはやってきましたよね。

今作も全編英詞ですが翻訳を読むと、例えば「No Way But Up」では《僕らは沈まない》《もう上しかない》と、どん底を意識するからこその希望を感じ取れます。

それはものを作る上でずっと心がけていることかもしれないですね。INORANがかかわる音楽をみんなの隣に置いてもらう時に欠かせないっていうか。特に今はそうだと思うしね。作った音楽がみんなに寄り添ってほしいから。

リード曲「Wherever,Whenever」はそういった寄り添う気持ちや、未来から今を振り返る広い視野を提示する希望の光を感じる曲でした。

前作2枚のテーマとほぼ一緒なんですけど、仮に主人公がいたとしたら、映画やドラマのように、主人公がいろいろな経験をして、シーズン1、2と進んだあとに、シーズン3では“次にどこへ向かうか?”とか、もう少しその人の魅力とかを描きたかったし、この三部作でひとつのストーリーにしたかったのかもしれないですね。もうちょっとチャラく言うと、“いい加減、好きな人とどっか行きたくね?”みたいな(笑)。強く願わないと心が腐っちゃうしさ。そういう感じかな?

「Run Away」では“逃げよう”と言っていますしね。“留まっているのではなく、そろそろ次のフェイズに向けて動いていこう!”という感じですか?

そうですね。“もとに戻ったらいいな”と思う時期は終わったというか。“もとにはもう戻らないから次のところへ行こうよ!”ってことしかないでしょと。

だからなのか、全体的に気怠さは感じない作品ですね。

うん。もう愚痴っていてもしょうがないし、どこかのサイトのコメントみたいなのは嫌だし。もうそれにも疲れちゃうわけじゃないですか。“そういうのはもういいんじゃないの?”って。せっかくこんな大変な想いをしたんだから、強く想いたいことは強く想いたいんだよね。特にライヴなんてそうで。この2年の状況があったからこそ絆が強くなったものっていっぱいあると思う。“大事なものが近くにあったよね”と気づいたのがこの時期で、未来からトリップしてきたらそう思うんじゃないかな? そういう考えに早くシフトしたいですよね。地球レベルでこんなにみんなが同じ歩調で進んでいるタイミングってないと思いますよ。それって貴重じゃない? だからこそ、一歩一歩がすごく大事だし。そんなことを考えたりします。

「A Beautiful Mess」では“人生は美しい混乱”だと表現されていて、まさにキラーフレーズだなと。これはどのように生まれてきたんですか?

曲のムードがそういう言葉を導いてくれたとは思うんですけどね。僕がある人にもらった言葉に“ハプニングがあるから人生また楽し”というのがあるんですよ。それに近いんじゃないですかね。平坦なものなんてないし、恋愛でもたぶんそうだし、人生においてもそうだよね。また、ある人はつらい状況になった時に“あっ、面白くなってきたぞ!”と言っていて、“あぁ、俺もそう言える人になりたい”と思ったのがすごく残っていて。その人の温もりを感じるっていうかさ。自分が人生を歩んでいく上で、そういう生き方をしたいと思いますよね。

心に余裕がないと、なかなかそうは思えなさそうですけどね。

そうですね。でも、こういう状況になって、毎日生きている中で、何かあった時に絶対にやっておかなきゃいけない順番が決まったじゃないですか。だからこそ、“これはいらないかもな”というものもいっぱいあるので、誰もが心にスペースが結構できたと思うんですよ。だから、何かあった時のために、そのスペースは取っておけばいいんじゃないのかな? …なんて俺は思った。誰かを助けてあげるために、そのスペースをそのまま空けたままにしておいたほうがいいと思ったりもするよね。まさに俺なんてライヴではファンの子たちに助けられていると思うしさ。そんな自分が返せるものとしては、信じるものを音楽に落としていくっていうことだと思うし。やっぱりライヴでは今のこの状況を忘れるというか、楽しんでほしいっていうのが一番だからさ。泣きたいって言うなら一緒に泣くけど…みんなには笑顔になって帰ってほしいしね。
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アルバム『ANY DAY NOW』

OKMusic編集部

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