水瀬いのり

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【水瀬いのり インタビュー】
ライヴが出来上がっていく過程や
何かを集めていく過程を観てもらう

昨年開催したツアーから神奈川・ぴあアリーナMMでのファイナル公演を収録したBlu-ray『Inori Minase LIVE TOUR SCRAP ART』がリリースされる。そんなツアーに込めた想いや感想、その裏でどんなことがあったのかなどを語ってもらった。

“お客さんである水瀬いのり”に
届けたいライヴ

改めて『Inori Minase LIVE TOUR 2023 SCRAP ART』というツアーに込めた想いだったり、どういうツアーにしたかったかなどを教えてください。

昨年9月にリリースした「スクラップアート」というシングルを引っ提げて開催したツアーで、シングルでは新しい挑戦をしていたので、ツアーも今までと違うことをやってみたいと思っていました。自分の中で“ライヴはこういうもの”と決めていなくて、その時にやりたいことをベースにツアータイトルやセットリストを決めていたのですが、いつの頃からか“1曲目は元気な曲で中盤はカッコ良い曲、最後は大団円”みたいに定番化していたところがあったので、それを壊したかったんです。“1曲目は明るい曲だよね”というみんなの予想を、いい意味で裏切りたいというのが根底にあって。そんな時に「スクラップアート」と出会い、これを1曲目にしたら今までとは違ったツアーになるという確信から、まずは1曲目に「スクラップアート」をやるというところからツアーのセットリストを考えました。個人的には前回の『Inori Minase LIVE TOUR 2022 glow』は等身大というか、自分の好きな音楽や好きな言葉がいっぱい詰まったセットリストで、“私個人”に届けたいと思うツアーだったんです。今回は“お客さんである水瀬いのり”に届けたいライヴで、水瀬いのりというアーティストのライヴを観た衝撃、ライヴ空間でしか味わえない演出を全身で感じてほしくて、ステージセットや演出も前回とはまったく違ったものに挑戦して、“魅せるライヴ”を意識しました。

“スクラップアート”という言葉にかけて言うなら、水瀬さんのライヴを“スクラップ&ビルド”したライヴになったみたいな。

確かにそうですね。『SCRAP ART』というツアーの中で壊したり作ったり混ぜたりして、すでに出来上がったものではなく、ライヴが出来上がっていく過程や何かを集めていく過程を観てもらって、それが最終的に夜明けや光になっていく様子を、みんなで一緒に観測するような感覚でした。だから、ライヴの前半と後半では衣装も私の表情もまったく違っていて、私自身の構え方も全然違っていたから、私が最後で泣いちゃうなんて、きっと誰も思いもしなかったと思います。

ツアーは全6公演で、水瀬さん自身最大規模でした。初日のワールド記念ホールは、水瀬さんにとって関西では初のアリーナ会場だったそうですね。

はい。初日のことはすごく覚えています。前日にゲネプロを行なったので、実質ワールド記念ホールに2日間立たせてもらったんですけど、まず会場の大きさにびっくりして、“初日の規模じゃないだろう!”と思ってすごく不安でした。初日を迎えた時は、いつもそうですけど手足がキンキンに冷えてしまって、グッパッグッパッと手の運動を一生懸命やっていたんですけど、それがヘアメイクさんにも伝染して、女性スタッフみんなで1カ所に集まって“大丈夫、大丈夫”って言いながら身を寄せ合っていました(笑)。

何年やっていても初日はそういう緊張があるものなんですね。

もちろん不安がないようにバンドメンバーやスタッフが完璧にスタンバイしてくれているのは分かっているんですけど、“あとは自分次第だ!”と思うことで余計に緊張しちゃって。こんなに素敵な空間なのに自分が台無しにしてしまうんじゃないかと、それが怖くて怖くて。でも、初日を無事に終えた時は、自信につながったと言うと大袈裟ですが、自分が楽しむことが大事なんだなと思いました。分かっているはずなのに、ライヴが始まるとみんなを楽しませたいほうにスイッチが切り替わっちゃいがちで。でも、終わった時に改めて、自分が楽しいと思っていればそれが伝染してみんなも楽しんでくれると感じています。ファンのみんなは鋭くて、いつも私の感情を考えてくれているように感じているので、私自身が楽しんでいる姿を温かく見守ってくださっているみんなのことを信じようと、初日に改めて気づかされたところがありました。以降もそういうことを意識してステージに立って、その積み重ねで生まれたファイナルだったと思います。

ファイナルは文字どおりツアーの集大成だったと。

はい。私は本当に周りに恵まれていて、みんなやさしいし、いい人だし、それぞれに私が想像する以上に大変な役割があって、私ならもっとピリピリしちゃうようなところでも、笑顔で安心させてくれるし、“何かあったら声をかけてね”と言ってくれて、本当にファミリーだなって思います。最後のMCで流した涙は、そんなファミリーが誰ひとり欠けることなく無事にここまで辿り着けた安堵と感謝の表れだったし、こんなに素敵なチームとファンのみなさんと、ライヴを素晴らしい場所にできたことを思ったらもう…。前にはファン、後ろにはバンドメンバー、横を見るとスタッフがいて、逃げ場がなくどこを見ても泣いちゃう状況でしたから。
水瀬いのり
Blu-ray『Inori Minase LIVE TOUR SCRAP ART』

OKMusic編集部

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