水瀬いのり

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【水瀬いのり インタビュー】
“スクラップアート”という
言葉でしか表現できない

ニューシングルは自身が崎宮ミサキ役で出演するアニメ『デッドマウント・デスプレイ』第2クールオープニングテーマ「スクラップアート」。カオスでありながら美しいメロディーが胸を打つ同曲は栁舘周平の提供楽曲であり、カップリングには水瀬自身が作詞を務めた「くらりのうた」と、その栁舘による“WWW”シリーズの第3弾「While We Walk」を収録。そんな各曲の制作秘話を語ってもらった。

諦めなければ
また輝きを取り戻せる

TVアニメ『デッドマウント・デスプレイ』第1クールのラストは、水瀬さん演じる崎宮ミサキは寝ていて終わってしまいましたね。

そうなんです。もう出番はないのかと思ったみなさん、ご安心ください! むしろ、第2クールのほうがミサキとしてはより生き生きとしていて、初めての感覚にも出会っていくし、新発見と新体験がミサキの背中を押して、心からの“キヒヒ”という笑いを楽しんでいただけると思います。

ストーリー的にはどんな展開に?

三つ巴と言いますか…今までは暗躍というか、思惑がうごめいていましたけど、今回はさまざまな勢力が一堂に会してぶつかり合います。今までが頭脳戦だったとしたら、今回は肉弾戦みたいな感じで、第1クールで浮かんだ謎や疑問が種明かしされていくような楽しみもあると思います。

そんな『デッドマウント・デスプレイ』第2クールのオープニングテーマが今作の「スクラップアート」ですね。

前回の「アイオライト」(2023年4月発表のシングル)はエンディングテーマで、毎回のお話の余韻を楽しんでいただくようなイメージで制作しました。今回はオープニングテーマということで、疾走感があったり、イントロがなくていきなり歌で始まるところも含めて、最初からフルスロットルでたたみかけるイメージで、オープニングらしい楽曲になったと思います。

“スクラップアート”というタイトルにはどういう意味を込めているのですか?

“スクラップアート”は“廃材芸術”という意味で、廃材…つまりガラクタだった存在が作り出すアートです。終わりを終わりとしないところに救いを感じ、希望的な言葉として胸に響きました。『デッドマウント・デスプレイ』に出てくるキャラクターたちも、みんな一度は生きることを諦めたり自分を否定したり、どこか欠けてしまった部分がある存在だけど、諦めなければまた輝きを取り戻せるし、その輝きは最初から完成されたものでは決して勝てないほど眩しいもので。そういう意味で“スクラップアート”という言葉でしか表現できない、各キャラクターの生き様がこの言葉にあると感じます。

作詞・作曲・編曲は栁舘周平さんですが、コンペで選ばれたのですか? それとも栁舘さんに決め打ちで?

指名でお願いしました。これまで何曲も栁舘さんには作っていただいているのですが、アニメタイアップの表題曲をお願いしたことがまだなくて。彼の持つイマジネーションを『デッドマウント・デスプレイ』の世界観とかけ合わせたら、きっとすごいことが起きるんじゃないかと。あと、たくさんの宝物(楽曲)をいただいた恩返しではないけど、栁舘さんの楽曲をもっとたくさんの方に知ってほしい気持ちもあってお願いしました。

アルバム『glow』(2022年7月発表のアルバム)に収録の「パレオトピア」が栁舘さんの提供曲で、「スクラップアート」のDメロには「パレオトピア」のメロディーが使われていますね。

そうなんです。楽曲と楽曲につながりを持たせたり、伏線を張ったり、栁舘さんはそういう遊びが得意な方です。私たちも楽曲にどんなことが仕掛けられているのかと毎回聴くのが楽しみで。

2番の後ろで“ハッハッ”とか“ンンッ”とか聴こえるのも水瀬さんの声ですか?

あれも私の声で、“ンンッ”は咳払い、“ハッハッ”は心臓の鼓動が速くなった時の吐息です。他にも《身を焦がす正しさか 照らし出す優しさか》という歌詞のあとに“ハァ~”と溜息が入っています。歌を全部録り終えてから音声素材みたいな感じで収録したのですが、ヘッドフォンに自分の“ハッハッ”などの声が聴こえてきて、我に返った時は何とも羞恥な気持ちでした(笑)。ただ、まさしくスクラップアートといった感じで、いろんな声や音が材料となって作られています。また、最後の《どうしてここにいるの 傷跡辿って来たんだよ》というサビは、どこが本線なのか分からなくなるメリーゴーラウンド感があるというか。“誰が主役なんだ?”みたいな。一見カオスではあるけど、その混沌とした世界の中に、主人公の四乃山ポルカくんが感じているであろう温度感やスピード感が表現されていて、まさに『デッドマウント・デスプレイ』の世界だなと思いました。

MVもとてもカッコ良い仕上がりでした。廃車とともに撮影していたり。

スクラップの要素としての廃車ですけど、朽ちて動かなくなってしまった姿も絵になるという部分で、スクラップアートというものを感じてもらえると思います。廃車のシーンではライヴで使うようなレーザーを使って、ビルやエレベーターのシーンではグリーンバックも使って撮影しました。MVらしさがふんだんで、こういう撮影はあまりやったことがなかったので、逆に新鮮に受け取っていただけるのではないかと思いますね。
水瀬いのり
シングル「スクラップアート」

OKMusic編集部

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