水瀬いのり

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【水瀬いのり インタビュー】
Dメロからラスサビにかけての
“さらに前を向く感”がポイント

制作の発表がされている4thアルバムからの先行配信曲「REAL-EYES」はTVアニメ『現実主義勇者の王国再建記』第二部OPテーマ。さまざまな困難に立ち向かう主人公視点の前作「HELLO HORIZON」で歌われていた前に進む姿が、さらに一歩押し進められている。そんな同曲の制作の裏側や歌詞に込めた想いであり、ツアー『Inori Minase LIVE TOUR 2021 HELLO HORIZON』の最終公演である横浜アリーナの模様を収めた映像作品についても語ってもらった。

ひとつひとつの歩みが、
ここに重なっている

TVアニメ『現実主義勇者の王国再建記』第二部は、決意や覚悟、迷いを断ち切るみたいなものがテーマになっているそうで、「REAL-EYES」にもそういうものが反映されていますね。

そうですね。一難去ってまた一難というように、国が抱えている問題をひとつ解決しても、さらなる問題がまた待ち受けていて、高みを目指す限りは終わりがないのかなと思いました。果てのないものを目指しながら今できることをやって歩んでいく…第一部のOPテーマだった「HELLO HORIZON」(2021年7月発表のシングル)で思い描いた景色が手に届きそうな距離まで近づいてきたからこそ、さらに先へ走り出せるんだと思います。

「HELLO HORIZON」は不穏なムードのイントロから始まりましたが、今回は歌始まりですね。

実はデモでいただいた原曲はキーがもう少し高く、そのキーで練習してレコーディングに臨んだのですが、ちょっと歌いづらく感じていたんです。そこでスタッフさんとも相談して、頑張って高音を出すのがいいのか、他のアプローチがいいのか検討してみようということになり、当日現場でベストなキーを探っていきました。最終的に原曲よりも少し低いキーにすることで、自分自身も歌いやすくなりましたし、それによって楽曲の世界観もうまく表現できたと思います。ただ、キーが低くなったぶん、少し暗く聴こえてしまう部分があったので、そこは声がくぐもらないように明るい声色を意識するなどして補いました。

いい意味で明るすぎず、サビでパッと開ける感じですね。でも、その開け方は「HELLO HORIZON」の時とは違うという。

そうですね。「HELLO HORIZON」の時は“開いてもらう”みたいな意識で歌っていたんです。周りの仲間たちに自分の存在を認めてもらい、自分はそのままの在り方でいいと教えてもらう。そして、自分では開けなかったものを開いてもらったり、自分では背負えなかったものを一緒に背負ってもらったり、誰かに動かされた自分が歌ったサビだと思っていました。でも、「REAL-EYES」は自分で意思を持って突き進むイメージがあったので、主人公のソーマがみんなよりも一歩前に出て率いるようなイメージで歌いました。

歌詞を読んでどんなことを感じましたか?

第一部の時よりもちょっと精神年齢が高くなっていると思いました。だからこそ、迷いや不安を表現した部分の言葉も大人っぽいのかなと。《「変わることを待つの?」/「変える⽇々を⾏くの?」》という問いかけの部分があるのですが、“「変わるの?」「変わらないの?」”という表現ではなく、もう一歩踏み込んだ表現になっていて、そこから時の流れを感じたというか…すごく大人だなと。第一部で見ていたものとは違う、もっと大きなものを見ているんだと感じました。

鉤括弧で括られた問いかけの部分が何カ所かありますが、ここは自問自答という感じですか? ソーマの中に別のソーマがいて語りかけているみたいな。

そうですね。アニメ本編の中でもソーマが今まで行なってきたことを振り返って後悔したり、本来の自分を見失いそうになるシーンがあるので、そことリンクする部分です。心の中の自分が歌詞のように問いかけてきたんじゃないかと思います。

歌詞で特に注目してほしいところはありますか?

《ぼくに できることを》から始まるDメロです。「HELLO HORIZON」がなければ歌えなかったフレーズだと思うので、Dメロからラスサビにかけての“さらに前を向く感”はぜひ聴いていただきたいポイントですね。

“REAL-EYES”と書いて“リアライズ”と読むタイトルは、歌詞にも出てくる“実現する”とか“現実化する”という意味の“Realize”にかかっていると思いますが、具体的にはどういった意味が込められているのですか?

真実を見る目や嘘のない目、魔法やファンタジーではない現実の目など、いろいろな意味にとらえられると思います。時には目を背けたくなるような現実にも目を向ける、ソーマの置かれている状況ともリンクする言葉なので、そこから逃げないという意味でも『現実主義勇者の王国 再建記』のOPテーマとしてぴったりですし、第二部の物語が進んでいくと歌詞の意味や楽曲の持つメッセージ性がより理解できるのではないかと思います。

歌詞に出てくる《夢を二度と蕾で終わらせない》というフレーズは、水瀬さんとファンのみなさんにとってはすごく大切な言葉なんですよね。

そうなんです。デビュー曲のタイトルが“夢のつぼみ”なので、最初に歌詞を読んだ時に“入ってる!”と思ってハッとしました。文脈としては何気ないフレーズですけど、水瀬いのりにとっては掛け替えのないワードなので、作詞のRUCCAさんもそうしたことを重ねて書いてくださったのかなと思って嬉しくなりました。ひとつひとつの歩みがこの「REAL-EYES」に重なって、一枚目がなければ今はなかったことを証明しているようなフレーズが胸に響きました。

そして、MVには白い衣装と黒い衣装の水瀬さんが登場しているという。

MVの中で黒の衣装を着たのは初めてなので、ちょっとドキドキしました(笑)。でも、普段のリアルな私に近いのは、どちらかと言うと黒のほうです。白やフワフワした感じの服はあまり持ってなくて…白で持っているのはパーカーくらいですね。だから、着心地的には黒のほうは安心感がありました。でも、ファンのみなさんにとっては黒は新鮮なんじゃないかなと思います。

白と黒というのは二面性みたいなものを表現しているのですか?

先程お話しした、自分が自分に問いかけている歌詞を具体化させているようなイメージです。MVの途中で黒の自分がふたり同時に出てくるのですが、“もしこうしていなかったら”や、“こっちの道を選んでいたら”というような姿だと思っています。そこは同ポジ(カメラの位置を変えずに複数の撮影をする手法)で撮影しました。さらに顔に光を当てて影を作るシーンでは、一番聴かせたいところと影がちゃんとリンクするように、カメラクルーのみなさんが細かい調整をしながら試行錯誤してくださいました。

スタッフの熱量を感じますね。

撮影当日は底冷えするような寒さだったのですが、最初はダウンを着ていたスタッフさんも最後のほうはTシャツ姿になって、汗をかきながら頑張ってくださいました。その頑張りで完成した映像なので、たくさんの方に観ていただきたいですね。
水瀬いのり
配信シングル「REAL-EYES」
Blu-ray『Inori Minase LIVE TOUR HELLO HORIZON』

OKMusic編集部

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