【INTERVIEW:Novel Core】
“No Pressure” は
“プレッシャーがない”という
意味ではない
「元々、日高さん(SKY-HI)とは17歳の時に出会いました。僕がMCバトルとかに出てるのを見てくれてて、ご飯に連れてってもらったりライブに出させてくれたりとか、楽曲にも誘っていただいたりみたいなことがあって。で、2020年の4月、自主制作でアルバムを一枚作っていた時期にそれを見てた日高さんからアルバムを出す直前くらいですかね、「自分がサポートすることでより才能を開花させられる自信みたいなものと、今自分が作ろうと思っているBMSGというマネジメント/レーベルにNovel Coreっていうアーティストがいてくれるのは理念としても大きい」というお話を都内の焼肉屋さんでいただきまして」
――焼肉屋さんだったんですね(笑)。その時のお気持ちは?
「とにかく嬉しかったっていうのが一番ですね。そもそも日高さんみたいな人が先で走ってくれてたから自分は音楽を諦めずに続けてこれたと思ってますし、そういう人から才能や将来に対するビジョンの明確さを買ってもらって。日高さんにとっては「BMSGの設立自体が人生史上、最も全てをベットしたみたいな大挑戦だ」っていうお話をされてたので。その人生を賭けた勝負の一発目を自分に任せてもらえるっていうのはすごく嬉しかったけど、と同時に「自分がそこをちゃんとクリアできるのかな」っていう思いはありましたね」
ーーBMSGへの所属は『SKY-HI 実家ワンマンライブ』での発表となりましたね。
「日高さんはコロナ禍に応じたアクションがすごく早かった印象がすごくあって。ライブが有観客でできないってなった瞬間に配信ライブの方向で何か面白いことができないかっていうのを常に模索していたので。「実家からワンマンやってそこで発表するわ」ってお話をいただいたときは、すごく腑に落ちたというか。「ああ、なるほど、実家ですね!」って。確かに日高さんが生まれ育った場所で自分の人生を賭けた大勝負の発表をするっていうのは、普通にライブの演出として見てもスゴくかっこいいなと思いました。「すげえことやるな」って、とても納得しましたね」
――ライブについてですが、初ワンマン(6月3日 KT Zepp Yokohama)を終えたことで、何か心境の変化があれば教えていただきたいです。
「ライブは1から全部自分でディレクションをしてきてて、”自分のアイディアで作る”っていうのをやってきたタイプなんです。でもこのワンマンくらいから、人を心から信頼できなかったという部分が少しづつ解けていって…。今は明確にチームのスタッフさんを心の底から強く信頼していて、自分自身も自分の不完全な部分をちゃんと許せる心の余裕ができてきたので、すごく心が楽になっていきましたね」
――ファンの前に出る時に気をつけていることはありますか?
「”カッコつけない”ですかね(笑)。媚びることは絶対しないですし、テレビに出ようが雑誌に出ようが、”常に自分自身でい続ける”っていうこと。ファンの前でも等身大でいるっていうのは意識しているかもしれないです」
「「弱さを知る者にしか語れない強さ」と「ネガティブを味わった人にしか歌えない本物のポジティブ」をテーマに作った作品です。ネガティブなことが起きた時にそれを嫌なものとして捉えてしまうことってきっと誰しもあると思うんですけど、そのネガティブな経験があったからこそ本当の意味でポジティブになれたり、身近にある幸せや自由さに気づけるっていう”気づき”から制作していったアルバムです」
――メッセージとして、歌詞を作る上で大切にしていたことって何でしょうか?
「素直っていうのはすごく大事にしてた。スケジュールがタイトだったからこそ考える隙を与えられなくて、等身大の言葉がスッと出てきて、そのまま歌になったっていうのは自分的に嬉しかったですね。本当に心の奥底にある言葉をストレートに出すっていうのは意識して作りました」
――その、素のCoreさんを最も色濃く表現できた曲はどれになりますか?
「これはやっぱりアルバムの一番最後に入ってる「Untitled」ですね」
――特に気に入っているフレーズがあったら教えていただけますか。
「サビの《こんな静かな日でも僕達は 今を口ずさんで》という歌詞ですね。この曲のテーマが、”もし明日この命が終わってしまうとしたら、今日自分は一体何をするだろう? ”っていうのをテーマに書いた曲だったので。自分の今持ってる大切なもの、捨てたくないものを一個一個削ぎ落としていった時に最後に残るものが、音楽であってほしいっていう思いがあって作った楽曲だった分、自然とこのフレーズが出た時は、例え誰かに聞いてもらえない状況に立たされたとしても音楽を作り続けるし、音楽を心の底から愛してるというのを再確認できたフレーズで、自分のアーティスト人生にとっても大きかったなと思ってます」
――素敵ですね。「独創ファンタジスタ」についてもお訊きしたいのですが。
「例えば妄想とか、想像上の世界ってすごく自由じゃないですか。自分をスーパースターにすることもできるし、自由な発想で生きられると思うんです。現実世界も、実は自分自身が自分の限界を決めてしまってるだけで、やろうと思ったらなんでもできると自分は思っていて、その想像上の世界と同じくらいたまには振り切って自由に自分を描いてみてもいいんじゃないかっていうのをテーマに作った楽曲ですね」
――想像の自由を歌った曲として、MVの中で謎の女性コア子さんの登場がネットでも話題を呼んでいましたが、コア子さんを登場させた理由というのは、やはり想像ではなんでも自由だみたいなところに繋がるんでしょうか?
「それはすごく意識しましたね。コア子に関しては、発想の自由の象徴としてのキャラクターでもあるので、いい意味で既存の女性像みたいなものに強く当てはめすぎないみたいなのをすごく意識しました」
――アルバムタイトルでもある『No Pressure』ですが、この曲を表題曲にした意味や制作の背景をお伺いしたいです。
「前作のアルバム『A GREAT FOOL』は自分自身のパーソナルな歌を書いた分、そこと一回ケジメをつけて次は純粋に音楽を楽しみたいみたいな思いで、”No Pressure”をテーマにするのはどうだろうというのが自分の中にあって。この曲を最初に制作したんですけど、歌詞を書きながら自分が言いたいNo Pressureは、”プレッシャーがない”という意味ではなく、きっと味わってるプレッシャーごと愛せる、許せる、それがあったからこそ自由とかポジティブを感じられている気づきに帰着するのが大事なんだ、と書きながら気付かされた作品だったので、このアルバムのコンセプトがはっきりする為にすごく必要な曲だった」
――ありがとうございます。それでは最後の質問となりますが、Novel Coreさん、あなたにとって音楽とは?
「生きる術ですかね。命綱と言い換えてもいいかもしれないです。自分自身の中に、人に言えないような苦しい思いだったりネガティブな感情が生まれた時にそれを肯定できたのも音楽があったからであるし。逆に今自分が何を思っているのか分からなくなってしまった瞬間にも、音楽で歌詞にしたことによって自分が書いた歌に自分が何を思ってたか気づかされるみたいなこともありましたし。自分にとっては生きる中で必要不可欠なヒントを常に与え続けてくれる命綱という感じですね」