【INTERVIEW:有華】
ありのままの自分だから、
ありのままの音楽
「高校3年生の時にコンテストに応募したんです。それはうまくいかなかったのですが、審査員の方から「ピアノをやっているなら曲を作ってみては?」という提案を受けて、そこから作曲を始めて、その方のサポートを受けてライブハウスを紹介してもらって初めてのライブをしたというところからですね」
――作品作りに対しては、どういう思いがありましたか?
「最初は仲の良い友達に感謝の気持ちを書いた曲を作ってみようと思ったのがきっかけでした。それからずっと嘘なく自分自身をさらけ出して書いていて今も続けています」
――一度就職をされているようですが、それでもライブ活動を続けていたのにはどのような気持ちがあったのですか?
「大学の就活タイミングで、両親から「事務所などと未来の約束がなかったら就職しなさい」と言われていて、その時は何もなかったのでまずは就職しました。でも同時にSNSが普及してきて、Instagramを使ってカバー動画とかオリジナル動画を載せたら自然とファンの方が増えていって、ワンマンライブができるまでになりました。そのタイミングで、やっぱり”この道でやっていきたいな”と思い、音楽の道だけに決めました」
――有華さんの活動にはSNSが大きなキーワードになっていると思うのですが、向き合い方や手ごたえを感じた瞬間などがあれば教えていただけますか。
「SNSの良さって無限大に広げられることというか。載せた動画に対してコメントをもらったり、それでフォロワーが増えて「インスタを見て来ました!」ってライブに来てくれたり。そういう言葉を聞いた時には、SNSの力ってすごいなと思いますね」
「最初は一組のカップルが載せてくれたことがきっかけだったので、まず思ったのは、”何かひとつのことを続けると、このようなことが起こるんだな”というか、続けることって大事だな、音楽を続けてきてよかったなということ。ヒットしたことでの心境は大きく変わってなくて、”ヒットしたからどうしよう、どうなりたい”というより、”もっと多くの人に聴いてもらいたい”という思いがさらに強くなりました」
――その大ヒットを受けての今作「Bestie」を作るにあたっての考え方というのは?
「「Partner」でたくさんの人に聴いてもらったことを、周りでいつも支えてくれている友達が私以上に喜んでくれていて、その子たちが支えてくれたから自分が歌えていたと思うので、その感謝を歌で届けたいなと思って友達をテーマにしました」
――詳しく教えていただけますか。
「「Bestie」には「親友」という意味があります。以前、たった一人でも自分の全部を知ってくれていて、楽しい時もしんどい時も乗り越えられる友達がいてくれたらいいなと感じたことがありました。私には上京してからずっと支えてくれた友達がいるのですが、その子に対して感謝の気持ちが溢れたので、みんなに向けた曲ではあるけど、正直 ”その子にだけ”でも届いたらいいなと思って書いた曲です」
ーーそれは歌詞の中でも表現されていますか?
「《今の私がいるのも あなたが支えてくれたから こんなに自分を好きになれたよ》という歌詞があって、やっぱり一人じゃ自己肯定感とかって下がっていくじゃないですか。でも友達が「いや、そういう所、いいとこやん」って言ってくれることで、「ああ、自分ってこのままでいいんや」って思えることがありました」
――この曲の背景のことは、お友達に伝えたんですか?
「はい、「この曲、実はあなたに書いたよ!」と言ったら、もう嗚咽するくらい泣いてくれました(笑)。とても喜んでくれて嬉しかったですね」
――それは良かったですね。この曲で最も伝えたかったこととはなんでしょうか?
「「友達最高」の4文字ですね(笑)。楽しい時とかいろんな時もそばにいてくれる友達っていいよなということを伝えたい」
「女の子の気持ちを代弁できる人でいたいです。友達に相談できることもあるけど、ちょっとコレはみたいな。例えば「元カレが忘れられない」って友達に言いすぎたら「いつまで言ってるの?」とか言われたりするじゃないですか。そういう”言いたいけど自分の中でしまっておこう”みたいなものを私の曲が全部吐き出し口になる感じ。この曲聴いている時は元カレのことを思い出して、”良くも悪くも代わりに言ってくれてるな、有華ちゃん”というような曲をたくさん出したいなと思います」
――今後のSNSに関しては、どうお考えですか?
「SNSはひとつのツールだと思っていて、それで繋がれるものもあるけど、一番はライブに来てもらって私がどんな音楽を歌って、どんな人でというのを知ってもらいたい。SNSがその架け橋みたいな存在になってほしいので偽らないように意識しています。めっちゃ可愛い子ぶるとか、大人ぶるとか、自分を作れちゃうから大きく見せたいとなってしまうんですけど、見に来てバレるなら最初からありのままでいった方がいいかなと思ってます」
――今年7月には4都市を回るワンマンツアーもありましたが、いかがでしたか? ライブに関して今後の目標も含め教えていただけますか。
「コロナ禍で久しぶりのライブだったので、楽しみだった反面、お客さんが来てくれるのか不安はすごくありました。でも、どこの会場も私がステージに上がると”待ってたよ!”という笑顔で拍手をしてくれたり踊ってくれたり。”見えてなかったけどちゃんと届いていた”ということがわかったので、やっぱり直接会えるライブはいいなと思えるツアーでした。今後のわかりやすい目標で言えば、地元の大阪城ホールでライブをしたいなというのはあるので、まずはそれを目標に頑張りたいです」
――わたしたちはコンサートイベント科の学生でライブ現場に立ち会うことも多いのですが、印象的だったスタッフはいますか?
「ライブが終わった後に「あの曲のここが好きだったので、それが聴けて嬉しかったです」って、その日初めて会ったスタッフの子が感想をくれた時は、“ちゃんと自分のために聴いてくれてるんだ”って、めちゃくちゃ嬉しかったですね。そういう愛は本人に絶対伝わると思うので」
――ひとりの人間として関わることが大事だったりするのかもしれませんね。
「自分が作った音楽を好きと言われて嫌な人はいないと思うので、そこに対してちゃんと愛を持ってくれている人がそばでスタッフをしてくれているというのは、今後も一緒に仕事したいなと思えるし、良い空間が生まれそうな気がします」
――色々とお聞きしてきましたが最後の質問となります。有華さんにとって音楽とは?
「音楽がないと今の私はいないので、なくてはならない。そんなもんでもないなぁ…なんかもっと大きい存在。自分ができている、身体よりも自分が構成されているものかな。私がもし身体が動かなくなっても、音楽だけが残ってくれるわけじゃないですか、私が亡くなった後も。だから、私よりも私な存在かもしれないですね」
撮影:平野怜
アーティスト
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