【INTERVIEW:愛美】
ちゃんと分かっているよ、
伝わっているよ
「物心ついた時から歌が好きで、いつか歌手になりたいなって小さい時から思っていました。家族も音楽一家でバンドをやっていたり歌が好きだったりと血筋なのかもしれません」
――幼少の夢が叶ってデビューへと、その後たくさんの経験を積み重ねてきていると思いますが、活動初期と今を比べて何か大きな変化はありますか?
「見える景色が全然違うなと感じます。デビュー当時はアニソンを歌えるだけで、アニメ業界にいられるだけで幸せでした。そこからお仕事をやっていくうちに自分の実力のなさから悔しい思いもたくさんして、もっとお芝居も歌もできるようになりたいなって思ったし、作詞の面でも出てくる言葉が全然違って、それは様々な経験や色々な人に出会ったこともそうだし、声優として常に言葉と向き合ってお芝居をしてきたというのが大きいと思います」
――その時間をかけて変化した景色の中で生まれた今作『AIMI SOUND』ですが、コンセプトや大切にしたものはなんでしょうか?
「このアルバムは届いた人にどうしたら100%楽しんでもらえるアルバムになるかというのを第一に考えて、全曲シングルのA面っていう気持ちで作りました。今の時代、配信で音楽が聴けちゃうのでCDを手にする理由が薄くなってきてるけど、どうしたら手に取ってもらえるかなというのをすごく考えて、今まで勇気が出なかった写真集にも挑戦したり、CDでしか聴けない曲も入れてみたり。買っていただくからには素敵なものにしたかったので、ワクワク感のあるSPECIAL BOX仕様にもして。ひとつの作品として良いもの、手元に置いておく意味があるものにしたいなっていうのがありました」
「私がこれまでの活動の中で出会った、親交のある方々にお声掛けしました。活動する前からずっと観ていたアーティストの方々ばかりなのですが、お仕事でご一緒になってお話する機会もあり、ぜひお願いしたいなと思ってオファーさせていただきました」
――リード曲「不完全ドリーマー」は背中を押されるような感覚ですが、ここで伝えたかった思いとは?
「この「不完全ドリーマー」は、”夢を追いかける人”をテーマに作詞をしました。夢を追いかけても必ず叶うとも限らないし、夢を追う過程で嬉しいことや悲しいこと、そういった色々なことが自分にもあるなと思って書きました。光が当たらないと裏で努力していることも表に出てこない、人にはわかってもらえないんだっていう、そういう悔しさとか、それでも己と向き合って頑張っていこうぜっていう自分への気持ちを反映した曲でもあります。夢を追いかける人への応援歌というか、背中を押せるような歌詞が書きたいなと思って。見えないところで頑張っている人たちにも、ちゃんと分かっているよ、伝わっているよっていうのを届けたかったんです」
――作曲の上松範康さんにはどのようにリクエストしたのですか?
「まず、上松さんと愛美っていう組み合わせを聞いたときに「BanG Dream!! (バンドリ) 」を思い浮かべる人が多いだろうなと思って。バンドリといえばバンドだから、「上松さんがイメージする愛美に合うようなバンドサウンドでお願いします」とお願いしました。ソロの愛美として上松さんとタッグを組むなら、より意味のあるものにしたくて、かなりこだわってメロディーラインまで何度もやり取りさせていただいて楽曲が出来上がりました。」
――そうなんですね。タイトルからもう少しポップな感じをイメージしていたので、聞いてみてダークさも出ていてとても意外でした。色々な思いが詰まっているなと感じました。
「ありがとうございます。上松さんから「バンドリで(戸山)香澄役として活躍している愛美ちゃんも魅力的だけど、ソロの愛美としての魅力も生かしたい」と言っていただいて。キャラクターの側面を十分に知ってくれた上で、さらに愛美の良いところをって言ってくれたのがすごく嬉しかったです。」
「アルバムの中だと、「ReSTARTING!!」「MAYDAY」の2曲はパソコンで、他の曲はスマホのメモ帳に書きました。集中して部屋に閉じこもってパソコンで書くのも好きなんですけど、リラックススタイルというかソファに寝そべって曲を聴きながら書くっていうのも割と主流になっています。でも、日常生活の中で歌詞が浮かぶかと言ったらそうじゃなくて、楽曲からインスピレーションをもらって、こういうテーマの歌詞が書けるなっていうのを思いついて、やっとスタートラインに立つ感じなんです。言葉に悩んだりしたら、まずは適当な言葉を並べて歌ってみて、いい響きがあったなと思ったら近い言葉を探して。例えば「カザニア」は造語なんですけど、風がテーマの曲なので、カゼ○○みたいな言葉はないかな?って探してたらガザニアという花が出てきて。ガザニアの花言葉が作品のテーマにも沿っていたので、そこからヒントを得ました」
――なるほど。今回初めて作曲にもチャレンジされていますね、「※おこめぞん」。
「思いついたメロディを打ち込んでいったら、出来上がりました。いつも家でオリジナルソングを歌ったりするんですけど、その延長線上で作ってみようかなと思って。最初にサビの”おこめぞねっと おこめぞねっと”っていうのが浮かんできて、そこから広げていきました。だからメロディーと歌詞が一緒に思いついてできた曲です」
――アルバムの曲順に意図やこだわりはありますか?
「ありますね。私は車の中で音楽を聴くのが好きなので、ドライブするときに気持ちのいい曲順にしたいなと思って。でも、ライブとしても完成されているセトリになったなと思うので、こだわりの曲順です」
「人生初のソロライブツアーということで、それぞれの地方ごとに異なる部分も作れたらと思っています。そこに来てくれる人たちだけの特別なライブにしたいので、楽しみにしていて欲しいです」
──期待しています。では最後の質問となりますが、あなたにとって音楽とは?
「音楽とは、わずかな時間で同じ感情を共有しあえる素晴らしいコミュニケーション手段だと思っています。自分の考えをわずか3分から5分の中で感じてもらえるって凄い事だなと思いますし、色んなエンターテインメントがある中で、私にとっては一番強く自分の気持ちを共有できるものじゃないかと思っています。これからもそんな愛美の音楽を届けていきたいなと思っています」
アーティスト
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