どこまでも鼻持ちならない、でも羨ま
しい女。竹内まりや:“ホラー系ドラ
ァグクイーン”エスムラルダ連載16

エスムラルダの「勝手にワイドショー!」

連載第17回:どこまでも鼻持ちならない
、でも羨ましい女。竹内まりや

竹内まりやが先日発売したアルバム『TRAD』が、2週連続1位を獲得」「59歳半でのV2達成は史上最年長記録」「さらに、80年代、90年代、00年代、10年代の4つの年代におけるオリジナルアルバムでの1位獲得も史上初」というニュース。みなさんはご存知かしら。

 いや、もちろん快挙だしすごいことだと思うのよ。でもね……。まりや、やっぱり歌詞の内容も人生も鼻持ちならない……。
 まず、歌詞。「私のために争わないで」(けんかをやめて)とか「心変わりを責めないで」(終楽章)とか、常に愛されてること前提&すがすがしいほどの上から目線。
 こんな女が実際にいたら、周囲の女友だちから「また恋愛相談と見せかけて、モテ自慢されちったよ」「調子に乗んなよクソビッチがッ」と陰で罵倒されるのは確実……だけど、まりやのアルバムを買い支えているのは意外と、高飛車&モテ女本人ではなく、それを罵倒しつつひそかに羨んでいる、周囲の女たちのような気がするわ。かくいうアタシも「ああ、またまりやに印税が……」とか思いながら、たまにまりやの曲、カラオケで歌っちまうし。そこまで見越して歌詞を書いているなら、まりや、恐るべし……。

 でもね、アタシが最も腹立たしく思っている(一方で、あっぱれとも思っている)歌詞は「Every day is a special day」(毎日がスペシャル)。かつて、ここまで人を小バカにしたような歌詞があったかしら。この曲を聴くたびに、アタシの脳裏には、家事の片手間に「フンフフーン」って感じで詞と曲を書いているまりやの姿が浮かぶのよ(あくまでも想像だけど。てか、家事してる?)。

 で、たまにシングルを出せば全てタイアップがついてヒット。それを何曲かまとめ、気が向いた時におまけで何曲か追加してアルバムを出せば、あっけなく1位になるわけじゃない? 変装してファミレスで情報収集したり、「次のアルバムのコンセプトは……」とか必死で考えたりしつつ、2、3年おきにアルバムをリリースしているユーミンの立場は一体。
 しかも作詞・作曲・編曲・コーラスと楽器の一部・歌は全て家庭内で行われているので(いわゆるマニュファクチュアね)、印税まる儲け。アタシ、山下達郎&竹内まりやって、日本一費用対効果(あるいは労働力対効果)の高い夫婦なんじゃないかと思うわ。
 ああ、やっぱりまりや、鼻持ちならない……けど、羨ましい!

 ちなみに、まりやの話になると、時々「あんな美人が、なぜ山下達郎と……」と言う人がいるし、アタシも昔はそう思っていたけど(達郎先生に失礼)、今ならわかるわ。人生を共にするパートナーは、才能とか性格とかで選ぶべきよ! 容姿なんて歳とったら、誰でも衰えるし。
 てかそもそも、人の好みって千差万別じゃない? もしかしたら達郎先生はまりやにとって、ルックス的にもかなり「イケる」タイプだったのかも。だとしたら、やっぱりケチのつけようのない人生ね。まりや万歳。

【エスムラルダ:プロフィール】
えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。

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