山田ジェームス武&川上将大がゲスト
出演、神戸セーラーボーイズのクリス
マス公演が開幕ーー「仲間がいるから
成長できる」10人の絆を描く

神戸セーラーボーイズ SF(セミフィクション)「Boys×Voice 312」 2023.12.22(Fri)〜25(Mon) AiiA 2.5 Theater Kobe
12月22日(金)から25日(月)まで、AiiA 2.5 Theater Kobeにて『神戸セーラーボーイズ SF(セミフィクション)「Boys×Voice 312」』が上演される。今年4月に結成し、6月、8月に等身大の自分たちを投影した「SF公演」、11月に著名な物語をアレンジした「定期公演」を経験してきた神戸セーラーボーイズ(以下、神戸セラボ)の10人。同公演は3度目のSF公演であり、彼らにとって初めてのクリスマス公演となる。ゲストには山田ジェームス武(12月22日、25日)と川上将大(12月23日、24日)を迎える。SPICEでは初日22日(金)に行われたゲネプロの様子をレポートする。
春から秋の成長を追いかけたストーリー
SF公演は、前述したように等身大の中高生の彼らを投影したストーリー。オーディションに合格した彼らが、すれ違いや分裂を乗り越えて結束を固めた6月の初演『306』、悩みながらも「自分らしさ」を見つけた8月の『308』、そして戯曲 MANKAI STAGE『A3!』〜SPRING & SUMMER 2018〜の劇中劇『ロミオとジュリアス』と『Water me! ~我らが水を求めて~』を演じつつ、殺陣やコメディにも挑戦した11月の『定期公演vol.1』。それらを経て、大きく成長した10人の「絆」が描かれた。
今回も第1部が芝居、第2部がライブという構成で、脚本は優木鈴、演出は冨田昌則、音楽は大石憲一郎が担当した。ステージには『308』の続きであることを思わせる神戸の街並みのセットが設置され、船の汽笛と冬の荒波を想起させる波音が流れていた。
左から崎フランツ(崎元リスト)、大橋虎ノ介(髙橋龍ノ介)
数日後にクリスマスを控えたクリスマスパーティーの日。崎フランツ(演:崎元リスト)と大橋虎ノ介(髙橋龍ノ介)はメンバーを驚かせようと、トナカイの衣装を着て少し早めに集合する。しかしサンタ役の細貝奏(細見奏仁)がなかなか現れず、歌とダンスで暇を潰していた。
左から石川幸斗(石原月斗)、明石田侑(明石侑成)、中城碧月(中川月碧)、崎フランツ(崎元リスト)、大橋虎ノ介(髙橋龍ノ介)
そこにやって来た中城碧月(中川月碧)、明石田侑(明石侑成)、石川幸斗(石原月斗)。サプライズが失敗した大橋は気を落とすが、崎がメンバーに「面白い話ない?」と声をかけ、11月の定期公演を振り返ることに。
中田颯真(田中幸真)
場面は中城の回想シーンへ。『ロミオとジュリアス』の稽古を行う塚本晴人(塚木芭琉)、奥田頼(奥村頼斗)、中田颯真(田中幸真)、崎、中城の5人。リーダーの中城は責任感の強さから、考えすぎてメンバーに気を遣ってしまう。そんな様子を見て「リーダーをやりたい」と言いだす中田。突然の展開に戸惑い、自分がリーダーではダメなのかとショックを受ける中城。少しギクシャクしてしまうメンバー。
このシーンではダンスが得意な中城と、フラメンコが得意な中田のダンスバトルが見どころだ。また、迫力たっぷりの音楽が不穏な空気とヒリヒリ感を演出する。
明石田侑(明石侑成)を取り合う大橋虎ノ介(髙橋龍ノ介)、摂津士郎(津山晄士朗)、細貝奏(細見奏仁)
一方、『Water me! ~我らが水を求めて~』チームの明石田、摂津士郎(津山晄士朗)、大橋、細貝。中学生の3人が「誰がリーダーの明石田と練習をするか」で明石田を取り合う展開に。年下組に慕われる明石田だが、お人好しで優しい彼に石川は「もうちょっとうまくかわさないと、自分の練習ができないよ」とアドバイス。そして「皆が楽しくやれているのは明石田がリーダーだからだ」と肯定する。
テンポ感の良い会話は『Water me! ~我らが水を求めて~』の経験が活かされており、のびのびと歌い踊るメンバーの姿は前回よりもしなやかで、さらなる成長を感じることができた。
ハッキリと描かれる、2つのチームの人間関係の対比。ここで雑誌記者役の神宮(かみや/山田ジェームス武:22日・25日、川上将大:23日・24日)が登場し、メンバーへ取材を行う。持ち上げられる新リーダー・中田を見て落ち込む中城、そんな中城を気にかける明石田。理想のリーダー像と自分らしさの狭間で揺れる中城の心の動き、これまで自分のことで精一杯だったメンバーの視野の広がりはリアルで、演技力もまた上がっていることが感じられた。
左から中城碧月(中川月碧)、明石田侑(明石侑成)
空気が悪くなるチームを見かねた塚本は、中田に「本当の気持ちを話した方が良い」と提案する。やがて、中田の思惑が中城に明かされるとーー?
クライマックスの歌唱パートでは、10人のハモリのレベルがグッと上がったことに驚いた。取材などで神戸セラボのメンバーから口々に「全員の芝居と歌のレベルが上がった」と聞いていたが、それを実感できた。一切の遠慮や怖れを感じない、堂々と前を見て歌う彼らの姿は本当にピュアで眩しかった。
そして最後のクリスマスパーティーの場面。中城が「皆がいるから成長できた」と話し、メンバーの名前をひとりずつ呼んでいく様子はとても感動的だった。芝居だからではない、神戸セラボとしてこれまでの時間を共に過ごし、切磋琢磨してきた生身の10人の純粋な関係性、仲の良さ、そして絆がしっかりと表れていた。
なお、パーティーシーンで細貝のピアノ伴奏で歌われた楽曲はなんと、細貝の作曲によるもの(!)。また新たな才能を目にすることができた第1部だった。
オリジナル新曲2曲を初披露、仲間の尊さを笑顔で歌い上げる

奥田頼(奥村頼斗)、石川幸斗(石原月斗)
ゲストの神宮のMCを経て、続いては第2部のライブパート。メンバーカラーに応じたチェック柄の新衣装を着てステージに登場した10人は、新しいオリジナルソング「キズナ=ツナグ」を元気&華やかに披露。ダンスにキレが生まれ、フォーメーションにもまとまりが出て、照れが消えたメンバーのステージ映えは素晴らしい。生き生きとした表情を見せる彼らからは、もはや安定感を感じる。クリスマスライブならではのワクワク感も手伝って、何よりも全員が舞台を楽しんでいることが真っ直ぐに伝わってきた。

チームブラウン
続けてチームブルー(中学生組)によるキャンディーズの「年下の男の子」、チームブラウン(高校生組)による新田恵利の「冬のオペラグラス」を美しく歌唱。さらにゲストを交えた全員で披露した山下達郎の「クリスマス・イブ」では、先輩とのコラボレーションもバッチリとキメてくれた。ダンスしながらでもブレなくなった歌声、まとまりのあるハーモニー、余裕を感じさせる目線や仕草を目の当たりにして、先月の公演よりもさらにパワーアップした彼らは実に頼もしい。
左から中城碧月(中川月碧)、神宮(山田ジェームス武)
ここからはゲストの神宮とともにしばしのトークパート。さすがの回し力で場を湧かせる先輩に、リラックスした様子で身を委ねていた10人だった。メンバーの素が見えるトークなので、神戸セラボファンもゲストのファンも楽しみにしていてほしい。
冬服の神戸セラボの制服に着替えたメンバーは、会場の熱を高めるように、オリジナルソング「ボクラカラー」では客席に降りてオーディエンスをしっかりと巻き込み、ラストの「365日のバースディ」でステージを締め括った。「365日のバースデー」は3曲目の神戸セラボのオリジナルソング。雪が降る中で「仲間がそばにいること、想いが繋がっていくこと」の尊さと素晴らしさを笑顔で歌い上げた10人だった。
左から石川幸斗(石原月斗)、摂津士郎(津山晄士朗)
毎公演ごとに成長し、さらに個々の新しい魅力も見せてくれる神戸セラボ。1年で大きな翼を手に入れた彼らの行く先が楽しみで仕方ない。
『神戸セーラーボーイズ SF(セミフィクション)「Boys×Voice 312」』は、12月25日(日)までAiiA 2.5 Theater Kobeにて上演。対談企画の際、髙橋と田中が「この公演自体をクリスマスプレゼントに」と話していたように、来場者にとって嬉しい企画も行われる。2023年の締め括りであり、彼ら初のクリスマスライブをぜひ目撃してほしい。
取材・文=久保田瑛理 撮影=高村直希

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