【ライヴレポート】
『LUNATIC FEST. 2018』
2018年6月24日 at 千葉・幕張メッセ
■ LUNA SEA ■
“みんなのお陰でめちゃめちゃ刺激的な二日間を過ごさせてもらってます。みんなが馴れ合いじゃなくて本気でやってくれてるのがすごく伝わってきて、気持ちがキュンとするっていうかね…いいね、フェスって”と語って続けられたメジャー第一弾作「Déjàvu」も初日よりいっそう尖った印象に。曲終わりにJと真矢がアイコンタクトを交わして続けた「誓い文」ではハンドクラップが自然発生し、同じ時代を生きる人々へと向けたリリックと相まって、30年近くの時を経てもなおつながる想いで胸を熱くさせる。また、アルバムツアーを踏襲して現在の等身大なLUNA SEAを見せた初日に対し、この日のメニューでは彼らのマニアックな面を詳らかにしてくれたのも嬉しいところ。舞台に炎が噴き上がり作曲者であるJのゴリゴリなベースプレイに歓声があがる「Sweetest Coma Again」に、後のシーンに多大な影響を与えたSUGIZOの付点八分のディレイが幻想的な景色を描く「IN SILENCE」と、真逆の世界観を披露して彼らが持つ引き出しの多彩さを改めて証明する。その極め付けとも言えるのが「Providence」で、SUGIZOのバイオリンからRYUICHIが三拍子を指揮して生む幽玄な世界観はSLAVEにはお馴染みなれど、ロックバンドとしては規格外。間違いなくLUNA SEAにしか為し得ないパフォーマンスだ。
そして、トドメとばかり、赤のロングジャケットに身を包んだYOSHIKIがピアノで「Forever Love」を弾きながらせり上がって、なんと「I for You」をピアノ演奏! そこに寄り添うRYUICHIのヴォーカルも、いつにも増してエモーショナルなものとなり、バンドインしてからは間奏のギターソロをYOSHIKIがゴージャスなピアノプレイで担う今日だけのアレンジも。30年の付き合いでもLUNA SEAとYOSHIKIのセッションは初めてということで、RYUICHIが“めちゃめちゃ興奮しました”と感激を露わにすれば、YOSHIKIも“X JAPANは僕の人生なんだけど、LUNA SEAの歴史も僕の人生のひとつなんで”と応えて、両者の絆を再確認させた。
この日もアンコールにはイエローハートを携えたYOSHIKIを筆頭に参加バンドの面々、さらに初日に参加していたDIR EN GREYの薫(Gu)とShinya(Dr)と、遊びに来ていたSIAM SHADEの栄喜(Vo)まで加わって「STORM」をセッション。YOSHIKIの“気合入れていくぞ!”の号令から栄喜にlynch.の葉月、大黒摩季らが歌い繋いでの大合唱大会となり、なぜかYUKKE(MUCC/Ba)までがスタンドマイクで熱唱(笑)。ドラム台ではダブル“シンヤ”が並ぶ夢のセッションを終え、RYUICHIから12月22日と23日にさいたまスーパーアリーナで今年もクリスマスライヴが行なわれることが告知されると、場内からは大歓声が沸き起こる。記念撮影を終えるとINORANとSUGIZOは舞台を下りて客席へと突っ込み、最後にSUGIZOは“ありがとう!”とマイクレスで叫んで一礼し、オーディエンスの声をしまい込むように胸を叩いた。
大興奮のフェスを最高の形で締め括った「STORM」だが、1年間の活動休止期間を経て98年にリリースされた当時はその輝かしさゆえに、決して全てのSLAVEたちが諸手を挙げて歓迎した曲ではなかった。それはかつてなくシンプルなバラードとして世に放たれた「I for You」も然りである。しかし、そんな2曲にこんな素晴らしい未来が待っていると、20年前の自分たちに自慢してやりたいーーそう終演後に語っていたひとりのSLAVEの言葉には、心の底から首肯するほかなかった。どんな道も自らの力によって、輝かしい未来へと変えてきた彼らが迎える来年の結成30周年。そこで目撃できるであろう景色に、今から期待が止まらない。
text by 清水素子
https://okmusic.jp/news/276909
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