エルレガーデンも復活したし、ロック
少年たちよ現場に帰ろうぜ

ミーティア公式Spotifyプレイリスト、
第一弾

2008年に活動休止を発表したELLEGARDEN(エルレガーデン、通称エルレ)。かのバンドが5月10日に突如として復活を宣言したことにより、ロック界隈が大いに賑わっております。20代後半~30代前半の音楽ファンはかなりの割合で通過しているバンドの活動再開ですから、それはもうドえらい騒ぎですよ。発表当時、Twitter上にはエルレ関連のつぶやきで溢れかえっておりました。先日、復活ライブの当選者が発表されたばかりですが、筆者の身内にチケットを入手できた人はおりません。相当な倍率であったと想像できます。

20代後半ともなると、なかなか娯楽に時間を費やすことができません。もちろんゼロになった人は少ないでしょうけれど、学生時代に比べるとエンタメに触れる機会は減ったのではないでしょうか。仕事が忙しくなったり、家庭を持ったり。理由は様々に考えられます。

が、そのようにして音楽から遠ざかっていた人たちを、ワンパンで引き戻したのが「エルレ復活」です。


ELLEGARDEN復活により脳内が高校生になった。
放課後の教室、後夜祭、土手、まわり道した帰り道、駅前のフリータイムが安いカラオケと、マックとサイゼ、二人乗りの自転車とか、門限ギリギリで乗り込む電車とかね。

— 武居詩織 (@Shiori___) 2018年5月10日

こちら、モデルの武居詩織さんのツイート。もうね、仰る通りです。競うように音楽を聴き漁っていたあの頃に一瞬で帰ることができた。エルレを聴いて育った人はみんなこの調子です。個人的な話をさせてもらえば、10年近く音信不通だった友人から「エルレ復活だって!」とLINEでメッセージが飛んで来ました。

前置きがやたら長くなりましたね。このたび、ミーティアのSpotify公式プレイリストが誕生しましたが、その第一弾は「あの頃のロックキッズ」に向けて作りました。
このプレイリストを作るにあたり、僭越ながら“ある願い”を込めております。僕たちと同じようにアーティストの時間も止まらずに動いておりますから、これを「単なるノスタルジー」にするわけにいきません。バンドの「いま」も聴いてほしい。あの頃と違う世界線に行ったバンド、あの頃と地続きのバンド、あるいはその両方の道をバランスよく進むバンド。実に様々です。いま、諸々の理由で音楽から離れてしまっている皆さん。もう一度、あの頃と同じ熱量で音楽に接してみませんか。

なお、番外編として海外勢を4組入れております(こちらは思い切りノスタルジー)。エルレ復活で滝の涙を流した人は高確率で反応するはず。

ELLEGARDEN4連発
ぜひとも『Supernova』からお聴きいただきたい。なぜならエルレのフロントマン、細美武士が復活ライブはこの曲から始まると明言しているから。あとの3曲も傑作でして、どれもアンセム級のクオリティです。『Lonesome』に関してはやや過小評価されているかと思います。『No.13』も『高架線』もシングルカットされているわけではありませんが、あの頃のナショナルアンセムです。

アジカン + Gotchソロ
日本産オルタナロックの雄、ASIAN KUNG-FU GENERATION(通称アジカン)。『エントランス』はこの出来でデビューシングル『未来の破片(かけら)』のB面でありました。のちに初期の代表曲として認知されますが、当時はファーストアルバム『君繋ファイブエム』へ収録されることもありませんでした。Gotchのソロ作品におけるアイデアの豊富さは有名で、『Taxi Driver』ではトラップ的なプロダクション(高速で連続するスネア)が確認できます。

空間的な音作りにおける日本一、ACIDMAN
日本人が音楽を作るときによく特徴として挙げられるのが、音数の多さ。海外と比較すると、音と音の間を空けたがらないアーティストが多いとしばしば耳にします。けれども、3ピースバンドのACIDMANは今も昔も音の数がそれほど多くない。それでいて、大きな会場でもしっかり響く音を鳴らします。『リピート(2003年)』と『ユートピア(2017年)』の間には約15年の開きがありますが、どちらの曲も抜群に洒脱。

the band apartの過去作をお持ちであれば、ぜひ最新作と聴き比べてほしい
the band apartのギターリフを参考にしていないバンドは果たして存在するのでしょうか。残念ながらSpotify上には『higher』や『KATANA』などの過去に発表された名曲が登録されていないのですが、間違いなくゼロ年代を代表するロックナンバーですね。現在ではシティポップ的アプローチも確認できており、更に音の幅が広がっています。

日本語詞の世界基準、GRAPEVINE
一定値を超えると高い確率でたどり着くバンド、GRAPEVINE。日本語で深みのある歌詞を紡ぎながら、鳴らされる音は極めて普遍的。ルーツ・ロックの影響を色濃く受けたサウンドは、海外のアーティストと比較しても遜色ありません。そして強調しておきたいのは、彼らは軸がありながらしっかり変化もしているということ。最新作『Roadside Prophet』に収録されている『Arma』では、ホーンセクションを取り入れています。

時期によって全く違う音を鳴らす、くるり
このバンドに関しては、「ノスタルジー」という括りで解釈される心配はないでしょう。アルバムを出すごとに音像を変え、まるで違う内容を毎回提示してくる。『ワンダーフォーゲル』や『ばらの花』のようなエレクトロニカ路線に、ヒップホップへの接近、オルタナへの回帰・・・。最新作『その線は水平線』では、シンプルな構成から段々とサイケデリックになってゆく複雑なプロダクションを展開。相変わらず全く読めません。

現在の向井秀徳
音楽にハマるとジャンル問わず通過する最重要人物が向井秀徳であります。彼がフロントマンを務めたナンバーガール(2002年開催)はいまだに根強い人気がありますし、現在のZAZEN BOYSでもそのカリスマ性は健在です。リリースは2010年以降ありませんが、フェスやライブで積極的に稼働中なので今回のプレイリストにはKimonosLEO今井とのデュオ)をセレクトしています。打ち込み系の音もばっちりハマる天才性。

ロックとエレクトロニカの関係を強固にしたバンド、SUPERCAR
2005年に解散したSUPERCAR。先日4月25日にデビュー20周年を記念した初のオールタイム・ベストアルバム『PERMAFROST』がリリースされました。作られたのが10年以上前だということを忘れるほど、『YUMEGIWA LAST BOY』や『WONDER WORD』は少しも色あせておりません。現在もメンバーはそれぞれ音楽活動を続けていますが、どれもすこぶるエッジーです。今回のプレイリストでは元SUPERCARのギター&ヴォーカル、Koji Nakamuraのソロ作品をピックアップしました。

永遠の青春、ストレイテナー
『Melodic Storm』が青春時代のアンセムであるアラサー音楽ファンは多いかもしれません。あの頃のストレイテナーがそうであるように、現在の彼らも極めて爽快なナンバーを量産しております。いまは時代に呼応するように電子音楽を取り入れたり、曲の後半にかけて音数がどんどん増えてゆくような複雑な展開が見受けられます。『タイムリープ』が好例ですね。ぜひ全編通して聴いていただきたい。

さらば青春。2018年7月をもって完結(解散)が決定しているチャットモンチー
その時がもうすぐそこまで。間違いなく、一時代を築いたガールズバンドでありました。橋本絵莉子の驚異的なソングライティングと、福岡晃子のマルチプレイヤー性、そして2011年に脱退した高橋久美子の作詞力。すべて高いレベルにありました。2009年にリリースされた『告白』は、日本のロック史に残る名盤でしょう。ラストアルバム『誕生』の先行配信が6月18日に始まってしまう。やはり、どうしようもなく寂しい。

Base Ball Bearは今が一番良い
『ドラマチック』や『Changes』など、ポップとロックの間を射抜くようなサウンドでゼロ年代後期に颯爽とシーンのトップに躍り出たのがBase Ball Bear。15年もバンドを続けていれば色々あります。2016年にギター担当の湯浅将平が突然バンドを脱退し、一時はどうなることかと思われました。外野からは計り知れない苦労もあったでしょうが、その果てに完成した『光源』は揺ぎ無い名作。最高傑作と見ても良いかもしれません。『Low way』のアダルトな雰囲気たるや。

思春期の闇とART-SCHOOL
「音楽に救われる」なんて言うと、ややチープに聞こえるでしょうか。それでも、思春期の鬱屈を抱えていた頃、ART-SCHOOLに救われた人は一定数いると思います。日本社会に現れたニルヴァーナ。『水の中のナイフ』のように音楽としても90年代オルタナを踏襲しつつ、歌詞の内容も極めて退廃的。最新作『In Color』ではベクトルに変化があったものの、木下理樹(ギター&ヴォーカル)が紡ぐ言葉は、変わらずに僕らの闇に寄り添ってくれます。

番外編:あの頃僕らはエモかった
かつて高校生、いや、ハイ・スクール・ボーイズ(ガールズ)だった皆さん。最後に申し上げることはひとつです。もう一回、ライブハウス(並びにフェス)へ帰りましょう。「初めまして」のティーンエイジャーの皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。我々よりも上の世代のお兄さん・お姉さん方。どこかでまたお会いできればと思います。

エルレガーデンも復活したし、ロック少年たちよ現場に帰ろうぜはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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