【『No Big Deal Night 5th Anniver
sary Party』】出演:ALL OFF / Goo
dbye holiday / 04 Limited Sazabys
/ THE PINBALLS / ミソッカス VICK
EBLANKA / ねこね、こねこね。/ Wie
nners / だいじろー(from JYOCHO)
/ INNOCENT in FORMAL(OPENING AC
T)2017年2月25日 at 新宿LOFT
撮影:Viola Kam(V'z Twinkle)
2012年2月29日の立ち上げから5周年を迎えるNo Big Deal Records所属のアーティスト全9組が揃いぶみのライヴを新宿LOFTにて開催。バーフロアーとメインフロアーに分けて交互に行なわれたイベントのオープニングアクトは、No Big Deal Records初のオーディション審査を経て選出されたINNOCENT in FORMAL。“Big Deal(一大事)でいきましょう!”(ぽおるすみす/Vo&Gu)。バーフロアのため照明による演出などは少ないが、真っ向から勝負を挑んでいる模様をひと際感じさせる。ガレージロックとヒップホップを匂わせる、全身で陶然と酔いしれるような楽曲を披露しつつ、3曲目の新曲では手をあげるようにフロアーを煽ったりなど、緊張よりも楽しませてやろうという前向きな気持ちが伝わってきて頼もしかった。
■ビッケブランカ
メインフロアーの1組目は“恋の奴隷”と自ら茶目っ気たっぷりに気取るロマンチストのピアノマン、ビッケブランカ。オープニングの「ココラムウ」から、あえてバラードを交えずにアガること必至のキラーチューンを立て続けに披露して、メインステージのトップバッターに相応しいスタートダッシュをキメた。ピアノを離れ、マイク片手に歌ったミュージカル調の「Slave of Love」では《No! No! No! 》というリフレインを観客に歌わせた上で、“そんなんじゃ終われない!”と、さらに大きな声で歌うことをリクエスト。そんなふうに観客を巻き込みながら盛り上げるパフォーマンスが増えたのは、大成功を収めた1月のツアーの成果ではないだろうか。ツアーで得たものをギュッと30分のステージに凝縮したとも言えるこの日のパフォーマンスからは大きな自信が感じられた。そして、ラストの「ファビュラス」では、“覚えた?”と客席に声をかけながらサビを何度も歌って、一際大きなシンガロングの声を響かせた。
■ねこね、こねこね。
1曲目の「ねこは何でも知っている」で早速、“にゃにゃにゃにゃにゃ”と観客が歌ったと思ったら、2曲目の「かいじゅうたちのいるところ」では、怪獣みたいに両手を挙げる振り付きで“ガーオガーオ”と観客も声を上げた。声を張るわけではないのに不思議と通るむらまつえりか(Vo&Gu)の歌も含め、そんなふわふわとしたところが、ねこね、こねこね。の魅力なのだとは思うが、惹かれたのは意外にエモい演奏とユニゾンでは飽き足らないアンサブルの妙。そこに“猫ポップバンド”を名乗る4人が隠し持っている牙と爪を聴き取り、胸が躍った。サビをシンガロングした「けっこう毛だらけ猫灰だらけ」も楽しかったが、ギター2本でコードを掻き鳴らしながらフレーズを奏でるベースが演奏をリードする「ことばの海」、突き進むリズムの上でギター2本が絶妙に絡むラストの「四半世紀カルテット」に気持ちがアガった。これからの彼らをもっと見てみたいと思った。
■Goodbye holiday
児玉一真(Vo&Gu)が激しくギターを掻き鳴らした1曲目の「十ヶ条」にいきなりガツンとやられた。そこにつなげた「溢れるもの」もダンサブルな4つ打ちのキックが観客の手拍子を誘うさわやかな曲調にもかかわらず、ギターを轟音で鳴らす。以前のGoodbye holidayはもっとポップなサウンドを求めていたように感じていたせいか、久し振りに見た彼らは思いの外たくましくなっていてちょっとびっくり。空回りする福山 匠(Ba)のMCも、児玉のツッコミを跳ね返す暴走が加わってさらにパワーアップ!? “このラブソングがあなたに届くまで”と披露した新曲「サイエンスティック・ラブ」は、ハードなギターリフと妖しい曲調が新たな挑戦を印象付けた。ラストは“No Big Deal Recordsと自分達の始まりになった”(児玉)という「等価な世界」を感動的にきめるつもりが、ちょっとしたハプニングによって和んだ空気になってしまったところがなんともグッホリらしかった。
■だいじろー(from JYOCHO)
本日の出演者の中で唯一、アコースティックギター1本のインストゥルメンタルで挑んだだいじろー。すっと耳馴染みのよいクリーントーンで、緻密に音を入り組ませていくようなテクニカルな技はまさにだいじろー節。圧倒されるのも束の間、“自分のかかとに全力でかかと落としする曲でした”と楽曲を紹介する彼の独特なキャラや感性もさらなる興味を惹く。話をしながら1曲ずつゆるく進行していくのだが、その中でタッピングを多用して軽やかな音を弾ませたかと思えば掻き鳴らしたり、無邪気にアコギを弾いている姿はまるで少年のよう。エキセントリックさがありつつも、温かみのあるアコギの音も心地良かった。早弾きを見せ付けた「千年間ケツバット」など、最初から最後まで目が離せない展開だった。
■ALL OFF
「One More Chance!!」「Never Gave Up」というライヴアンセムをいきなり連打したもんだから、フロアーは早速モッシュ状態に! そこからMCを飛ばして、次の曲になだれ込もうとしたOtsuki (Dr)を慌ててso-hey(Vo)が止めるという想定外の展開にメンバー全員が破顔一笑。それがきっかけになったのか、同じ釜の飯を食ってきた仲間たちに囲まれていたからなのか、常にストイックなALL OFFがこの日はいつもよりリラックスしているように観えた。“一緒に歌ってくれ!”“暴れちゃって!”と煽りながら、バンドが繰り出すラウドとダンスの要素が絶妙に入り混じる曲の数々に観客も手拍子、ツーステップ、ヘッドバンギングで応える。ライヴの定番と言える「Just Tonight」では観客全員を一度しゃがませてからジャンプ! ラストはかつてのレーベルメイトeba(エバタヒロカズ/ex.UNIQUE STAR)と作った「リフレインボーイ」を、No Big Deal Recordsに対する感謝の気持ちを込め熱演したのだった。
■THE PINBALLS
ソニックスの「Have Love, Will Travel」が流れる中、演奏は「劇場支配人のテーマ」でスタート。“飛ばしていくぞ!”という森下拓貴(Ba)の絶叫どおり、4人は MCも入れずに黙々と力いっぱいにロックンロールを演奏し続ける。その姿は“俺たちの音が聴こえるか!? 俺たちの姿が見えるか!?”という森下の絶叫も含め、ストイックとも刹那的とも言えるが、そこに哀愁(「十匹の熊」)やポップ・フィーリング(真夏のシューメイカー)が感じられるところがTHE PINBALLSの真骨頂。“新しいアルバム(『PLANET GO ROUND』)から聴いてくれ!”と古川貴之(Vo&Gu)が叫んでから演奏した「毒蛇のロックンロール」ではシャッフルの跳ねるリズムに合わせ、観客が頭上に掲げた手を振った。新たなライヴアンセムの誕生。その光景を見た古川が不敵な笑みを浮かべた。投げ付けるだけではなく、ライヴで観客とひとつになれる曲も増えてきたと感じられる熱演だった。
■ミソッカス
“やれんのかー!”(デストロイはるきち/Vo&Gu)と「パパパ」で勢い良く始まりを告げると、“パパパパ パパパパ”の大合唱で自分たちのペースに巻き込んだミソッカス。「i wanna be a ハンサム」では手拍子を煽り、「ダンシングモンスター」ではマイケルTHEドリーム(Key)の手の振りに合わせてフロアーも大盛り上がり! そしてイントロで一気に沸き上がった「マッドシュリンプス」など、メロディアスでダンサブル、そして時にはメタルといった多彩な表情を持ちながら前のめりなパフォーマンスでぐいぐいと引っ張っていくのが彼らの持ち味だと改めて感じた。“日本武道館アーティストをたくさん輩出して、レーベル名からNoをとろう!”(No Big Deal /大したことない→Big Deal/一大事)と言う彼らのさらなる夢に今後も期待が高まる。
■Wienners
バーステージのトリを務めたWiennersは、圧倒的なパフォーマンス力で一気にフロアーを熱狂の渦に。ライヴハウスのステージとフロアーよりも近い距離、そしてほぼ同じ目線で繰り広げられるライヴは、フロアーで入り乱れるオーディエンスもさらなる新境地を目指すようにいつも以上の熱気であふれ返る。“No Big Dealに捧げます”と言ったNo Big Deal Records移籍後初めてリリースしたシングル「みずいろときいろ」はストレートなパンクチューン。すでにモッシュの嵐と化しているフロアーの昂揚感を玉屋2060%(Vo&Gu)、アサミサエ(Vo&Key&Sampler)のツインヴォーカルがさらに高める。最初から最後までずっとクライマックスだと言わんばかりに全力で駆け抜けるようにつながれたキラーチューン全9曲。全てを終えた後、余韻以上に清々しさを感じた。
■04 Limited Sazabys
それぞれにユニークな10組のアクトが顔を揃えたイベントの大トリは04 Limited Sazabys。2週間前に日本武道館をいっぱいにした彼らのライヴをこのサイズのライヴハウスで観られることにまず感謝。“新宿やれんのか!”というRYU-TA(Gu&Vo)の雄叫びから「Terminal」「fiction」と畳み掛けると、フロアーの前半分ではモッシュだけでは満足できないファンがモッシュする観客の頭の上を泳ぎ始めた。“酒を飲みながら他のバンドのライヴを楽しみたいからトリはイヤだって言ったのに、これだ(笑)”とグチをこぼすGEN(Vo&Ba)のヴォーカルは、この日ちょっとメロウに聴こえたけど、それはさておき、鳴かず飛ばずだった自分たちを拾ってくれたNo Big Deal Recordsに感謝を述べながら、アンコールの「swim」まで一気に駆け抜けた。日本武道館に辿り着いたバンドの出自がパンクとライヴハウスにあることを改めてアピールするものだったと思う。
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