L→R DJ KATSU(DJ)、TOC(MC)

L→R DJ KATSU(DJ)、TOC(MC)

【Hilcrhyme】5周年に相応しい最高の
シングルができた

武道館は集まってくれた人の人生に関わ
れるようなライヴをしたい

では、その3曲目「Summer Up」についておうかがいしたいのですが。

TOC
現行のクラブで鳴っているような4つ打ちですね。それにラップを乗せてHilcrhymeでパッケージするのは初めてなので、反響がすごい楽しみです。サマーチューンだし、野外フェスとかでガンガンやっていこうかなと思っています。

3曲目にそういうものを持ってきたというのは、3曲のバランスを考えた時にアッパーなものが欲しかったからで?

TOC
最初はそんな感じだったんですけど、“アッパーってなんだろう?”ってところからふたりで話し合って。“アッパー”ってすごいざっくりした言葉だなと思って、ふたりの趣味とか好きな音楽を擦り合わせていった…なので、この曲は完全にDJ KATSUくんのプロデュースで、DJ KATSUくんのディレクションで出来上がりました。そういうのも初めてでしたね。ヴォーカルのディレクションもDJ KATSUくんがやったので。だから、5周年と言えど、新しいことをやっていく提示がしっかりできている。新しいHilcrhymeだなと思います。

DJ KATSUくんはアッパーなものということで、EDMっぽいものをやってみようと?

DJ KATSU
そうですね、最初はテンポ的に速めな曲を作ったんですけど、結構ありきたりな感じになってしまって。それでは真新しさがないってことから、“アッパーってどういうことだろう?”ってふたりで話し合って、テンポが速いからってアッパーではないだろうという話になり、テンポにこだわらずアッパーな曲ということで、明るいコードを使ってテンポ的にはあまり速くない曲もやったんですけど、それはそれでどうなんだろうということになって(笑)。で、これはもう振り切ったほうがいいだろう、と。個人的に俺はもともと4つ打ちのDJをやっていたけど、TOCはハウスとかエレクトロには詳しくないから、“DJ KATSUくん、好きにやっちゃいなよ”ってことになって、完全にそっち方向に振り切ってやってみようというところから、まず第一段階のオケができたという。そこからは結構EDMなトラックになったから、歌の入れ方も今までのHilcrhymeと全然違ってて…まぁ、ヴォーカルを録る時もふたりでいろいろ話し合ってやっていった感じですね。

このトラックが上がってきた時のTOCくんの感想は?

TOC
最後の3曲目が揉めて、なかなかふたりの納得いくものができなかったんですね。で、さっき言った通り、DJ KATSUくんに振り切って好きなものを作ってみたらって言ってできてきたのがすごい良くて。その“良かった”ってのは、曲もなんですけど、ちゃんと自分のやりたいことをやっている感がすごい出ていたからで。それは今のHilcrhymeに必要なものだと思うんですよ。で、そういう新鮮なもの…自分にとっては普段乗せたようなことがないトラックにラップを乗せるのが楽しくて。ラップの書き方が全然違うというか、とにかく楽でした(笑)。こんなにラップを書くのが楽なのは初めてなくらい。

楽というのは?

TOC
今までだったら自分でテーマを決めて、方向性も決めて、さらに映像も頭の中に浮かべつつ、ライヴではどういう構成でやるとかも考えてやってるんですけど、そいうのを一切考えずに、全部DJ KATSUくんに任せられたというか。EDMやダブステップの流れを汲んでいるトラックだし、DJ KATSUくんはそっちの分野に俺の100倍詳しいから、自分はラップを書くだけで良かったんですよ。プロデュース感覚がまったくない曲を作るのが始めてだったから、もっとこういう曲が欲しいですね(笑)。単純に楽しいし。

自分はラップのことだけを考えれば良かったと?

TOC
そうですね。例えば、「鼓動」に関しては100パーセント自分じゃないですか。作詞から作曲、全部の方向性も含めて。やっぱり、体力の消耗がすごいんですよ。それに比べると、この曲は歌詞も半日で書けたし…あんまり歌詞に意味なんて正直なくて、とにかくアガれればいいと思っていたので。でも、抜くところは16小節丸々抜いてる。そういうのは今までなかったし、すごくいい曲になったと思いますね。普通にフェスが楽しみです。歌詞もすごい遊んでいて…ちょっと下ネタにもいっているんですけど、そういうのすらも今まではできなかったから。自分たちで作り上げたHilcrhymeのイメージに、自分たちが縛られているところがあったんですよね。でも、DJ KATSUくんからこのトラックが上がってきた時、これだったらふざけた歌詞でも全然大丈夫だろうと。“夏の大三角形”って星座があるじゃないですか。それを女の子の水着の胸の谷間に例えて歌ったりとか(笑)。
DJ KATSU
これ、本当反響が欲しいですね。反響が良ければこういう曲もやっていきたい。言ってしまえば、EDMって“盛り上がれ”っていう歌詞だけでも成り立つようなジャンルだから…今クラブとかでメインにかかっているのは、そんな曲ばかりだし。だとしたら、J-POPでこういう曲があってもいいだろうって。

そういうものをHilcrhyme流にやったらこうなると?

TOC
まぁ、少し遅ればせながらもという感覚はあるんですけど。1年以上前だもんね、このムーブメント。でも、“いいものはいい”…この時代でEDMがクラブの主流になっているというのは意味のあることだから、そこで斜に構えるのではなく、自分たちもそこに乗って、それを乗りこなすというか。そういう姿勢になれたというのもひとつの変化ですね。そういうのを断固拒否していた部分があったので、自分の中で。

デビューから5年を経て、Hilcrhyme自体も柔軟になったわけですね。

TOC
そこがこれからの音楽の別れ道なのかなと思っていて。“分岐点”ってさっき言ったんですけど、自分たちの姿勢によって勝ち組と負け組になるかがはっきり分かれる時代だと思うんですよ。柔軟に…けど、流行るものでも悪いものは悪いし、いいものはいいんで、そこを明確に見極めてやっていきたいですね。

そういう意味でも、今の自分たちがやりたいことをしっかり落とし込めていて、この時期に出すことに意味を持ったシングルになりましたね。

DJ KATSU
そうですね。基本的にいつでもそういう意識ではいるんですけど、特に今回は3曲というのもあって、それぞれ全然個性の違う3曲になったなって。“こんなのもやるし、あんなこともできる”みたいなすごいいいバランスなんじゃないかと思います。

そして、いよいよ武道館公演が迫ってきましたね。さっきTOCくんも言ってましたが、サブタイトルが“Junction”だと。

TOC
“接合点”や“分岐点”という意味なんですけど…全国からファンの人が集まってくれるわけですが、そこからどうするのか?って。このライヴを観て、“自分はこういう人生を進む”とか、“この道を行こう”とか、そういうふうに集まってくれた人の人生に関われるようなライヴをしたいですね。だから、まったく感傷に浸るとかはないんですよ。目標だったけど、そういう感覚よりは“さぁ、次どうしよう?”って終えた後のことを考えている…まだ終わってないですけど(笑)。やっぱり地元の友達とかは“ついに武道館だね”とか、“大変だったでしょう、今まで”みたいな、まるでそこで解散するかのような反応を示すんですけど(笑)、まったくそういうふうに自分たちはとらえていないですから。ちゃんとそれをライヴで言いたいですね。

そんな武道館ではどんなライヴが期待できそうですか?

TOC
今までの曲をもちろんやるじゃないですか。古い曲もやりたいと思ってるんですよ。それを今のスキルでやる! 昔のDVDを観ると下手クソだなって、今の自分は思うんで、そこをちゃんと今のスキルで見せたいですね。あと、5年経てば音楽機材なんてめちゃくちゃ変わってるわけだし、そういうところの進化も見せたいです。
DJ KATSU
ダンサーが加入して、ライヴは常に8人でやっているんですけど、ひとまずその8人でやってきたもの…5周年での集大成じゃないですけど、その体制が固まりつつあるから、その全力のものを披露したい。ライヴに関してもいろいろな機材を導入してみたり、いろんな人とやってみたりしたので、そういうのを全部ひっくるめた総集編的な内容になるんじゃないかと思います。
「FLOWER BLOOM」2014年08月13日発売UNIVERSAL J
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • UPCH-9945 1602円
    • 【通常盤】
    • UPCH-5817 1204円
Hilcrhyme プロフィール

ヒルクライム:ラップユニットとして2006年に始動。09年7月15日にシングル「純也と真菜実」でメジャーデビュー。2ndシングル「春夏秋冬」が大ヒットし、日本レコード大賞、有線大賞など各新人賞を受賞。ヒップホップというフォーマットがありながらも、その枠に収まらない音楽性で幅広い支持を集めてきた。また、叩き上げのスキルあるステージングにより動員を増やし続け、14年には初の武道館公演を完売。「大丈夫」「ルーズリーフ」「涙の種、幸せの花」「事実愛 feat. 仲宗根泉 (HY)」などヒットを飛ばし続け、24年7月15日にメジャーデビュー15周年を迎える。ライミングやストーリーテリングなど、ラッパーとしての豊かな表現力をベースに、ラップというヴォーカル形式だからこそ可能な表現を追求。ラップならではの語感の心地良さをポップミュージックのコンテクストの中で巧みに生かす手腕がHilcrhymeの真骨頂である。耳馴染みのいいメロディーと聴き取りやすい歌詞の中に高度な仕掛けを巧みに忍ばせながら、多くの人が共感できるメッセージを等身大の言葉で聴かせる。その音楽性は、2018年にラッパーのTOCのソロプロジェクトとなってからも、決して変わることなく人々を魅了している。Hilcrhyme オフィシャルHP

OKMusic編集部

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