映像で空間を演出する人気VJが語る!
VJ目線から見たクラブシーンについて

DJ HACKsをごらんのみなさん、こんにちは!
です。

7月のゲストライターシリーズをお送りします。
毎月人気DJの方にインタビューをしてきましたが、今月は少し切り口を変えてみて、、、
DJではなく、DJの流す音楽にあわせて映像を映し出す「VJ」の方にお話を聞いてみたいと思います!

都内のビッグクラブで活躍する人気VJ
REi TOMiNAGAさんにインタビュー

今回インタビューさせていただいたのは、
さん。
都内のビッグクラブ・ビッグパーティーにひっぱりだこの人気VJさんです。
クラブでいつもなにげなく見ているスクリーンに映し出される映像。
あれを巧みに操作しているのがVJです。
普段VJの方はどのようなことを考えてプレイしているのか?VJのあれこれ、VJ目線から見たクラブシーンというものを知る貴重なチャンスです!➖➖➖まずは簡単にご自身の自己紹介からよろしくお願いします!DJ HACKsをご覧の皆さん、はじめまして。
僕は、VJ REi.TOMiNAGAという名前で活動しているVJです。
夜はクラブVJとして、昼は広告・音楽・舞台などジャンルレスに映像クリエイターとして活動しています。
どこか事務所などに所属することなく、どちらもフリーでやっています。

1.) VJって何をやっているの?

➖➖➖まずは”基本中の基本”的なことからお聞きしたいのですが、クラブでVJはどのようなことをやっているんですか?まず、VJという存在をご存知ない方が大多数だと思います。
が、実はその大多数の方はクラブや音楽フェス、コンサート・ライブ会場で
VJの仕事を実際に眺めていることが多いんじゃないかと思います。
プロジェクターや大画面テレビ、最近では大規模なLEDスクリーンなど、
音楽に合わせて図形や風景、歌詞、ミュージックビデオが流れたり
ライブカメラに切り替わったりしているのを見たことありませんか?色んな映像が準備してあり、まさに裏で実際に操作している人がいるわけです。

2.) 集中力が命!VJをしている最中に考
えていること

➖➖➖まさにその瞬間瞬間で音楽に映像を合わせるということですが、どのようなことを考えながらVJプレイを行っているんですか?僕の場合、ざっと言うと以下のようなことを考えながらVJしています。「今ちょっとずつ聴こえてきた次の曲はあの曲かな?この映像と歌詞はこの歌詞を」
「この曲はブリッジ部分で”LOUDER”っていうシャウトがあるので、文字をすぐ出せるように準備しておこう」
「照明やレーザーがグリーンだから、映像もグリーンの映像を出そう」
「この曲はハードだから、AとBの2つの映像を1拍ずつ切り替えて、8小節目でバスドラムが抜けるからその時にはCの映像を出そう」
「次の9小節目からはDとEの映像を出そう」
「今プレイしているDJは1番のサビから3番のサビに飛ぶエディットを普段使うので、映し出すミュージックビデオを先に飛ばしておこう」クラブVJの場合、ほぼその場のアドリブで合わせるので、常に先読みして映像を準備しています。
また、使う歌詞や文字、CG、出演者などの映像を実際に自分で制作して
前もって仕込みを準備してから会場に乗り込みます。毎晩トータル5時間くらいずっと上記のようなことを考えながら連続でやっています。
厳密にはもっとバリエーションがあり、複雑になってきます。もちろん自分が知らない曲もたくさんあり、そういうときは
真の意味でアドリブと感性で瞬間的にたくさんの映像を切り替える作業になります。補足として、僕のように事前に制作してある映像でVJをしている方もいれば
自分でソフトをプログラムし、機材の組み合わせで、生の音楽をマイクで拾って
リアルタイムで画像に変換する、というスタイルのVJもたくさんいらっしゃいます。前者はアナログ的な、後者はデジタル的な手法といえるでしょう。
しかしどちらもVJという人物の思考がフィルターされたパフォーマンスなので
同じ曲でも人によってまったく違う、多種多様なVJプレイとパフォーマンスが見れるのが
VJプレイを見る楽しみとも言えますね。

3.) VJ REi TOMiNAGAのルーツ: はじめ
ようと思ったきっかけ

➖➖➖「VJってセンス勝負だしとても難しそう」というのが今お聞きした中での正直な感想です。REiさんがVJを始めるきっかけってなんだったんですか?大学生のときですね。
当時、東京の八王子のとあるクラブでアルバイトをしていた友人が
そのアルバイト先でイベントをやることになり
それにあたってVJを探している、という話がありました。僕は美大に進学すると決めた高校生の時から
CGや3Dの制作ソフトを勉強と趣味で使っていて、
自分が作ったものを動かすVJというものに興味があり、VJソフトも家で一人で使っていました。
それで、この話を聞いたときにこれはいい機会だと思い、名乗り出ました。それからはそのクラブですぐレギュラーを持てるようになり
たくさんの方に出会い、それを繰り返し、今に至る、といったような感じです。これからもしVJをやってみたいなと思う方がいたら、
ぜひVJソフトを導入してまずは気軽に家でやってみてください。今は体験版などもありますので。VJをはじめる人へ!おすすめのソフト紹介僕のおすすめのVJソフトはResolume、VDMX5、GrandVJ、Grok、Krakenなどです。

4.) 2つの顔: プレイヤーとしての自分
、クリエイターとしての自分

➖➖➖クラブでVJをするプレイヤーとしての自分、映像を制作するクリエイターとしての自分。REiさんがそれぞれで気をつけていることってなんでしょうか?一見すると、両者はすごくかけ離れた行為に思われるかもしれませんね。“クラブで一晩で1つのムービーを音に合わせて作る”
“10日間かけて1つのムービーを、静かな部屋で机に向かって作る”前者は瞬間的な手さばきや直感、後者は何度も長考してやり直しを経て、
プロセスは違うものの、何かを作るというのは同じです。
そこで僕が大事にしていることが、2つあります。クラブの場合だと、”フロアに集まったお客さんにどう見えるか“、”どういう演出が望ましいか?”
クリエイターとしての場合だと、”クライアントの意見“だったり、”大勢に伝わるわかりやすさ“だったり。大事なこと1つ目がこの、第三者視点です。そして、自分個人のフィルターを通して表現すること、これが2つ目です。例えば、
「この曲は雰囲気的に緑が合うんじゃないかな?」
「文字のレイアウトはこういう風に組んだ方が見やすくて、しかもかっこいいんじゃないかな?」
などなど。やっぱり自分の思考を反映させたり、主張も必ず入ってます。そして大事なのが、うまく自分の主張と第三者視点とのバランスを取ることでしょう。
この2つが離れすぎていると反りが合わず、お客さんやクライアントから評価をしてもらえませんし。
自分の作ったもの、表現を盛り込むことは、クリエイターとしてモチベーションを保つ上で欠かせません。

5.) VJから見たVJの魅力に迫る

➖➖➖ここでズバリ!ざっくりな質問です。REiさんにとって、VJの魅力ってなんですか?また、やっていて一番心にグッときたエピソードを教えてください。魅力はたくさんあります。書き切れないくらい。
上でも少し触れましたが、やはり一番は自分の信じるもの、デザインだったり、
レイアウトだったり、演出だったり、それを発表できること、ですね。グッとくる!これもたくさんあって、
大多数の人が気づかないような細かいこだわりに、気づいてくれる人がいたときだったり、
例えば「画質があがったね」とか「新しい映像だね」とか声をかけてもらえたり。他には、照明やレーザーのオペレーターさんが僕の使う映像に色やタイミングを合わせてくれる、とか。
照明やレーザーの方もVJと同じくその瞬間瞬間でのアドリブ作業なので、
お互いセッションしているかのような楽しみはありますね。
意思疎通してないのに、バシっと演出が合わさったときは楽しいですよ!そして、僕はもともと音楽が好きで始めたVJなので、
クラブに遊びに来るみなさんと一緒で、知らない曲・カッコイイ曲に出会えたときは楽しいです。

6.) 近い未来に現れるであろう、VJの新
しい形

➖➖➖現在都内のクラブでは、DJブースのバックに大きいスクリーンがドーンと構えるところが増えてきていますよね。これは”DJによる音楽だけでなく、空間全体を演出しビジュアルを重視するところが増えてきた”という解釈ができると思います。今後VJの需要が高まっていく中で、どのようなことを感じていますか?すごくうれしいですね。自分以外でもたくさんのVJの活躍の場が増えて、
またこれからVJの人口も増えていく、そんな予感がしています。お客さん目線で考えても、色んなVJが世に出てきて、VJごとに違った映像があり
目にも耳にも楽しい、そんなクラブが増えることを願ってます。VJはリアルタイムパフォーマーで、ダンサーに近いものだと僕は思っており、
画面やスクリーンは僕の手だったり足だったり、身体の延長、身体の一部だと思ってます。
その手が大きく見えやすくなることは、すごくパフォーマンスする側には、やりやすくうれしいです。そして近い未来の話をすると、機材の発展によってスクリーンにとどまらず、
まだ見ぬ演出、パフォーマンスが生まれる気がしています。
例えば、LEDスーツのパフォーマーがVJの映像を身にまとうことがあったり、
レーザーや照明にも映像が使われたり。僕は実際にクラブでLEDスーツを着て何度かダンサーをした経験があります。
それまで僕は映像だけでしたが、可能なら新しい表現を取り入れていきたいという考えからです。
現にそういったパフォーマンスをすでにやっているダンサー、パフォーマーの方はたくさんいらっしゃいます。視覚的に楽しければそれもVJと言えるのではないでしょうか。僕は映像やCGが得意だったからこそ映像を武器にしていますが、
誰かを楽しませたい、演出で盛り上げたいという思いは、
どんな表現でも、手に取ったものがレーザーでも照明であったとしても変わらないです。今言ったような新しい形態の映像を使ったパフォーマンスが生まれるのは楽しみですが、
ぜひ、それを発信していく、新しい演出を作っていく、そういう立場にいたいと思っています。

7.) 今のクラブシーンに求められるもの
: 個性・オリジナル

➖➖➖VJ目線から見てみて、今のクラブ・DJシーンについてどう考えていますか?日本でも大規模なDJフェスが開催されたり、スターDJが誕生したり
それを目指してDJ人口、クラブに遊びにいく人口が増えたりしていて、すごくうれしいです。
ネットでも海外のメインストリーム、ヒットチャート、世界の流行がすぐに掴めます。ただその反面、レコードプール、SNS、動画サイト、TV・メディアなどで情報収集が簡単になったおかげで
DJはヒットチャートに寄ること、VJで言えばわかりやすさ、それに一元化している気がします。
これはフロアにいるお客さん側にも言えるのではないかなと思っています。
お客さんも同様で、情報が掴みやすくなりました。それによって、個人の感性・パフォーマンス・オリジナルを売りにする人が減ってきたのではないかという懸念があります。
大勢の人に伝わるわかりやすさ、これに偏っているのが今のシーンだと思います。
もちろんどちらも大事なことなのですが、やはりバランス、ですね。DJはヒットチャートの曲を掛け、VJはMVや歌詞など決まった映像を出す。
わかりやすさがダメというわけではないですが、どこへ遊びに行っても同じ音楽があって似たような演出がある。同じ商品があるようでは、お客さんも特定のお店を選ぶ理由が見つからないと思います。余談ですが、これはクラブのエントランス価格を下げる競争などにももしかすると影響を与えているのかもしれません。ちょっとさかのぼると、15年前くらいのトランスブームのときは
日本でもたくさんのクリエイターが活躍し、日本のクラブでは日本の曲がたくさんのピークタイムを飾りました。
そして、海外でも活躍するたくさんの日本人スターが生まれました。
日本でも今年開催される”Sensation”や”Dance Valley”など。今現在、例えばオリジナル楽曲やリミックスワークで勝負しようとすれば
海外のトップクリエイターとすぐに比べられることになり、そこで芽を出すのは難しいことです。
ミックスやスクラッチなど技術の面で言ってもそうでしょう。海外のEDMスターのようにロゴを作って同じようなパフォーマンスをして、カッコイイ写真を撮って、海外のヒット曲をかける。
このようなDJは一見スターに見えますが、ただの誰かのマネでしかない。
そこから本当の意味でのスターが生まれるのか、と僕は疑問に思っています。それに気づいて制作やオリジナル曲に傾倒したり、技術を磨いたり、
自分だけのオリジナルを売り出そうと勝負している方もたくさんいらっしゃいます。
ぜひ、今の目の肥えたお客さんだからこそ、その違いに注目してみてください。僕の願いとしては、日本でまた新たなスターの誕生を間近で見たいですし、
自分もオリジナルのパフォーマンスを欠かさずやっていきたいと思っています。

8.) ズバリ!これからのクラブシーンを
予想

➖➖➖これまでVJのあれこれ、VJ目線で見たクラブシーンについてお話いただきましたが、これが最後の質問になります。これから風営法の改正とともにクラブシーンも大きく変わっていきます。それに向けて思っていること、ご自身のこれからの展望をお聞かせ願いますか?
法律の改正はうれしいです。
遊び場の一つとしてクラブは知ってるけれど、行ったことはない。
そんな一般層への認知度も高まるんではないでしょうか?風営法の問題で今までスポンサーにつきにくかった企業などもこの業界に乗り出してきて
大規模なクラブや豪華なクラブが誕生したり、
既存のクラブも大規模なリニューアルなど様変わりするかもしれません。
それに伴って、新たなスターも続々と出てくることでしょう。一つ前の質問でも答えたことで、自分への戒めでもあるのですが
その時期に備えてスキルを磨いてステップアップする立場に居たいですね。ゲストライター情報VJ REi TOMiNAGA
VJ REi TOMiNAGA
VJとして年間300を超えるクラブイベントに出演。
club camelot、ATOM TOKYO、ageHaにおいてレギュラー出演。その一方で映像作家として、TVCM、ミュージックビデオ・トレーラーなどを制作。
アパレル店・飲食店や街頭広告、ファッションブランドに映像を提供、
ファッションショーやアーティストライヴの舞台映像演出も手がけている。VJとして歌詞やMVを駆使したPLAYが話題を呼び、
その一方で幾何形体を使った表現や、
ライティングを意識した色彩感覚が高く支持されている。
楽曲知識と映像制作技術の高さから多種多様の現場を飛び回り
大型野外フェスや海外クラブへもVJとして出演している。東京では数多くのクラブへ映像を提供し
近年では日本国内のみならず、海外のクラブへの出演や
映像プロデュースも行っている。

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