KIRITO

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【KIRITO インタビュー】
何から何まで自信を持って
“これだよ!”と言いたい想いがある

昨年11月にリリースされたアルバム『NEOSPIRAL』を携えたツアーでソロアーティストとしての魅力を示し、高い評価を得たKIRITO。そして、前作から1年という早いペースで新作『ALPHA』を完成させた。長いキャリアを築いてきて、今なお音楽に対する意欲を失うことのないKIRITOの最新の声をお届けしよう。

自分の中では2部作みたいな
構想が最初からあった

前作『NEOSPIRAL』からほぼ1年という短いスパンで、ニューアルバム『ALPHA』が完成しましたね。

『NEOSPIRAL』をリリースする時に、自分のミュージシャンとしての人生の第三幕が始まった感覚が強くあったんです。PIERROTというバンドがあって、Angeloというバンドがあって、ソロはその途中でもやっていたけど、自分の中ではバンドがあった上でのソロだったので言い方は難しいんですが、本道ではなかったんです。もっと言ってしまえば、バンドに100パーセントを注ぎ込んでいたから、以前のソロ作品は自分にとってはあってもなくてもいいようなものだった。だけど、Angeloが終わって本格的にソロ活動に自分の全てを100パーセント入れるとなった時に、考え方がまったく別のものになったんです。その第1弾として『NEOSPIRAL』があって、その『NEOSPIRAL』だけではライヴパフォーマンスの際に曲が足りないから過去の曲をピックアップして入れるんですけど、そのままだと温度差が違いすぎるんですよ。だから、『NEOSPIRAL』の曲と混ざってもおかしくないように、かなりヘヴィにリメイクしたりして演奏していたんですが、やっぱり自分の中ではあと10曲くらい新しい曲が必要だという想いがあったので、早めにもう1枚アルバムを出したいと思っていたんです。そういう意味では、今回の『ALPHA』を作ったことでボリューム的には補完できましたね。

おっしゃるように昔の曲をリアレンジしたり、新曲を少しずつライヴに足していくパターンもありだと思いますが、そうではなくて新しいアルバムを作られたのはさすがです。

僕の中にはライヴにしても、セットリストにしても、何から何まで自信を持って“これだよ!”と言いたい想いがあるんです。だから、アルバムを作りたかった。ただ、ソロでは音源を作る時の作業量というのが、バンドと比べものにならないくらい多いんですよ。曲を作るところから入って、いろいろなスタジオ作業を経て、マスタリングまでと考えると、とんでもないことだと今回改めて思いました(笑)。

KIRITOさんは全ての行程を、ご自身で手がけられますからね。新作を作るにあたって構想などは制作に入る前からあったのでしょうか?

“ALPHA”というテーマ自体は、すでに『NEOSPIRAL』の時からありました。自分の中では2部作みたいな構想が最初からあったんです。『NEOSPIRAL』があって、『ALPHA』があるというのがひとつの流れで。『NEOSPIRAL』は新しい螺旋構造というか、染色体というか、自分の中では新しい種が始まる感覚だったんです。それは自分の人生になぞらえていて、本当に新しい生き物として始まるという意識があったので、そんな『NEOSPIRAL』を出したあとにもう1枚アルバムを作って、始まりを成立させたかった。なので、“究極の始まり”ということで、“1”という意味の“ALPHA”につなげていこうと決めていました。

常に先を見られているんですね。ただ、KIRITOさんは日常的に曲を作るタイプではなくて、リリースが決まってから曲作りを始められるんですよね?

だから、今回はもう本当にギリギリ…いや、ギリギリどころじゃないところまでいきました(笑)。

そこも含めて、早いサイクルでアルバムを作り、完成度も非常に高いということに圧倒されます。『ALPHA』の収録曲は『NEOSPIRAL』と同じく、アルバムの曲順どおりに作っていかれたのでしょうか?

いえ、今回はわりと出てきたものから作っていった感じでした。いろいろ効率を考えて作業を進めていった部分もあったので。今回はとにかく曲を作っていって、最終的に順番を組み直した感じです。アルバムの真ん中辺りにある曲を最初に作っていった気がしますね。4曲目の「REPEAT」とか、9曲目の「Muddy stream」とか。その辺のわりとスタンダードなヘヴィなものから入って、そこからバラードだったりを作っていって。で、最後のほうにイカれちゃっているものを作りました。最後に自分の弁をガーン!と外してしまって、やりたい放題にやるセクションに入っていき、1曲目の「THE ULTIMATE BEGINNING「ALPHA」」とかMVでも出した3曲目の「BALANCE」とかは最後のセクションで作りました。

なるほど。制作の後期に作ったラウドなものも完成度が高くて、最後まで妥協しなかったことが分かります。特に「THE ULTIMATE BEGINNING「ALPHA」」はアグレッシブなナンバーで、ヴォーカルやリフ、そしてサウンドなど、カッコ良さ満載の一曲です。

この曲に関しては、アルバム全体のコンセプト、歌詞的なコンセプトはしっかりあるけど、同時に見せ方というのもあって。MVだったり、アーティスト写真だったりのアートワークは、また別なんですよね。パッと目に入ってくるビジュアルの部分では、本来のKIRITOらしさを打ち出したいという想いがあるんです。例えば独裁者的なものだったり、危なさだったり。ビジュアルイメージに関しては時代性や他の人が何をやっているかといったことは関係なく、“これぞKIRITOだ!”というものを出して、さらにアルバムの頭にそれとリンクするものを入れたいというのがあったんです。だから、1曲目の「THE ULTIMATE BEGINNING「ALPHA」」は演説から入って、行進のマーチみたいなスネアロールからガンッ!とダークなものが始る流れになっていて。まさに“やりたいことを詰め込みました!”という感じです。

KIRITOさんは真摯に音楽や自身の作品と向き合う方ですが、同時にビジュアルイメージにもこだわっているのは本当に素敵です。

作品性の重厚な部分というのは作り手として譲れない部分としてあるけど、自分がやっているのはエンターテメントですから。お客さんがライヴやステージ、アートワークを見た時に、ガッ!と目に入ってくる分かりやすさだったり、単純にカッコ良いと思ってもらえるといったことも大事だと思うんですよ。それも全部込みでエンターテインメメントだと思っているので、ビジュアルイメージにもこだわりたいというのはありますね。

さすがです。そして、「THE ULTIMATE BEGINNING「ALPHA」」はアグレッシブな曲ですが、歌詞は“立ち止まることなく自分が目指す未来へ進め”とリスナーの背中を押すものになっていますね。

この曲は英詞がかなりの割合を占めていますが、やはり演説というか。鼓舞しているようなイメージですよね。それこそ新しい種の独裁者みたいな立ち位置で。ダークな曲だけど、歌詞は決してダークだったり、ネガティブだったりではなくて、新しいものを始めるにあたって力強くみんなを鼓舞するようなものになっています。
KIRITO
アルバム『ALPHA』【初回限定生産盤】(CD+DVD)
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OKMusic編集部

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