カノエラナ

カノエラナ

【カノエラナ インタビュー】
より作家の目線になっているところは
あるのかもしれない

最新作「Queen of the Night」はオールタイアップシングル。アニメが大好きなカノエラナならではの視点、感性、表現力が発揮された3曲は、エンディングテーマやイメージソングとして抜群に輝いている。新たな挑戦を重ねながら作風を広げている彼女に、今作について語ってもらった。

新しく作品を作る時の感覚は
“やり直している”みたいな感じ

アニメのために曲を書き下ろす機会が増えていますね。

はい。まさか3つもタイアップをいただけるとは思っていなかったです。自分の好きな分野に足を踏み入れる怖さもあったんですけど、大きい場所を与えてくださることに感謝しています。

創作面の変化は何かありますか?

より作家の目線になっているところはあるのかもしれないです。“自我を通すか?”“ストーリーに沿うか?”“あえて対極にあることをするか?”とか、いろいろな考え方がありますけど、今現在はアニメの絵のことを考えたり、“オープニングで流れるのか? それともエンディングで流れるのか?”と考えて作るようになっています。自分の中で自分自身と1回縁を切って曲を書き上げて、そのあとで“でも、自分はどうしてもこう思うんだ”というのを少しずつ出していく作業は前々からやってきたんですけど、それをより細かにやるようにもなりました。“自分が! 自分が!”という曲をずっと歌ってきたわけではなかったし、ある程度誰かの目線になって歌う姿がカノエラナの像としてもともとあったので、その方向により振りきるというか。つまり、作品に向き合う角度が変化したということだと思います。

アニメのオープニング、エンディングで流れる曲は、約90秒の尺の中に収めるのも大切になってきますが、その点はもともと得意でしたよね?

はい。秒数感覚は前々からあったんです。30秒で弾き語りをする動画を昔から作っていたので、時間の感覚が身についていたというのもあるんですけど。そういう部分がありつつ、余韻のことはより考えるようになっています。TDの時に“どうしたらアニメっぽく終わりますか?”みたいなことを相談したり、いろいろ研究するようになっています。ど頭にイントロを入れるか、歌始まりにするかによっても印象は変わるので、“今風にするなら歌始まりでしょ!”“これは雰囲気ものだからイントロがあったほうがいい”とか、自分自身と相談しながらやっています。そこも昔と比べて大きく変化したことですね。

例えばエンディングテーマは、余韻を残すことが大切になってきますよね?

そうなんですよ。アニメ本編を観たあとのみなさんの想いもありますから、そこも考えています。エンディングテーマとなっている「Queen of the Night」と「ヒカリ」に関しては、“ストーリーの先のことは見えているけど決定的なことは言わない”みたいなニュアンスで作って、作品の雰囲気を大事にする寄り添い方をしています。まさに“寄り添う”というのがコンセプトになってきていますね。

アニメタイアップは幅広い層に聴いていただく機会にもなりますよね?

そうですね。私の曲が好きで聴いてくださっている方にはずっと言い続けているんですけど、まずはそれぞれの曲が流れる作品を観ていただきたいです。“この作品と向き合ってカノエラナはこう感じたんだよ”という感想が曲なので、作品を観ていただけたらより深く伝わるものがあると思います。私もアニメがすごく好きですし、今回も愛を持ってそれぞれの作品と向き合いました。

表題曲「Queen of the Night」はTVアニメ『ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~』のエンディングテーマですね。

はい。中世が舞台の作品です。私は昔から中世に興味があって、小学生の頃からその頃の人物の伝記漫画を読んでいました。装飾品とかも王侯貴族っぽいモチーフのものが好きだったりするので、このアニメの世界に入り込みやすかったです。

斬新な設定のアニメです。ティアムーン帝国の皇女ミーアがギロチンで処刑されるわけですけど、目覚めると12歳の頃に逆戻りしているという。

そうなんです。処刑を回避するために人生をやり直すんですよね。コミカルさもあるんですけど、シリアスな部分もある物語です。ミーア姫がどう行動していくのかを楽曲として表したかったので、彼女の芯のあるところも入れています。我が儘で横暴だった彼女ですけど、どんな状況でも日記を書き続けているんです。そういうところに芯の強さを感じますね。“例え打算によるものであったとしても、善行も愚行も結局は自分に帰ってくる”というのがこの物語の根底にあると感じたから、そういうものも垣間見える曲にしたいと思っていました。

アニメの製作側からのリクエストとかはありましたか?

“オープニングの曲は楽しい感じのものになるので、エンディングはそれとはまた別のタッチのものにしたいです”とおっしゃっていました。“星空”“月”“宇宙”“ひとりで歩いていく”みたいなイメージもいただいたので、それを踏まえつつ決意の曲にもしたいと思いました。

切なさがありつつ凛々しさも伝わってくる曲ですね。気品も感じます。

一生懸命に“お嬢様! お嬢様!”っていうことも考えながら書きました。大理石のイメージとかも思い浮かべましたね。“大理石、私の家にはないな…”と思いつつ(笑)。紅茶やスコーンとかは家にあるので、なんとかしてヨーロピアンな雰囲気を感じるようにして。あと、ミーア姫が書いていた日記から読み解いたものが先の展開につながる物語なので、その部分も外したくないと。曲を聴いていろいろ読み解いてくださると嬉しいです。

このアニメはタイムリープの物語としても斬新ですね。

そうなんです。誰か別の人に生まれ変わるのではなくて、過去の自分自身になるので。12歳の自分になるミーア姫はちゃんと自分自身で考えて世直しをするというか、しっかりと財政のこととかに向き合うんです。それは自分自身のためにやっていることでもあるけど、彼女の行動はいろいろなことを変えていくんです。先走りすぎて変なことになる場合もあるんですが(笑)。まるで勇者の物語みたいだと感じています。ミーア姫は自らの意志で未来を切り開いていく騎士のようでもあるんですよね。

ミーア姫みたいに“過ちを繰り返さないために人生をやり直したい”と思ったことがある人は結構いるでしょうね。カノエさんはそういうことを考えたりします?

タイムリープっていうことで言うと、新しく作品を作る時の感覚は“やり直している”みたいな感じなんです。ライヴもそうですね。ツアーのセットリストはずっと一緒だったりしますが、ライヴ自体は毎回違っていますから。自分の体調、声のコンディション、ステージに立つ前に感じたこととかによって、ライヴは毎回変わるんです。例えば映画を観て抱いた生々しい感情が表れたりもして。過去を振り返りつつ新しいものを作るというのは、タイムリープみたいな感じなのかもしれないです。

音楽活動を重ねる中で転生を繰り返しているんですね?

はい。毎回転生しています(笑)。
カノエラナ
シングル「Queen of the Night」【2CDs+M-CARD】
シングル「Queen of the Night」【CD】

OKMusic編集部

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