L→R 桐木岳貢(Ba)、柳田周作(Vo)、黒川亮介(Dr)、吉田喜一(Gu)

L→R 桐木岳貢(Ba)、柳田周作(Vo)、黒川亮介(Dr)、吉田喜一(Gu)

【神はサイコロを振らない
インタビュー】
ジャンル的なポップじゃなく、
“人に伝わる”という意味のポップス

誰に何を言われても
自分の力で覆すことができるから

なるほど。そして、柳田さんのフェイバリットは?

柳田
僕は「六畳の電波塔」がめっちゃ好きで。メッセージ性の強い曲はたくさんあるんですけど、僕らが音楽を通して“同じ人間同士で争わないでくれよ”っていうか、“もっとやさしい世界になったらいいな”と歌っているので。戦争もそうですけど、日々SNSを使って発信していく中で、嫌でも目に入ってくるもの…人と人が傷つけ合ったり、攻撃し合ったり、それこそ集団リンチみたいな現状を見ているのは結構つらくて。せめて神サイファンのコミュニティーから、ちょっとずつやさしくあってほしいと思うんですね。神サイとしての使命をこの曲で果たしたいっていう思い入れも強いし、未だにこのイントロからもうグッと掴まれますね。

S.O.Sを発している場所という感じがすごくします。

柳田
そうですね。このままいくと人類史上とんでもない争いが起きてしまうんじゃないかと思うし、良くない気みたいなものがいろんなところでうごめいている感じがするんですよ。その現状をちょっとでも変えたいなって。

この曲はRin音くんというゴリゴリのヒップホップ畑の人じゃないけど、リアルなリリックを描く人とのすごく意味のあるコラボをやっているなと。

柳田
本当にそう思います。この歌詞を読み返して思ったのは《柄にもなく賽の⽬を振った/お前と溢れる涙の意味》以降のラップって、レコーディング当日にRin音くんに考えてもらった…なんならほぼ即興ぐらいの感じで書いてもらったんですけど、この詞がめっちゃ好きで。《賽の目を振った》と神サイをかけてくれていて愛を感じるし、一緒にやっている意味みたいなところも出ているし、“素敵だなぁ”と思いますね。

それ以外にも要素があるとしたら、このアルバムにはTBS日曜劇場の挿入歌「修羅の巷」などいろんなタイプの曲がありますよね。

柳田
そうですね。「修羅の巷」もメッセージ性が強いし、今やライヴのど定番というか、セットリストから外せないぐらいで。僕らももがきながら音楽を続けているからこそ生まれた歌詞だし、それこそ《無様にいこうぜ/愚か者と嘲笑われたって》というのは、インディーズ時代に上り詰めていきたいっていう夢があって、その中でどうしても馬鹿にされる瞬間とかもあったけど、結果を一個一個出してクリアーしてきたんです。誰に何を言われても自分の力で覆すことができるから、特に10代の子たちに聴いてほしいですね。むしろ、今って夢を見つけることが難しいと思うんですけど、その夢がふっと湧き上がった時に踏みつぶされる瞬間もきっとあると思うんです。家庭環境だったり、学校だったり、いろんな問題があるだろうけど、全部無視して本当に自分の生きたいように生きてほしいっていう願いも入っていて。泥臭くても進んで、がむしゃらに突き進んでほしいっていう、それの先陣を僕らが切って示していきたいっていう曲です。

音像のヘヴィネスが必要な内容だったのが分かります。

桐木
一番ライヴ映えするというか、演歌みたいな感じです(笑)。

魂がこもるという意味で?

桐木
歌もゆっくりだったり、サウンドもレイドバックしたり、ベースもドラムもギターも一番表現できやすいし、魂がこもるじゃないですけど、伝わるんじゃないかと思います。ライヴで一番変化が面白い曲だと思うので、ぜひライヴで聴いてほしいですね。
柳田
キーで言うとヴォーカル的には高いはずなんですけど、非常にゆったりしたテンポ感の中で歌えるから、“演歌”っていうのすごいしっくりきましたね。

亀田誠治さんとはこの「修羅の巷」以外に「僕にあって君にないもの」も一緒に制作していますね。この曲はグランジな感じのギターサウンドでありつつ、リズムセクションの作り方が新しいなと。

黒川
本当に三点(スネア、ハイハット、バスドラム)だけでやっていて、クラッシュシンバルも打っていないんですよ。ビートに徹しているっていうか。「修羅の巷」が解放っていう感じだとしたら、「僕にあって君にないもの」は自分の内にこもって我慢するっていうイメージなんですよね。そこにペースと歌とギターが乗ってくるっていう、演奏していて別の意味で楽しいです。亀田さんとよく話していたのが“グランジしているかしていないか”みたいなことで、今回のテーマがグランジだったんですよ。「修羅の巷」も「僕にあって君にないもの」も。例えばぶっ飛んだ奴がいたら“おまえ、ロックだな”みたいなことを言うじゃないですか。それと同じ感じで“グランジしてんな”みたいな話が飛び交っていて(笑)。
柳田
でも、伝わるよね。“あっ、これグランジしてんな”みたいな。
吉田
俺らが言ってるのは、たぶんNirvanaみたいなことなんだと思うんですよ。でも、グランジってもっとあるじゃないですか。Nirvanaはどっちかって言うと異端なほうだし、Pearl Jamはハードロックの中ではグランジじゃないですか。そういう意味合いの“グランジしているかしていないか”だったと思う。面白かったですよ。

確かに面白いです。だから、今作はジャンルじゃないところで、神サイにとってのポップとは何かっていうアルバムな気がします。

柳田
はい。「What’s a Pop?」っていう曲で始まっていて、ここで言う“Pop”っていうのは、僕の中では音楽のジャンル的なポップというよりも、“どうやったら人に伝えられるんだろう?”っていう意味でのポップというか。で、この「What’s a Pop?」が実質の1曲目で、最後の「告白」は僕の中ではあとがきの立ち位置なんですよ。なので、本編の最後の曲は「夜間飛行」で終わっていて、「夜間飛行」の一番最後の歌詞は《I waana be a Rockstar》と歌っているのですが、この“ポップスとはなんぞや?”というところから投げかけて《I waana be a Rockstar》に辿り着くひとつのストーリーは、アルバム制作前段階ぐらいからなんとなく自分の頭の中にあったんですよね。

見事にストーリーになっていると思います。そんなアルバムのタイトルの“心海”は全部が出来上がってから“こういうことだな”と思ってつけたんですか?

柳田
曲が出揃ってきたタイミングぐらいで“タイトルはどうしようかな?”と考えて…このラインナップに一番しっくりくるのは“心の海”と書いて“心海”だと思ったので、このタイトルにしました。

取材:石角友香

アルバム『心海』2023年9月27日発売 Virgin Music
    • 【初回限定盤A [雪融けを願う飛行船 Live盤]】(CD+Blu-ray)
    • TYCT-69268
    • ¥5,500(税込)
    • 【初回限定盤B [最下層からの観測 & 事象の地平線 Live盤]】(CD+2Blu-ray)
    • TYCT-69269
    • ¥6,600(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • TYCT-60209
    • ¥3,300(税込)
    • 【完全数量限定Goods盤 [UNIVERSAL MUSIC STORE限定発売] 】(CD+T-shirt)
    • PDCV-1205(Mサイズ)
    • PDCV-1206(Lサイズ)
    • PDCV-1207(XLサイズ)
    • ¥6,600(税込)

ライヴ情報

『神はサイコロを振らない Live Tour 2023「心海パラドックス」』
10/28(土) 大阪・オリックス劇場
11/04(土) 北海道・札幌道新ホール
11/11(土) 福岡・福岡市民会館 大ホール
11/18(土) 宮城・仙台電力ホール
11/23(木) 岡山・岡山芸術創造劇場ハレノワ 中劇場
11/25(土) 新潟・新潟市音楽文化会館
12/01(金) 愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール
12/17(日) 東京・東京国際フォーラム ホールA

『Extra Live 2023 “Advance to「心海パラドックス」』
9/23(土) 香川・festhalle
9/26(火) 福岡・FUKUOKA BEAT STATION

『PIA MUSIC COMPLEX 2023』
9/30(土) 東京・新木場 若洲公園

『Takao Rock! 2023 - 打狗祭 -』
10/07(土)〜09(月) 台湾・高雄流行音楽センター
※3日間のうちいずれか1日に出演

神はサイコロを振らない プロフィール

カミハサイコロヲフラナイ:福岡発4人組ロックバンド。2015年結成以降、ライヴシーンのど真ん中で経験値を積み上げる中、19年発表の「夜永唄」が20年にバイラルヒットし、同年7月に配信シングル「泡沫花火」でメジャーシーンへ進出。11月には配信 EP『文化的特異点』をリリースし、12月にはSpotify年間バイラルチャートのTOP10入りを果たす。そして、21年3月にメジャー1st シングル「エーテルの正体」をリリースし、オリコン&ビルボード、ウィークリーチャートでTOP10入りをするなど、シーンでの存在感を目覚ましい勢いで高め続けている。22年3月にはメジャー1stフルアルバム『事象の地平線』を、23年9月には2ndフルアルバム『心海』リリースし、国内有数のフェスラインナップにも名を連ねる。神はサイコロを振らない オフィシャルHP

「Division」MV

「修羅の巷」MV

「朝靄に溶ける」MV

「キラキラ」MV

「カラー・リリィの恋文」
【Official Lyric Video】

「六畳の電波塔」MV

『心海』全曲試聴 Trailer

『心海』初回限定盤A [Blu-ray収録]
Zepp Tour 2023「雪融けを願う飛行船」
Live Digest

『心海』初回限定盤 B
[Blu-ray Disc2収録]
Live Tour 2022「事象の地平線」
Live Digest

『心海』初回限定盤 B
[Blu-ray Disc1収録]
東阪野音Live 2022
「最下層からの観測」 Live Digest

OKMusic編集部

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