立石俊樹&藤岡真威人が語るかけがえ
のないものとは? ミュージカル『浜
村渚の計算ノート』インタビュー

2023年8月~9月、東京、福岡、大阪、名古屋にてミュージカル『浜村渚の計算ノート』が上演される。青柳碧人による推理小説を原作に、数学好きな中学2年の浜村渚(桑原愛佳)が悪のテロ組織に立ち向かう新感覚謎解きミステリー。渚とともに事件を追う刑事として、武藤龍之介役を立石俊樹、瀬島直樹役を藤岡真威人が演じる。作中でもチームを組む役どころとなる二人に、本作の題材となる数学や役作りについて聞いた。
ーーお二人は本日(取材時)が初対面だそうですね。ぜひ第一印象をお聞かせください。
立石:僕は初対面の方の前では緊張してしまうタイプなんですが、真威人くんとは自然と話せています。撮影のとき、たまに「コッ!」って舌を鳴らす癖があるんですけど、僕以外にやっている人を初めて見ました(笑)。
藤岡:あはは! たまたまね、鳴らしちゃいましたね(笑)。
立石:あと、笑う時の独特な感じもいいなって思った(笑)。これから稽古に入って、まだまだいろんな面が見られそうで楽しみですね。真威人くんは初舞台ですし、何かあれば僕が力になれたらいいなって思っています。
藤岡:お兄様……!
立石:……できるかな~(笑)。10歳差なので「僕もようやくお兄ちゃんになれるかな」と思いながら接していたんですが……いくつか取材を受けているうちに、ちょっと自信をなくしてしまっていて(笑)。
藤岡:そんなことないですよ! どうしてですか!?
立石:お兄ちゃんっぽく感じる印象があったんだけど、実際は弟っぽいってよく言われるんでしょ? 違うこと言っちゃったなって(笑)。
立石俊樹     撮影:源賀津己
藤岡:ふふふ(笑)。こんな感じで、立石さんは先輩感を出さない感じで最初から接してくださるんですよ。
立石:それがよくないのかもしれないな!?
藤岡:いえいえ、僕はすごくありたがたいです! 親しみやすくて嬉しかったですが、これまで舞台作品にたくさん出演されている大先輩。そういう部分では頼らせていただきます!
ーーすでに原作や脚本を読まれているとのこと、感想を教えてください。
立石:もともと数学が好きということもあり、ワクワクしながら読みました。時にはなぞなぞのような要素も含まれていたり、起こる事件には人間ドラマが入っていたりする。奥深さも感じつつ、数学の楽しさを感じられる作品だと感じています。
藤岡:数学がテーマなところと、テロに中学生の女の子が数学で立ち向かっていくという発想がすごく面白いですよね。自分が今まで知らなかったような、聞いたことのない数列も出てくるし、純粋に勉強になります。数学が苦手な人でも楽しめるような、幅広い世代が面白いと感じられるんじゃないかなというのが第一印象でした。
ーーこの取材時点で稽古はまだ始まっていないそうですが、今の時点での役柄の印象は?
立石:僕たちが演じるのは、数学を使ったテロ組織「黒い三角定規」の対策本部に所属する刑事。僕が演じる武藤は作品の語り部でもあるので、全体のまとめ役のような印象があります。他の登場人物がゲージを振り切っている分、お客さんの気持ちを代弁する役どころ。ナチュラルな役だからこそ、いろんな要素を探していきたいなと考えています。
藤岡:瀬島直樹はアメリカ帰りなので、周りとちょっと感性が違うんです。言動とかリアクションがちょっとアメリカンな感じで、コミカルに動いています。自信たっぷりなところがまた、おちゃめで可愛らしい部分でもある。いい意味でキャラクターがしっかりとある人物です。
ーーご自身と重なる部分、新しく作り上げていかなければならない部分はどんなところになりそうですか?
藤岡:瀬島と自分は似ているわけではないんですが、人間らしくてストレートな性格はちょっと重なるかもしれません。僕も周りから「素直だね」と言ってもらうことがあるので、根幹は似ているのかもしれない。ただ僕は普段ハイテンションなわけではないので、自分に自信のある言動やコミカルさを演じるにはエネルギーが必要になってきそうですね。
立石:うーん……僕も似ている部分についてはまだ見つけられていないですね。特に武藤の強い正義感って、ひとつのものにずっと向き合い続ける熱量があるんです。僕ならいったん離れてから解決策を探ってしまいますが、武藤はずっとのめりこんでいる。渚に対してもずっと協力的ですし、すごく優しい人なんだと思います。
ーー作品に入る際の台本や歌唱ナンバーの読み解き方で、意識されていることは?
立石:歌もセリフも、回数を重ねること。第一印象と二回目に読んだ印象は違ってくるし、自分で拾い切れていなかったものが出てくるので。「改めて向き合おう」ということを意識的にするようにしています。全部入れることができた時点でもう一度「この作品とは?」と考えたり、原作を読み返したり。
藤岡:セリフの一つひとつが、全部相手やお客さんの耳に届くように。特にこの作品の場合は、会話の一部が聞こえないだけで話の流れがわからなくなってしまうような気がします。ボイスレコーダーで録音しながら読んでみて、直すところを確認してもう一度やってみる……という作業を今はやってみているところです。
(左から)藤岡真威人、立石俊樹     撮影:源賀津己
ーー藤岡さんは本作が初めてのミュージカル出演。どんな思いで臨まれますか?
藤岡:舞台というものに対して、個人的にはハードルの高さを感じていました。難しそう、大変そうというイメージが常にあった。同時に、難しいからこそ自分にとって新たな学びがあるはずだとも思っていて。いつかは絶対やりたいと考えていたところに、今回のお話をいただきました。お稽古から本番まで、わからないこともたくさんありますが、一つひとつ落とし込んでいきたい。歌に関しても緊張しています。プロとして活躍されている皆さんのなかに入っていくことになりますが、全力でやれることは全部やり切りたいです。
ーーこれまで数々のミュージカル作品に出演されている立石さんから見て、今作ならではの見どころや楽しみにしている点は?
立石:数学の要素が、ミュージカルとしてどういう風に表現されるのかが気になっています。今作は初めて共演する方がほとんどですし、年齢層も幅広い。自分にはない新しい表現を、稽古からたくさん見られることが今から楽しみです。
ーー本作には多彩な数学の問題が登場します。学生時代の数学の思い出を教えてください。
立石:小学校の算数からずっと得意で、100点もよく取っていました。中学のテストだと、1問だけものすごく難しい問題ってあるじゃないですか? それも解けて満点を取れたこともありました。
藤岡:すごいなぁ……もともと、できちゃうタイプだったってことですか?
立石:うーん、どうだろ? 一番得意だったから、好きになったのかもしれない。真威人くんはどうだったの?
藤岡:単元によって好き嫌いが分かれていましたね。因数分解は答えを導き出していく感覚が好きで、微分積分は難しすぎてすごく嫌い(笑)。数学に関しては気分屋でした。
ーー数学などの理系科目が学校教育から外された世界が描かれていますが、お二人にとってなくなったら困るかけがえのないものは?
立石:食ですね!
藤岡:間違いない(笑)。生きていけないですもん!
立石:栄養をとるって意味はもちろん、僕はおいしいごはんを食べるのが生きがいなんです。公演終わりに食べたいものは、毎回絶対に決めています。いろいろ食べるんですけど、ラーメンの率は比較的高いですね。自分でも作ったりしますし。ご褒美ごはんは取り上げないでほしい!
藤岡:ラーメンいいですねぇ。僕は音楽です。疲れたときや息が詰まったときに、何も考えずに音楽を聴きながら散歩してぼーっとするのがすごく好き。僕にとってのリフレッシュ方法ですね。アップテンポの、ノリの良い曲が好きです。
藤岡真威人     撮影:源賀津己
ーーオーディションで浜村渚役に選ばれた桑原愛佳さんをはじめ、多彩なキャストが揃うカンパニー。稽古場も賑やかになりそうですね。
藤岡:稽古場って、どんな雰囲気なんだろうと今からワクワクしています。楽しめる余裕、あるのかな……。自分のことでいっぱいっぱいになりそうですが、共演者の皆さんとの交流も大事にしたいです。
立石:僕も今から緊張しています。本当は稽古場の段階から和気あいあいとしたいタイプなんですけど、自分から交流しに行くのがあんまり得意ではないんです。
藤岡:そうなんですか? 意外です。
立石:公演を何度か重ねるうちに、自然と仲が深まることが多いかな。最後のほうで「最初からもっと仲良くしておけばよかった」って後悔する(笑)。今回は地方公演からスタートするので、どうなるんだろう? ただ、僕ばかり待っている状態でいるのはちょっとずるいよね。自分から頑張ってみようかな。
藤岡:僕もあんまり自分から行けるタイプではないんですが、最近は積極的になることを心がけています。お話を聞いていると、役者さんって案外自分から話しかけに行くことが実はあまりできない方が多い気がするんです。僕から話しかけないと、もったいない。今日も立石さんとこうしてお話することができましたし、自分からどんどん話しかけていこうと思います。
ーー最後に、見どころとメッセージをお願いします。
立石:数学の要素があり、中学生の女の子が活躍するのを僕たち大人の刑事がサポートするという素敵なストーリー。ミュージカルの良さも相まって、唯一無二の作品をお届けできるはず。ミュージカルとしての『浜村渚の計算ノート』は、劇場でしか見られません。楽しみに待っていてください。
藤岡:数学をテーマに、渚ちゃんと僕たち刑事がテロリストに立ち向かっていくお話。衣裳もインパクトがありますし、キャラクターが個性豊かで、掛け合いが面白い。この楽しさを、劇場で味わってもらえたら嬉しいです。
(左から)藤岡真威人、立石俊樹     撮影:源賀津己
取材・文=潮田茗

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