林一敬が名探偵・神津恭介を演じる最
新作 ノサカラボ「神津恭介シリーズ
『わが一高時代の犯罪』」が開幕 舞
台写真が公開

2024年3月8日(金)大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて、ノサカラボ「神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』」が開幕し、舞台写真が公開された。
ノサカラボ 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』舞台写真
日中戦争のさなか、軍国主義に向かう日本で、青臭い学生たちが理想と現実の間でせめぎ合うーー。世界の名作ミステリーを舞台化するプロジェクト「ノサカラボ」の最新作、ノサカラボ「神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』」が、大阪のCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで幕を開けた。
今作は「ノサカラボ」の主宰・野坂実の構成・演出で、推理作家・高木彬光の神津恭介シリーズを初舞台化した「呪縛の家」に続く、第二弾。「呪縛の家」では東京大学医学部法医学教室に所属していた神津だが、今作は彼の学生時代を描いた「わが一高時代の犯罪」と、その続編ともいえる「輓歌」の2編をベースに1つの作品にした。明智小五郎、金田一耕助と並ぶ日本三大名探偵の一人といわれる神津を林一敬が第一弾から演じている。
ノサカラボ 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』舞台写真
ノサカラボ 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』舞台写真
美形で何事にも天才的とうたわれる神津。林はそんな神津がすっかり板につき、舞台に登場するたびに、どこか浮世離れした雰囲気がただよう。第一弾よりも表現力が増していた。神津の相棒・松下研三役の小園凌央は今回が初出演だが、おとぼけで憎めない松下を好演。二人は序盤からシャーロック・ホームズ&ワトソンのような掛け合いを見せ、名コンビの誕生だ。
時は1938年。神津と松下が通う第一高等学校(一高)には、プレイボーイの青野(関翔馬)、官僚を目指している飯嶋(高橋曽良)、真面目な妻木(小山龍之介)らエリートで個性的な学生たちが在籍している。ある日、女っ気のない妻木の元に一人の女性が訪ねて来る。いぶかしむ同級生をよそに、妻木の発案でその日の夜に肝試しが行われるが、一高の時計台に登った妻木は、忽然と姿を消してしまう。
一高の卒業生で後輩たちの世話を焼く実業家・水町(加藤雅也)とその秘書の稲田(細貝圭)は、外面は取り繕っているものの、裏では食うか食われるかの関係性を見せ、加藤と細貝の怪演が光る。さらに、神津の恩師である天沼教授(片岡鶴太郎)も独特の存在感を放ち、神津らを導く物語の潤滑油のような役割だ。
戦争が泥沼化する中、必死に生き抜いてきたが、狡猾で私利私欲に走る大人を天沼は「雑草は雑草でも根腐れした雑草」だとたとえる。一方、一高生たちは、皆、青々とした根の若い草だ。その対比が面白く、いい化学反応を生み出していた。

ノサカラボ 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』舞台写真
ノサカラボ 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』舞台写真
また、水町の娘・智恵子(能條愛未、中野郁海のダブルキャスト)との神津の初恋も描かれ、すべてのことに鋭利でも恋には不器用な神津の姿がほほ笑ましい。しかし、二人や一高生はさらなる事件に巻き込まれ、2幕はどんでん返しに継ぐどんでん返しが起こる。その巧みなトリックとテンポの良さで、最後の最後まで予想を裏切られた。青臭い若者たちは清濁併せ吞んだ雑草へと変わっていくのか? 若くして神津は「勝利がすべてではない」と悟る。「わが一高時代の犯罪」というタイトルがラストで腑に落ち、膝を打ちたくなる作品だ。

ノサカラボ 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』舞台写真
ノサカラボ 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』舞台写真
ノサカラボ 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』は、3月10日まで大阪COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演。さらに、3月20日から3月31日まで東京公演が池袋サンシャイン劇場にて上演される。
ノサカラボ 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』舞台写真
ノサカラボ 神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』舞台写真
取材・文:米満ゆう子
【あらすじ】
時は1938年。日中戦争が泥沼化する中、神津恭介と松下研三が通う第一高等学校(一高)には優秀かつ個性的な学生たちが数多く在籍している。ある時、彼らの寮を一人の女性が訪ねて来る。意外にも普段女っ気のない妻木という学生に会いに来たのだった。 妻木と女は連れ立って去って行くが、同じく同級生である飯嶋と青野がその女を知っているらしい反応を見せたことを、神津は訝しく思う。 その日の夜、寮に戻って来た妻木の提案で肝試しが行われることになる。 一高の時計塔の上まで登って帰って来れば汁粉をご馳走するという彼の誘いに乗って、松下、青野、飯嶋が参加することになる。 飯嶋の後に時計塔に登った妻木が一向に戻って来ず、一同は不審に思って階段を駆け上がる。しかし 妻木はどこにもおらず、神津のマントのみが置いてあった。妻木は忽然と姿を消してしまったのだ。神津と松下は彼の行方を独自に捜査することになり、水町家へと赴く。そして、更なる事件に巻き込まれるのだった…。

また、舞台 神津恭介シリーズの新作『わが一高時代の犯罪』上演を記念し、前作『呪縛の家』の舞台映像を観ながら事件の推理を楽しめる「推理体験上映会」を2024年3月16日(土)、3月17日(日)に東京・雑司ヶ谷旧宣教師館と豊島区内の区民ひろば計14か所にて開催することが決定。
このイベントは、豊島区協力のもと、一般社団法人としまアートカルチャーまちづくり協議会(東京都豊島区/代表理事 前田三郎)が主催する「池袋ミステリータウン」とのコラボで生まれた。「池袋ミステリータウン」とは池袋を舞台にしたミステリーアトラクションを複数展開するプロジェクトだ。参加者は、日本三大名探偵の一人 神津恭介を主人公にした舞台映像を途中まで視聴した後で、様々な捜査資料などをもとに推理し、事件を解決に導く、没入型推理体験イベントとなる。

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