ミュージカル『マイ・フェア・レディ
』が12年ぶりに帝国劇場で開幕! 初
日前会見&ゲネプロレポート(朝夏ま
なと&別所哲也&寺西拓人ver.)

世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔『マイ・フェア・レディ』が、2021年11月14日(日)東京・帝国劇場にて開幕した。帝国劇場での上演は2009年以来、実に12年ぶりとなる。
2021年公演では主演のイライザ役に朝夏まなと&神田沙也加、ヒギンズ教授役に寺脇康文&別所哲也、相島一之、今井清隆、春風ひとみ、伊東弘美、前田美波里ら2018年公演(東急シアターオーブ他)からの実力派キャストが続投する。さらにフレディ役には前山剛久&寺西拓人が新たに加わった。
本記事では11月13日(土)に開催された初日前会見と合わせて、朝夏まなと&別所哲也&寺西拓人出演回のゲネプロの模様をレポートする。
(左から)前山剛久、寺脇康文、神田沙也加、朝夏まなと、別所哲也、寺西拓人
初日に先駆けて帝国劇場で行われた会見には、朝夏まなと、神田沙也加、寺脇康文、別所哲也、前山剛久、寺西拓人ら6名が登壇。開幕に向けての意気込みをそれぞれ語ってくれた。
イライザ役の朝夏は「『マイ・フェア・レディ』には3年前にも出演させていただいたのですが、帝国劇場の持っているクラシカルな雰囲気に本当にぴったり。この劇場で上演できることがとても幸せですし、お客様にお届けできることが嬉しいので、精一杯頑張りたいと思っております」と意気込む。
朝夏まなと
同じく二度目のイライザ役となる神田は「前回参加させていただいたときに前田美波里さんと『帝国劇場でやりたいね』というお話をさせていただいて、それが叶ってすごく嬉しいです。劇場入りしたときにセットと客席のマッチングを見てとても感動しました。今回は舞台セットにかわいらしいアートもあるので、お客様にもぜひ見ていただけたらなと思います」と念願の帝国劇場での上演に笑顔を見せた。
神田沙也加
本公演で四度目のヒギンズ教授役となる寺脇は「四回やってもまだ気づくことがある。解釈でやっとわかったこともあったり、このセリフはこういう意味だったのかと感じることも。感情面でも新しい気持ちを発見していて、深みのある作品だなと思っております」と役を重ねてきたからこその気付きを語った。同じくヒギンズ教授役の別所は、隣に並ぶフレディ役の寺西を横目に「あ〜20年前だったら僕もフレディができたかなあと思いながら、フレディを見ています(笑)。僕にはフレディのフレッシュさはないかもしれませんが、琥珀色の男を演じられたらなと思います」と茶目っ気たっぷりに答えた。
本公演で初出演となるフレディ役の前山は「『王家の紋章』(2021年)で帝国劇場に立たせていただいて、本当に立つ度に劇場の歴史を感じて緊張しております。僕がボイストレーニングを始める際に最初に練習した楽曲が「君の住む街」でして、とても縁を感じております。別所さんがおっしゃっていた通りフレッシュに頑張りたいなと思っております」と少々緊張気味に語った。同じくフレディ役で本作に初参加となる寺西は「『SHOCK』でもお世話になっている(堂本)光一くんにこの舞台が決まったことを話したらアドバイスをくださって、「ジャニーさんからもらったものを大切に。見てくれている人は見てくれている」といったことを言っていただきました。その言葉を胸に、1月の博多座千秋楽までしっかり走り抜けられたらと思います」と2ヶ月以上に渡る長期公演への意気込みを見せた。
稽古場でのエピソードを問われた前山は、イライザに恋するフレディを演じているにも関わらず、イライザ(神田)に後退りしてしまったことがあったそうだ。その際にG2(演出家)から「なんで後ろに行くんだ。恋してないのか」と言われ、「いや恋してます! だってめっちゃかわいいですもん」と返したところ、なぜか神田にエアビンタをされたと暴露。これに対して神田は「なんで拒否されたんだろうと思ったら突然褒められたので、切り返しの早さに戸惑って手が出ました(笑)」と弁解。前山は「怒っていたらどうしようと悩んでいたので、今聞けて良かったです(笑)」とホッと胸を撫で下ろしていた。
(左から)前山剛久、寺脇康文、神田沙也加
続いては年末も近づいているということで、「今年を漢字一文字で表すと?」というお題へ。トップバッターの朝夏が「最初にパッと思いついたのが、この1年何回PCR検査をしただろうと思って、唾液の“唾”という漢字(笑)」と発言して周りをざわつかせつつ、「みんなで協力し合った1年だなと思ったので“協”。出演者もスタッフのみなさんも公演をやり遂げるために並々ならぬ努力をしているプラス、お客様にも感染対策にご協力いただいているので」と回答。
朝夏のびっくり発言に思わず「嘘〜!?」とツッコむ神田
続けて神田は「みなさんそれぞれがここ(劇場)に集うことに関して考えて来てくださっているんじゃないかなと思ったので。同時に、自分の体について、これからについて、熟考した年なんじゃないかなと思いました」と“考”の字を挙げた。寺脇は突如客席に背を向けると、筆を持って字を書く素振りをした上で、「“雨”。みんなで試練の雨を受けて頑張って踏みとどまった1年だったんじゃないかと思います」と答えた。その後は寺脇に倣い、別所と前山も舞台上で大きく字を書いてからそれぞれ“繋”、 “愛”と回答してくれた。寺西は「朝夏さんがフリみたいにおっしゃっていたのですごくドキッとしたんですけど……“唾”です」とまさかの回答。それ程までに感染症対策のために繰り返し検査を続けてきたということだろう。
(左から)朝夏まなと&別所哲也&寺西拓人
さらに、本公演でのおすすめシーンについてはイライザとヒギンズの恋愛要素がよりフィーチャーされる演出になっているという点や、有名なミュージカルナンバーに負けず劣らず芝居のボリュームがたっぷりある作品であることなどが挙げられていた。会見の最後は、イライザ役の二人からの言葉で締め括られた。
朝夏「いよいよ始まるんだなと、今すごくワクワクしております。状況が少し緩やかになってきましたけれども、まだまだ安心できない状況ですので注意しながら。ご覧いただいたように『マイ・フェア・レディ』カンパニーはとても元気で仲良しなんです! なので、劇場でお客様と楽しい時間を共有できることを楽しみにしております。 “べつ・まあ・たく”(別所・朝夏・寺西)も“かん・てら・まえ”(神田・寺脇・前山)も、ぜひ両チームとも楽しんでいただけたらなと思います。
神田「まだまだこんな状況下ではありますけれども、とにかく完走というのが自分の中でもみなさんの中でもありますし、しっかり自己管理をしていきつつ、協力し合って最後を迎えられるといいなと思っております。何よりやっぱり帝劇でということが、私はきっと出演していなかったとしてもすごく嬉しくて。帝劇と『マイ・フェア・レディ』のコラボレーションをまた観ることができるときっと大喜びしていたと思います。ここからの景色を見られるということにすごく意味を感じているし、感謝をしています。帝劇にはよく神様がいるなんて言いますけれども、その神様がすごく大変な中たくさん頑張った演劇人を見守って、最後まで送り出してくれるといいなというように願ってやみません。最後までよろしくお願いします」
(左から)前山剛久、寺脇康文、神田沙也加、朝夏まなと、別所哲也、寺西拓人
会見後まもなく、朝夏まなと&別所哲也&寺西拓人らによるゲネプロが行われた。

幕開けの「オーヴァーチュア」で、凝縮された珠玉のミュージカルナンバーたちに心躍る。石畳の歩道、クラシカルな建物、夕暮れに灯る街の明かり。忙しなく行き交う活気溢れる人々。ロンドンのコヴェント・ガーデンの街並みが、繊細な舞台セット、照明、衣装によって舞台上に立ち上がる。ついに帝国劇場にコヴェント・ガーデンが帰ってきたのだ。
写真提供/東宝演劇部
本公演で二度目のイライザ役を務める朝夏は、花売り娘から貴婦人へと成長していく変化を鮮やかに魅せてくれた。「でーじ(大事)なスミレが泥まみれだあ!」と、ひどい下町訛りで喚き散らすお転婆な花売り娘のイライザ。そんな彼女が花屋の店員になるために言葉を習得しようと奮闘する真っ直ぐな姿は、思わず応援したくなる。イライザは言語学者のヒギンズによる言葉の猛特訓を経て美しい貴婦人へと変貌していくのだが、朝夏のイライザは花売り娘の頃から一貫して自立心を持っていたように感じられた。ヒギンズに対する複雑な心情も、絶妙な表情や声色の変化から手に取るように伝わってくる。1幕のナンバーで披露される、長い手足を活かした優雅かつキレのあるダンスにも注目だ。
写真提供/東宝演劇部
写真提供/東宝演劇部
ひょんなことからイライザに言葉の特訓をすることになる言語学者のヒギンズ教授を演じるのは、本公演が二度目の出演となる別所。別所は、変わり者で偏屈で不器用な男を全力で体現していた。初対面のイライザに対して「不愉快でうんざりする」など罵倒し、あまりにもひどい扱いをするヒギンズ。プライドが高く、自惚れ屋で、人に対する思いやりに欠ける面がある彼こそ、もしかしたらこの物語で一番変化する人物なのかもしれない。イライザと共に過ごすうちに次第に彼女へ惹かれていくのだが、当の本人はそれに全く気づかない。あまりにも不器用で素直になれないヒギンズの姿に、やきもきさせられる観客も多いだろう。
写真提供/東宝演劇部
写真提供/東宝演劇部
アスコット競馬場で貴婦人に扮したイライザに一目惚れする青年フレディを演じるのは、本公演が初出演となる寺西だ。イライザに夢中になってからは、心ここにあらずで彼女のこと以外考えられないといった様子。ヒギンズ邸の前でイライザを待ち続けるフレディのソロナンバー「君住む街角」で、寺西は翼が生えて飛んでいってしまいそうな程の幸せオーラ全開の歌唱を聴かせてくれた。
写真提供/東宝演劇部
写真提供/東宝演劇部
上演時間は3時間15分(休憩25分含む)。11月28日(日)まで帝国劇場で上演された後、埼玉、岩手、北海道、山形、静岡、愛知、大阪と全国を巡り、1月28日(金)の福岡公演にて大千秋楽を迎える予定だ。世界中から愛され続ける名作ミュージカルに触れるまたとないこの機会、どうぞお見逃しなく。
写真提供/東宝演劇部
取材・文=松村 蘭(らんねえ) 写真提供/東宝演劇部

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