NICKELBACKが初の名古屋でみせたプレ
ミアムな一夜をレポート珠玉のメロデ
ィ・ラインはまだまだ健在

NICKELBACK [JAPAN TOUR 2019] 02.07@ZEPP名古屋
「ファースト・タイム、ナゴヤー!」とチャド・クルーガー(Vo/G)はライヴ中に満面の笑みを浮かべ、そう叫んでいた。02年の初来日からコンスタントに日本に訪れているNICKELBACKだが、最新9thアルバム『FEED THE MACHINE』に伴う今回の「JAPAN TOUR 2019」は大阪、名古屋、東京(日本武道館)の全3公演が切られ、今回は初の名古屋上陸。ファンも初の名古屋公演に応えるように、Zepp Nagoyaは満員御礼のソールド・アウト!
ちょうど場内に入ると、開演前BGMにBADLANSの「Rumblin' Train」が流れる渋い選曲で、思わず「レイ・ギラン!」と心の中で呟いた。既に他界されているが、大好きなヴォーカリストだったから。それからAC/DCの「Shoot To Thrill」、METALLICAのMISFITSカヴァー「Die,Die My Darling」、PANTERAの「Walk」などが流れ、19時を少し回った頃に暗転。会場に赤いライトが煌めく中、チャド・クルーガー、マイク・クルーガー(B)、ライアン・ピーク(G)、ダニエル・アデア(Dr)のメンバー4人が定位置に付くと、最新作の冒頭を飾る「FEED THE MACHINE」で本編開始。ド頭からボトムに響く肉厚サウンドを解き放ち、続けて「WOKE UP THIS MORNING」へと繫ぐ。「メイク・サム・ノイズ!」とライアンが煽ると、フロアの温度は急上昇。それから「シンガロングしてくれ!」とチャドが呼びかけ、「PHOTOGRAPH」を披露し、ライアンがアコギを弾く中で、チャドは瞬時に耳を捉える親密なメロディを存分に響かせた。その流れを汲むようにバラード調の「FAR AWAY」と続き、心が洗われる歌メロに魅了されっぱなしであった。
ここまで聴いてもわかる通り、NICKELBACKの音楽には「歌」が中枢にドスンと構えている。この日も若い人からお爺ちゃんの姿まで見かけたが、年齢層は途轍もなく幅広い。ロック好きはもちろん、普段はそこまでヘヴィな音楽を聴かない人をも巻き込む凄まじい磁力が楽曲に備わっている。
NICKELBACK Photo by Kenneth McDowell
5曲目「SAVING ME」をやり終えると、早くもチャドとライアンの2人は「カンパーイ!」と叫んでビールを飲み干したりと、肩肘張らないリラックス・ムードを演出。この辺りも百戦錬磨のライヴ・バンドらしい余裕だろうか。「SEE YOU AT THE SHOW」を挟み、次は『DARK HORSE』からヘヴィなリフで攻め立てる「SOMETHING IN YOUR MOUTH」をプレイ。チャドの捲し立てるようなヴォーカルも相まり、フロアは一気にジャンプして騒ぐ観客が増えていった。
そして、02年公開の映画『スパイダーマン』主題歌「HERO」へ。憂いを帯びたチャドの歌声にうっとり聴き入っていると、途中からライアンにリード・ヴォーカルがスイッチし、チャドに引けを取らない味わい深い歌声を披露。ほかの楽曲においてもチャドとライアンで歌を分け合う場面が多々あり、その重厚な歌メロでも観客を骨抜きにしていく。
NICKELBACK Photo by Kenneth McDowell
中盤、バラード調の「LULLABY」でチャドは歌いながら、最前と観客とハイタッチを交わし、スタンディング形式のライヴならではの距離の近さを楽しんでいる様子だった。後半に向けてはヘヴィなノリで攻める「ANIMALS」、大合唱を作り上げた「WHEN WE STAND TOGETHER」と畳み掛け、場内を熱く盛り上げていく。その後、チャドはデトロイトから今日のショウを観に来たという男女2人組をステージに上げ、マイクを渡して「ROCKSTAR」を丸ごと歌わせる一幕もあり、こうした振る舞いもNICKELBACKが多くの人に愛される理由なのかもしれない。
本編ラストに「HOW YOU REMIND ME」が放たれると、チャドの歌声を追いかけるように大合唱の輪がみるみる広がり、胸に沁み入る珠玉のメロディ・ラインにひどく感動した。バンドは引き続きアンコールに応えると、「MILLION MILES AN HOUR」、「BURN IT TO THE GROUND」と躍動感満載のヘヴィ・チューンを連発し、名古屋のファンを興奮の絶頂まで導く剛腕ぶりを見せつけた。万人の心を捉えて離さない魅惑の歌メロを主軸に、胸高ぶるラウド・チューンから涙腺を刺激するバラードまで取り揃えた多彩な攻めに死角ナシ!海外ではこの規模の会場でなかなか観れないことを考えると、とてもプレミアムな一夜だったと言わざるを得ない。
取材・文:荒金良介

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