儚い花魁の心情を描き出した米津玄師『Flamingo』

儚い花魁の心情を描き出した米津玄師『Flamingo』

儚い花魁の心情を描き出した米津玄師
『Flamingo』

厳しい遊女の世界
吉原遊郭の中でも、一番位が高い遊女の花魁。彼女が相手をする客は皆、名高い金持ちばかり。
しかし、お金がどれだけ自分の元に舞い込んでも彼女の心が満たされることはなかった。
幼い頃に、姑楼に売られどこにでもいるような子が花魁の元で働き、遊女から花魁になっていく生き様の物語。
花魁になるには、自分のことを気に入ってくれる多くのお客さんを得なければならない。その為には、他の遊女を蹴落とすことも必要。時には騙し騙されながらも、頂点に上り詰めるまで心を折らない。
好きでもない男性に媚を売ったり、笑みを投げかけることも当たり前のようにできるようになっていった。
多くの男性に対応する中でもお目当ての男性ができると、途端に心が緩む。
遊女の前に1人の女性だから、本気で男性を愛したっておかしくはない。しかし、男性側は一晩遊女と過ごすことを楽しみに来ているだけで、お金を払って楽しむ娯楽と割り切っているので、遊女を本気で愛数することはそうそうない。
愛した男性の心が自分に向かないことを悲しむ遊女切ない姿が表現された歌詞になっている。
男性客から見た遊女
1番の歌詞とは対照的に、2番は男性客目線の歌詞になっている。気に入りの遊女を指名する為に、昼間に一生懸命稼いだお金。
一晩があっという間に過ぎてしまうから、もっと一緒にいたいという気持ちの男性。
遊女からしてみたら、自分はお客さんとしてしか見られていないだろうから、それ以上の関係性を求められなくてやり切れないのだろう。
遊女から花魁になっても変わらないもの
遊女として数々の経験を積み、美しく気高い花魁に惚れ込む男性は多いが、花魁側は1人の男性に恋愛感情を抱けず、ただ身体を重ねることへの虚しさを感じ、花魁という地位があり商売といえども、好きでもない男性に心を偽って毎晩芝居をする自分に嫌気がさし、情緒不安定になる時もある。
それでも毎晩仕事をこなす花魁を、片足でもしっかりと地に足着けて倒れないフラミンゴとリンクさせているのだ。
米津玄師 / 『Flamingo』

TEXT:蓮実 あこ

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