田中れいなが中澤、藤本と「LOVEマシ
ーン」

アップフロントグループに所属するロックアーティストの中島卓偉中澤裕子藤本美貴モーニング娘。OGに、再始動したLINDBERGの渡瀬マキなど計8組の多彩な顔ぶれが出演した。
会場には、田中れいなLoVendoЯ)の名前が入ったTシャツを着た若者からオシャレをした女性、年配の夫婦など600人が詰めかけた。一番手で登場したのはティーンの女性2人組Bitter&Sweet。共に新人オーディションでグランプリを獲った田﨑あさひと長谷川萌美により結成したばかりで、ユニット名と同タイトルの『Bitter&Sweet』など2曲を披露。見た目のイメージより熱くアクティブなツインヴォーカルで、ピアノを弾くお嬢様風の田﨑も体を折って激しく鍵盤を叩いていた。
続いて、ペルー生まれの日系三世で4月にソロデビューするエリック・フクサキ。アコースティックギターを弾きながらKANのカバー『すべての悲しみにさよならするために』をさわやかで芯は強いヴォーカルで歌い、ハンドマイクに持ち替えてEW&Fのスタンダード『September』では流麗なステップも見せた。バックは終始、中島卓偉がバンマスの生バンドが務め、エリックのステージではBitter&Sweetの2人とLoVendoЯの岡田万里奈がコーラスでコラボ。エリックも自分のステージの後は、タンバリンを叩きながらコーラス隊に加わっていた。
去年の「MUSIC FESTA」、アップフロントグループのカウントダウンライブ以来のステージとなったのが藤本美貴。最近はママドルとして活躍が目立つが、元々はハロプロ屈指の歌唱力を誇っていた。カントリー娘。ナンバー『シャイニング 愛しき貴方』から健在ぶりを示す。『ロマンティック浮かれモード』では、エリックを「日本発祥の文化の洗礼を」を呼び寄せ、MCのさわやか五郎と共にヲタ芸“ロマンス”を打たせた。アイドルライブにすっかり定着したロマンスは、この『ロマンティック浮かれモード』でのファンの踊りが起源。エリックたちの土下座ポーズから客席でも一斉にヲタ芸が起こり、藤本も楽しそう。エリックは「日本のカルチャー、汗をかきます」と笑っていた。ジャンルを越えるライブで国境も越えた。
さらに中澤裕子と田中れいなを呼び込み、モーニング娘。OG3人で『ここにいるぜぇ!』『LOVEマシーン』と盛り上げ曲を続けて沸かせる。そのまま中澤のステージに移り、次もモーニング娘。ナンバー『ふるさと』。母親へ想いを綴った1曲に、今の中澤の歌は深みのある情緒を加えていた。アップテンポな『DO MY BEST』では「松原(健之)さんのファンのお父様、お母様もついてきてますか? 会場の皆さんもひとつになってください!」と呼び掛けて歌い、「お父様、お母様たちが恥ずかしそうに手拍子をしてくれたのがうれしくてたまりません」と話していた。

そのお父様、お母様たちのお目当ての演歌歌手・松原健之は“奇跡のクリスタルボイス”と呼ばれる美声で『金沢望郷歌』などを歌い、“たけし”コールを浴びた。演歌に馴染みがなくても、生で聴くその歌には琴線を揺らすものがある。着流しに脇差しの衣装で田中れいな、さわやか五郎を相手に“演歌侍”の寸劇も見せた。
次は一転、田中れいながオーディションで選ばれたメンバーと組んだガールズバンドLoVendoЯが登場。ツインヴォーカル+ツインギターの編成。モーニング娘。を卒業して1年経ってない田中は、ステージでのきらびやかな映え方はやはり抜群だ。『SWEET TWEET』など楽曲のほうは、ソリッドなサウンドに2人のヴォーカルが威勢よく乗りつつ、フェミニンな色合いも程よい聴き心地だった。ビートロックの『BINGO』では、客席で田中のイメージカラーのブルーのサイリウムを掲げたファンが一斉にジャンプしていた。田中が「バンマス呼んでいいですか?」と、岡田と共に中島卓偉とタッチしてステージを入れ替わり。ギターの魚住有希と宮澤茉凛はそのまま残り、今度は中島のバックバンドに。中島は「知らない曲でも一緒に踊って!」と叫び、『ゲッザファッカウッ!!!!』からゴリゴリのロックをたたみ込む。叩きつけるようなヴォーカルで、ステージを絶えず動きながら煽る。MCまで「ゴーゴーゴーゴー!」などと叫んでいて、高速ビートの『BEAT&LOOSE』も迫力たっぷり。汗を飛び散らしながら、一気の4曲で嵐のように走り抜けた。

トリは渡瀬マキ。LINDBERGがデビュー25周年の今年、再結成して「子供が夏休みや春休みのときに活動したい」と話し、数あるヒットチューンの中で『BELIEVE IN LOVE』からスタート。独特の突き抜けるヴォーカルに一時代を築いたオーラが漂う。田中れいなを呼び込むと『恋をしようよ!Yeah!Yeah!』を肩を組んだりしながら歌う。渡瀬が今の田中ぐらいの年齢の頃に歌っていた曲。ジャンルを越えるライブで世代も越えた。さらに他の出演者も全員ステージに現れ、全員メガネをかけて『もっと愛しましょ』。定番のサビの手振りを曲前に練習し、会場が一体になって踊っていた。本編ラストのブルーハーツのカバー『リンダリンダ』では、ステージで全員が飛び跳ねて締めた。
アンコールでは再び出演者が勢ぞろいして、中島が作曲、渡瀬が詞を付けた『大丈夫』を歌った。このイベントでしか聴けない壮大なバラードで、「自分で決めたことはすべて正解なんだよ」とのメッセージソングだ。「最後は盛り上がって」と、オーラスもLINDBERGの代表曲『今すぐKISS ME』。「ドキドキすることやめられない」は出演者たちが客席にマイクを向け、すべてのファンの大合唱となった。
中澤裕子は「皆さんのやさしいまなざしとの一体感がめっちゃ楽しい!」と叫び、藤本美貴は「普通はなかなか会えないような方たちと会えて、いろんなジャンルの人がひとつのステージに立ててうれしいです」と話していた。確かに、それぞれの観客にお目当てはいたにせよ、誰もがどのステージも楽しんでいたようで、常に盛り上がり聞き入っていた。終演後の会見で中島卓偉は「ジャンルに関係ないイベントが成立することを証明し続けたい」と話していた。(Text/斉藤貴志)

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