MONGOL800 “結成20周年イヤーにま
わる1stアルバムレコ発ツアー”は二
度とない貴重なライブだった

GO ON AS YOU ARE Tour 2018 2018.6.23 新木場STUDIO COAST
蓋を開けてみると、過去にこれまでレアな選曲はなかったし、今後もおそらくないだろう。その意味で今回のツアーは"二度"と観ることができない貴重なライブと断言したい。
MONGOL800 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)
MONGOL800が今年20周年のアニバーサリーを迎え、『GO ON AS YOU ARE Tour 2018』というツアータイトルを掲げ、5thアルバム『eight-hundreds』以来、約9年ぶりに47都道府県51公演に及ぶ全国ツアーを決行。モンパチが高校生の頃からライブをやっていた沖縄県HUMAN STAGE(5月19日)を皮切りに始まった同ツアー、16公演目にあたる新木場STUDIO COAST(6月23日)に足を運んだ。
MONGOL800 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)
MONGOL800 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)
ツアー・タイトルを見てピンと来た人も多いと思うが、当時学生だったためにツアーを行わなかった1stアルバム『GO ON AS YOU ARE』のレコ発を、結成20周年の節目に行うという前代未聞の内容になった。ライブの詳細に関しては、現在ツアー中のため曲順どうこうには触れることはできないが、大きなトピックとしては1stアルバムを全曲披露しているということ。モンパチらしさを体現した「DON'T WORRY BE HAPPY」、「PARTY」などはここ数年のライブやツアーでも自然とセットリストに織り込まれる機会はあったが、それ以外の楽曲はメンバー自身も相当久しぶりにプレイしたのではないか。「ほぼ新曲だと感じてます。お客さんの方が聴き込んでる」とキヨサク(Vo/B)はライブ中にポロッと零していた。冗談半分かもしれないが、かなり本心に近い気持ちだったと思う。
MONGOL800 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)
MONGOL800 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)
結成当時はTHE BLUE HEARTSHi-STANDARDに影響を受けてバンドを組んだ彼ら。この1stアルバムは後者の色合いが強く反映され、英語詞の楽曲が多いのも特徴で、ほぼ英語の曲名ばかり。モンパチの初期衝動が炸裂した一枚であり、もっと言えば無邪気で天真爛漫という形容がピッタリの明るい楽曲がずらり並んでいる。中にはキヨサクとタカシ(G/Vo)が交互に掛け合うツイン・ボーカル体制で聴かせる曲もあり、改めてライブで聴くと、新鮮な衝撃を受けてしまった。1stアルバムの頃は曲を持って来た人がリード・ボーカルを務める=キヨサクがメインという形式に結果的に落ち着いていただけで、特にバンド内に明確な決まり事などはなかったと、当時インタビューで話していたことを思い出す。タカシも積極的に歌やコーラスに参加し、風通しのいい伸び伸びした空気がこの1stアルバムには流れている。ゆえに2人がガムシャラに掛け合う光景は、実に眩しかった。
MONGOL800 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)
MONGOL800 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)
1stアルバムにはバンドのすべてが詰まっていると評されることもあるが、モンパチも例外ではない。今日のフロアを眺めていると、笑顔で歌って踊って騒ぐ人たちがほとんどだ。『GO ON AS YOU ARE』とは"あなたのままでいいよ"という意で、背伸びしたり、かっこつけなくても、あなたはあなたのままで輝いているよ、と聴き手を無条件に肯定する太陽のごときサウンドに貫かれている。ライブでもそれを遺憾なく発揮し、音楽的原点に立ち返ったモンパチのパワーにただただ圧倒されてしまった。
MONGOL800 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)
内容としては1stアルバムの楽曲をメインに据えつつ、実写映画が制作されることも決まった「小さな恋のうた」など、彼らの名を一躍全国区に押し上げた2ndアルバム『MESSAGE』収録のナンバーも披露。また、20周年企画による今回の1stアルバムのツアーに加え、4月から隔月で配信している新曲もプレイ。1stアルバムの作風に通じる陽性のモンパチ節が炸裂した疾走ナンバー「Endless Summer」はキヨサク、タカシ、サトシ(Dr/Vo)の3声のボーカルの魅力がライブで一段と映えていた。
MONGOL800 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)
そして、この日は「沖縄慰霊の日」と重なったこともあり、「himeyuri-ひめゆりの詩-」まで特別に披露。この曲は沖縄戦・終結70年のタイミングであった3年前に平和の祈りを込めて彼らが作った楽曲だ。<平和と呼ぶには遠く 歴史にするには早く>の歌詞も印象的で、激しいテンポに優しいメロディが乗り、モンパチの強い願いに胸を打たれる珠玉の1曲。彼らが明るく騒げる曲からメッセージ性を託した曲まで演奏するのは、すべての人がハッピーで笑顔になれる世の中を希求しているからだ。それを踏まえると、デビュー時からやり続けていることは20年を経てもブレていない。それを再認識した素晴しいライブだった。
MONGOL800 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)
彼らのツアーはまだまだこれからも続くが、さらに20周年企画として10月6日~11月5日にかけて、沖縄県立博物館・美術館で『モンパチ展』が開催され、「愛」と「平和」のメッセージを音楽で伝え続けてきた彼らの全活動を網羅している。これは必見だろう。また、バンド主催の野外フェス『MONGOL800 ga FESTIVAL What a Wonderful World!! 18』が11月3日、4日の2デイズに渡り、沖縄県豊見城市豊崎 美らSUNビーチ特設会場で行われる。今年はモンパチ漬けになって、彼らの"二十歳"を大いに祝おう!

取材・文=荒金良介 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)
MONGOL800 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)
MONGOL800 撮影=SARU(SARUYA AYUMI)

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