dustbox、ENTH、SHADOWS、ジーフリ、
KUZIRAら15組と9時間に及ぶ狂宴、「
最高の遊び場」と化した『GORILLA i
s NOT DEAD!! 大暴年会 SPECIAL』全
組レポート

『GORILLA is NOT DEAD!! 大暴年会 SPECIAL』2023.12.30(土)大阪・GORILLA HALL OSAKA
2023年12月30日(土)、GORILLA HALL OSAKAで『GORILLA is NOT DEAD!! 大暴年会 SPECIAL』が行われた。2023年を締め括った本イベントは、ゴリラホールの自主企画。会場内にはメインの「大暴年会STAGE」と、アコースティックを中心にアーティストと近い距離でライブを楽しめる「年越し側(そば)STAGE」の2つが用意され、交互にライブが行われた。大暴年会STAGEには、EGG BRAINENTHG-FREAK FACTORYdustboxKUZIRASPARK!!SOUND!!SHOW!!SHADOWS、FIVE STATE DRIVEが、年越し側(そば)STAGEにはAIK、あやぺた(Dizzy Sunfist)、片平里菜、THE SKIPPERS Acoustic、LOW IQ 01、#ロカンマ(LOCANDA&トンマ(Xmas Eileen))、U-tan(GOOD4NOTHING)が出演(50音順)。どう見ても「大暴れ」しないわけにはいかないこのラインナップ。実に約9時間に及ぶ、大いに血湧き肉踊る忘年会となった。
「最高の遊び場を」をコンセプトに、2023年1月21日にオープンしたGORILLA HALL OSAKA。SPICEでは、オープン前に行われた内覧会の様子をレポートした。オーナーの中村俊也氏はもともとパンクやラウドロック、ミクスチャーロックが好きで、自分でライブハウスをやりたいと建設に踏み切り、HEY-SMITHの猪狩秀平(Gt.Vo)に命名を依頼。「ライブハウスのアミューズメントパーク」を目指して、この1年で数多くのドラマを生み出してきた。最新鋭の音響・照明設備は、彼が大好きなジャンルを存分に楽しむために備えたという。つまり今回のイベントは1年間の集大成であり、中村氏が1番やりたかったことを実現した形になる。
そんな想いと気合いが伝わったのか、チケットは見事ソールドアウト。会場は高揚したオーディエンスで大賑わい。既にフロアの密度も熱気も、高まりを見せていた。
ゴリラくん&ゴリラホール・中村氏
開演時間の少し前になり、ゴリラホールのマスコットキャラ・ゴリラくんと共にステージに登場した中村氏は「本日は年末の忙しい時期に、たくさんのイベントがある中でゴリラホールに足を運んでいただきましてありがとうございます」と挨拶。「今日は自主企画で、自分たちが1番好きなミクスチャーロック、ラウドロック、メロディックパンクのイベントができて嬉しいです。本当にありがとうございます」と感謝を伝えた。そして、怪我をしないようにとの注意喚起をして「皆さん今日めちゃくちゃ楽しんで、思い出を残して、皆がすげえ楽しかった! と思えるような感じで、1日よろしくお願いします!」と述べ、いよいよ大暴年会は開幕した。
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
SPARK!!SOUND!!SHOW!! 撮影=ハヤシマコ
トップバッターを託されたのは、SPARK!!SOUND!!SHOW!!(以下、スサシ)。イベントジングルに次いでSEが流れ、チヨ(Ba.Cho)、イチロック(Dr.Cho)タクマ(Syn.Gt.Cho)が登場。ゴリラくんを連れてステージに現れたタナカユーキ(Vo.Gt)が「2023年お疲れ様でした!」と言うと爆音が鳴り響き「感電!」でライブスタート! フロアはのっけからカオティックに大騒ぎ。ゴリラホールができた当初はわなかった声出しも解禁となり、この日は思う存分モッシュダイブ! 一切遠慮なしのすさまじい熱量がフロアを渦巻いていく。
SPARK!!SOUND!!SHOW!! 撮影=ハヤシマコ
続く「あいどんのう」ではENTHのダト・ダト・カイキ・カイキ(Vo.Ba)が登場し、鋭いラップを叩き込む。さらにモンキーダンスとC&Rでひとつになった「踊らない」、一瞬KUZIRAの末武竜之介(Vo.Gt.)が乱入した「JUNGLE BUN DEM」を経て、「憂うぎゃる」ではあやぺたが、ライブ後半の「akuma」ではSHADOWSのKazuki(Gt.V.)が登場。忘年会らしく、豪華にゲストボーカルが入り乱れる。タナカは「こんな激アツメンツ集まってるんで、今日が2023年最後と思いながらやってください。命令です」と放ち、ひとときも休ませずに速い曲「SKIMMING ME!!」、うるさい曲「YELLOW」、さらに速い曲「STEAL!!」を連投。どこを見たら良いかわからない狂乱ぶりで圧倒し、ラストは「スサシのマーチ」を超爆音でドロップした。タクマがものすごい跳躍を見せてダイブしたのをトリガーにダイバーが転がり、圧巻の盛り上がりでライブ納めをしたスサシ。一発目からこの熱狂、一体どうなってしまうのかと思わせる、インパクト大のステージだった。
SPARK!!SOUND!!SHOW!! 撮影=ハヤシマコ
SPARK!!SOUND!!SHOW!! 撮影=ハヤシマコ
SPARK!!SOUND!!SHOW!! 撮影=ハヤシマコ
SPARK!!SOUND!!SHOW!! 撮影=ハヤシマコ
SPARK!!SOUND!!SHOW!! 撮影=ハヤシマコ
AIK
AIK 撮影=桃子
年越し側(そば)STAGEのトップバッターは、名古屋出身で24歳のシンガーソングライター・AIK(アイコ)。ENTHのTシャツを着てエレキギターをかき鳴らし、ひとり懸命に声を張り上げる。腹の底から湧き出た感情をそのままぶつけるような歌声からは、荒々しさと粗さが感じ取れる。2曲を終えてMCでは「こんなクソガキを混ぜてくれて本当に嬉しいです。私の音楽を、人生を、生きる意味を与えてくれたバンドが今日出てます」と、憧れのバンドであるENTHと同じイベントに出演できた喜びを、泣きそうな顔で伝える。
AIK 撮影=桃子
「何回も音楽諦めようと思ったし、目を背けようとしたし、止まったし後退したけど……うっとおしいぐらい、諦め悪く這いつくばって夢を追いかけて良かったと、心の底から思えてます。もっと這い上がりたい! もっとでっかいとこで、でっかい声で、でっかい歌を歌いたい!」と叫ぶ。若さと反骨心溢れる楽曲「クソガキ讃歌」を経て、最後は命を賭して書いたというはじまりの歌「生きてゆけ」で締め括った。新曲を含む全6曲を懸命に届けたAIK。いなたくも必死な魂の叫びは、きっと見る者の胸に爪痕を残したことだろう。
AIK 撮影=桃子
EGG BRAIN
EGG BRAIN 撮影=ハヤシマコ
大暴年会STAGE2番手は、今年結成16周年を迎えたEGG BRAIN。歓声とクラップで迎えられ、笑顔で登場したKUN(Ba.Vo)、Uchie(Dr)、JOEY(Vo.Gt)。JOEYが「What’ s up大阪ー! 楽しんでいこうね、よろしく!」と叫ぶと一気にオーディエンスが前に詰まり、「SEVENTEEN」が響くと同時に狂喜して、ダイバーが出現! 続けて「Start From Scratch」をカラフルに演奏。伸びやかなボーカルと、軽快だがヘビィなビートが心地良く、フロアは拳を突き上げて喜びを表現する。
EGG BRAIN 撮影=ハヤシマコ
絶好調のフロアにJOEYは「最上級の愛を込めて。CAN’ T HELP FALLING IN LOVE(WITH OSAKA)!」と曲を贈り、「CROSS THE SKY」「SCISSORS」を連投すると、さらにフロアは前のめりに。そんな様子を見たJOEYは、KUNとUchieに耳打ちして「大阪元気良さそうやから、曲変えるわ」と急遽ステージ上でセトリ変更! 聴こえてきたアンセムは「MUZIC」。ストップモーションの溜めで爆発力が増し、リフトからのダイブ、クラウドサーフ、ウィンドミル、サークル出現とてんやわんやの大騒ぎ。
EGG BRAIN 撮影=ハヤシマコ
ちなみに2023年、関西バンドでゴリラホール最多出演がEGG BRAINだったそうで、JOEYは感謝を述べて「いつまでも輝いていこう。歳なんて関係ない!」と「World」をメロディアスにシンガロング。ラストは「METEOR」でもう一段階ボルテージを引き上げた。堂々たる佇まいと爽やかな疾走感を携えて、今年最後のライブを終えたEGG BRAINだった。
EGG BRAIN 撮影=ハヤシマコ
EGG BRAIN 撮影=ハヤシマコ
EGG BRAIN 撮影=ハヤシマコ
#ロカンマ(LOCANDA&トンマ(Xmas Eileen))
#ロカンマ 撮影=桃子
持ち時間の半分をトークで使って笑わせたのは、LOCANDA&トンマ(Xmas Eileen)からなる#ロカンマ。LOCANDAは「皆さん年の瀬、ようこそゴリラホールへー! 暴れまくる用意はできてますかー!」と明るく煽り、しばし2人でゆるいトークを繰り広げる。そして2人はゴリラホール・オーナーの中村氏にもらったというウクレレを奏で、中村氏のことを歌った「ナカムラ」を歌唱。そんな様子をバーカウンターで見守る中村氏。実に愛されているオーナーだ。
#ロカンマ 撮影=桃子
さらに「今日初めて歌う新曲」と紹介されたファニーな「オバケ」を経て最後の曲へ。トンマは「中村さんは皆の笑顔を作りたいという想いでゴリラホールをやってて、アホみたいに純粋」と話し「それぞれ幸せの価値観を持ってると思う。僕たちも幸せの時間を歌にしてみました」と日常から生まれた「肉離れ」を披露。最後までゆるく楽しい雰囲気で満たした#ロカンマだった。
#ロカンマ 撮影=桃子
FIVE STATE DRIVE
FIVE STATE DRIVE 撮影=ハヤシマコ
名古屋発のスカパンクバンド・FIVE STATE DRIVEはリハからフロアを踊らせて、ここまでのバトンをしっかりと引き継いだ。SEに乗せてHora(Gt)、Yoshiki(Dr)、Takuya/Gorilla(Ba)、Montero(Vo)が1人ずつ登場し、Monteroが「俺は今、踊りてえんだ!」と叫ぶと、挨拶代わりに「Theme of FSD」を披露。間髪入れず「Raise the Flag」「FUCK YOU」が投げ込まれるとフロアは全力でスカダンス! Monteroは「今年は大阪が大好きになりました。ゴリラホールができたから! 最高のライブハウスです、ありがとう!」と愛を叫び「Drive Me Crazy」では歌詞に<Osaka>を入れてテンションを引き上げる。
FIVE STATE DRIVE 撮影=ハヤシマコ
FIVE STATE DRIVE 撮影=ハヤシマコ
「Paradise」ではMonteroが客の上へ行き、「2023年は楽しいことも辛いこともいっぱいあったと思う。だけどライブハウスに来たら全部リセットされて笑顔になれる。お前らもライブハウスが好きで来てるんだろ?」とがっちり心を掴み、濃厚なシンガロングを経てダイブ! 後半の「Hotbox Battlefield」では、KUZIRAの末武がゲストボーカルに登場。続く「Nice Coke!!」では、袖で見ていたKUZIRAの熊野和也(Ba.Vo)が連れてこられ、瓶コーラ型のフロートに乗ってオーディエンスの頭上をサーフ! 打ち合わせなしだったそうで、戸惑いつつも笑顔で運ばれる熊野にフロアは狂喜乱舞。最後は「Burger King」「Anthem」で一気に駆け抜けた。会場をこれ以上ないほどのお祭り騒ぎ状態に導き、素晴らしい一体感で満たしたFSD。フロアから飛ぶ「ありがとう!」の声が、彼らの愛が届いていることを証明したのだった。
FIVE STATE DRIVE 撮影=ハヤシマコ
FIVE STATE DRIVE 撮影=ハヤシマコ
FIVE STATE DRIVE 撮影=ハヤシマコ
THE SKIPPERS Acoustic
THE SKIPPERS Acoustic 撮影=桃子
アコースティックと言えども、ダイバーも現れるほどの盛り上がりを見せたのは、ジャガー(Vo)、UK(Gt)、アキヒロ(Ba)、オイス(Dr)からなるTHE SKIPPERS Acoustic。ジャガー(Vo)は「しっとりやるんで、しっとりモッシュダイブしてください」と最新曲「WAY BACK」からライブスタート。冒頭、ジャガーのボーカルから4人のコーラスがパワフルに響き、フロアの拳が上がると骨太サウンドが叩き込まれる。フロアにはどんどん人が押し寄せ、後方からはあっという間にメンバーが見えなくなった。
THE SKIPPERS Acoustic 撮影=桃子
続けざまに「GOING SKIP」を投下し、ジャガーが煽るとリフターやダイバーが続出! 「今年頑張った人ー! 来年もっと頑張ろうな! 生き様見せたろうぜ!」と叫び「WAY OF LIFE」で一気に加速。大シンガロングが発生した「THAT TIME」、ハードコアな「FLY」を容赦なく叩き込むと、フロアは大暴れ状態に。ジャガーはとどめの1曲とばかりに、超絶パンクに「LOOKIN’ BACK」をぶち込み全10曲をやりきった。
THE SKIPPERS Acoustic 撮影=桃子
KUZIRA
KUZIRA 撮影=ハヤシマコ
ライブ前からフロアが異様な熱気に包まれていたのはKUZIRA。SHADOWSのTシャツを着た末武が「Pacific」を高らかに歌いはじめ、「KUZIRA、今年最後のライブ!」と叫んで疾走感と爆音を解き放つと、途端にダイバーが続出。末武はまだ足りないと言わんばかりに「何しに来たの?やりに来たんじゃないんですか?かかってこいよ!」と煽り「In The Deep」を投下。あまりの迫力とフロアの狂乱ぶりに呆気に取られていると、間髪入れず「Blue」「Snatch Away」を投下してさらに勢いを加速する。
KUZIRA 撮影=ハヤシマコ
パワフルながらメリハリのある演奏だからか、末武の歌声がよく聴こえる。熊野は大声で煽り、シャー:D(Dr)はスティックを華麗に回す。MCで末武は「大阪、今年もお世話になりました! 大阪ってもうちょっと元気だったよね? こたつでぬくぬく過ごすんじゃなくて、ここを選んだんですよね? じゃあもっと来てくれないと!」と鬼気迫る様相で煽った「Clown」ではゴリラくんが登場。よく見ると、ゴリラの足の間から人間の足が見えている(笑)。頭を取ると、現れたのはスサシのイチロック。これにはオーディエンスも大歓喜! さらに割れんばかりの轟音で「Muggy」をプレイした。
KUZIRA 撮影=ハヤシマコ
末武は「2023年すごいスピードで進んできて、一瞬で終わった! どんどん変わっていくから、自分の内面だけはブレずに変わらないもの持っていこう!」と「Control」を投下し、パンパンのフロアをなおも踊らせた。ラストは「Spin」。最後まで豪速球、全身全霊で駆け抜けたKUZIRA。近々嬉しいお知らせもありそうなので、来年の彼らの活躍も楽しみにしておこう。

KUZIRA 撮影=ハヤシマコ
KUZIRA 撮影=ハヤシマコ
KUZIRA 撮影=ハヤシマコ

LOW IQ 01
LOW IQ 01 撮影=ハヤシマコ
エスキモーハットにアコギを抱えて登場したLOW IQ 01。冗談を交えた軽快なトークで飛ばしつつ、「Snowman」をメロディアスに響かせる。早速クラップとシンガロングでひとつにすると、長渕剛の「とんぼ」をカバー。オーディエンスも巻き込んでワンマンさながらの大合唱! MCではフロアとコミュニケーションを取りつつ、モノマネ満載&濃厚キャラで会場を大爆笑に。さらにBRAHMANの「ANSWER FOR. . .」と「今夜」をカバーして大喝采を浴びた。
LOW IQ 01 撮影=ハヤシマコ
続けざまに「Starting Over」を柔らかく歌い上げ、「WHAT'S BORDERLESS?」を披露し本領を発揮して会場の熱を引き上げた。「これやらないと始まらないよね」と投下したラストチューンは「Makin’ Magic」。しかしただで終わるはずもなく、途中でMONGOL800の「小さな恋のうた」を行き来するアレンジを挟み、フリーダムかつ予測不能な展開で盛り上げる。誰もがポジティブになれる、ハイライトシーンだらけのステージで楽しませてくれた。
LOW IQ 01 撮影=ハヤシマコ
(取材・文=久保田瑛理)

G-FREAK FACTORY
G-FREAK FACTORY 撮影=桃子
「2023年、世話になったな!」、茂木洋晃(Vo)が感謝の言葉を豪快に投げかけると「Too oLD To KNow」から心地よい裏打ちのリズムがフロアを揺らす。いつだって盛大なシンガロングが沸き起こる名曲からのスタートとくれば、観客のテンションは言わずもがな。次曲「Unscramble」では、原田季征(Gt)のギターリフで再び歓声が沸く。
G-FREAK FACTORY 撮影=桃子
吉橋”yossy”伸之(Ba)リズムのなかを泳ぐように、次から次に前方へ飛び込んでいくダイバーと拳を交わす茂木。その拳を重ねるたび、彼の表情も一層ギラついていく。そのギラつきは「REAL SIGN」でさらに濃厚になっていく。土着的な三味線と鍵盤のサウンド、ループする読経のような歌唱、そして群馬讃歌的なリリック。岩本”leo”怜王(Dr)のビートも中毒性があって、聴くほどに脳髄の奥のほうまで引きずり込まれてしまう。
G-FREAK FACTORY 撮影=桃子
MCではさらりと「今日もカッコよくてすみません!」と挨拶しつつ、ステージ後半はLOW IQ 01とともに「Easy Love Baby」をコラボ。冗談を言い合い互いに肩を抱き、さらりと名曲を歌い上げるところがまた心憎い。「2023年は悲しみも不安も色々あった。(嫌なもの)全部置いていくために歌う」と「Fire」ではただまっすぐに、想いを真摯に伝える4人。漲る生命力に導かれ、背筋をぐっと真っ直ぐに正して音に反応する観客の姿がとても印象的だった。
G-FREAK FACTORY 撮影=桃子
G-FREAK FACTORY 撮影=桃子
G-FREAK FACTORY 撮影=桃子
G-FREAK FACTORY 撮影=桃子
片平里菜
片平里菜 撮影=ハヤシマコ
年越し側ステージに癒しの時間を届けてくれたのは片平里菜。「カントリーロード」からじっくりと丁寧に、凛とした歌声を響かせ、観客の表情は自然と穏やかに。「野郎ばっかりなんで…」と、セレクトしたのは「女の子は泣かない」。ワンフレーズだけだけど、甘酸っぱくて猫みたいな気ままな歌声にあっという間に心奪われてしまう。
片平里菜 撮影=ハヤシマコ
「東北ライブハウス大作戦」のプロジェクトに参加し、たくさんのバンドマンとの絆を繋げてきた彼女。先輩たちが嘘なく、心向くままに走る姿に心救われたと語り、「ロックバンドがやってきた」「満月の夕」を披露。シンプルな言葉でられる楽曲に、観客は”当たり前”を大切に想い噛みしめるように聴き入っている。「私なりに暴れられるように。2024年も歌っていく。何より、みんなの平和を願います」とラスト「予兆」まで、真摯な歌声で魅せてくれた。
片平里菜 撮影=ハヤシマコ
SHADOWS
SHADOWS 撮影=桃子
最新の音響システムを導入しているゴリラホールでは、轟音が鳴り響くと足元からビリビリと体が震えるのだが、SHADOWSのステージは最初から最後まで、観客全員に電動マッサージ機でもあててますか?ってくらいに、体がずっと揺れ続けていた。豪快なスタートダッシュをきった「All I Want」、Ryo(Dr)のビートが、Hayato(Ba)のリズムが身体に真正面からぶつかってくる。激動の渦に誘い込むように、Hiro(Vo)の高速ボーカルが一層加速していく。Kazuki(Gt.Vo)、Takahiro(Gt.Vo)、2人のシャウトが突き抜ける「So What」、荒ぶるHiroのハイな歌声とのギャップも爽快だ。
SHADOWS 撮影=桃子
「かませ!」、シンプルな煽りのひと声でフロアに強烈なハーコーが発生。「Senses」「Overcome」、さらには「Tourette’ s/NIRVANA」のカバーと、頭上から降り注ぐ轟音を浴びながら全身で音に塗れていく観客たち。「最高! みんな優勝!」、観客の豪快な暴れっぷりにメンバーも満足気だ。その後もダイバー量産型サウンドを投下し続け、出演者が次々に飛び入り参加してはフロアに飛び込んだりと、「大暴年会」の名にふさわしいステージに。「来年も大好きなバンドとライブハウスをよろしく!」と、グッドメロディを爆音で届け、颯爽とステージを後にした。
SHADOWS 撮影=桃子
MCではゴリラホールへの感謝と、一年の活動に感謝の言葉を届けつつ、2024年早々にバンドからお知らせがあることを告知していた彼ら。「心の準備しといて!」と語っていたが、約6年ぶりにアルバムをリリースし、これまでサポートとして参加していたHayato、Ryoの正式加入が決定。2024年の快進撃に期待!
SHADOWS 撮影=桃子
SHADOWS 撮影=桃子
あやぺた(Dizzy Sunfist)
あやぺた(Dizzy Sunfist) 撮影=ハヤシマコ
「大暴年会」を誰よりも満喫していたのがあやぺただ。自身のステージが始まる前からご機嫌に酒を煽っていたが、本番が始まる頃にはほろ酔いを通り越してベロ酔いに。サウンドチェックでは観客と喋りまくり&リクエストに応えて歌い、adoの「唱」をSEに本気で踊りながらのステージインをキメると「今年一年お疲れー! 遊ぼうぜ!と」と「Shooting Star」からようやく本番へ。
あやぺた(Dizzy Sunfist) 撮影=ハヤシマコ
「Andy」や「そばにいてよ」など、自身のバンドの楽曲で進行するかと思いきや、dustboxや矢井田瞳をカバーしたりと自由気まま。トークもフリースタイルというか、宴会そのもの! 「こういう忘年会したかった!」と大喜びで、観客と乾杯するわ、喋りすぎて次の曲を催促されるわと、バンドでステージに立つ姿とはまた違う、音楽を自由に楽しむ姿に思わずほっこり。
あやぺた(Dizzy Sunfist) 撮影=ハヤシマコ
ENTH
ENTH 撮影=桃子
「よっしゃ! 暴年会、カチこんでいこーぜ! ラストがゴリラホール、ここで良かったなって思えるものに!」。サウンドチェックから飛ばしまくりのステージを展開していたENTH。おなじみのテキーラショットをあおり、「ムーンレイカー」をコールした瞬間にフロア前方の人口密度が急増。ダト・ダト・カイキ・カイキ(Vo.Ba)のシンプルだけど美味しいとこどりなリズムに揺られ、フロアが大きなうねりを上げる。さらに「"TH"」でも豪快なギターサウンドにテンションが大きくバースト。うるさくってタフで、ゴツい音が次々に体にぶつかってくるんだけど、それがまた気持ちよくって誰もが前のめりに。「LOVE ME MORE」ではおなじみの下ネタコール&レスポンスで遊び、観客を巻き込んでさらにテキーラをグイっとおかわり。
ENTH 撮影=桃子
ENTH 撮影=桃子
「WHATEVER」では、ナオキ(Gt.Cho)のポップなメロに誘われてか、あやぺたが客席からダイブ! 仲間がダイブする=めちゃ最高のライブの証拠で、「全部忘れちまえよ!」の言葉でタクミ(Dr.Cho)のビートがさらにタフになり、途切れることなくダイバーが続出。メンバーもそのままフロアへダイブを決め込みそうなハイテンションなライブを展開し、セキュリティスタッフ泣かせな時間が続いていく。MCでは今年一年は楽曲制作に費やした期間だったと語り、「マジで最強のものできたんで」と期待の募る発言も! 後半はタナカユーキ(SPARK!!SOUND!!SHOW!!)も加わり、「MAXX THE CAT a.k.a. lil white tiger feat.タナカユーキ」を豪快にキメると、「Will」まで全11曲を駆け抜けた。
ENTH 撮影=桃子
ENTH 撮影=桃子
ENTH 撮影=桃子
U-tan(GOOD4NOTHING
U-tan(GOOD4NOTHING) 撮影=ハヤシマコ
2023年12月にアルバム『HEARTS BURNING』をリリースしたばかりのGOOD4NOTHINGから、今回は年越し側ステージでのアコースティックライブにU-tanが登場。1音目からフロアから大合唱が沸き起こるほどのグッドメロディを奏でていく。観客がうれしそうに歌う姿を眺め、目を細めて笑顔を見せるU-tan。バンド編成でのぎゅっと密度の高いライブも気持ちがいいけれど、じっくりと音を、言葉を、声を堪能できるアコースティックライブもなんとも贅沢。
U-tan(GOOD4NOTHING) 撮影=ハヤシマコ
1月6日(土)から新作を携え、全国ツアーが始まっているGOOD4NOTHING。コロナ禍で作り上げたという作品に込めた想いも丁寧に言葉にし、収録曲から「CHANGE」などいち早く披露。その後も新旧の楽曲を惜しみなく披露すると、「オハコやっていいですか?」と「It’ s My Paradise」へ。「2024年もパンクロックとライブハウスを愛してください!」と、タイトルまんまな多幸感たっぷりの楽曲でステージを締めた。
U-tan(GOOD4NOTHING) 撮影=ハヤシマコ
dustbox
dustbox 撮影=岩渕直人
「待たせたなー! 大阪、思いきりいくぞ!」。”ロックの遊び場”と化した大暴年会、そしてGORILLA HALL OSAKAの一年を締めくくる大トリはdustbox! 期待募るステージ、1曲目に選んだのは「Riot」。SUGA(Vo.Gt)のギターリフを耳にしただけで観客は大喜び。満面の笑みを浮かべながら踊る子どももいれば、たまらずフロアに飛び込むバンドマンも続出し、スタートダッシュの速さに思わず目まいがしそうだ。開演からすでに8時間以上が経過し、観客はモッシュにダイブにと大暴れしてきたはずだがまだまだみんな元気! 「Rise Above」「Not Over」とグッドメロディ&瞬発力の高いサウンドに全力で応えていく。
dustbox 撮影=岩渕直人
dustbox 撮影=岩渕直人
dustbox 撮影=岩渕直人
イベントでトリを務めるのは久しぶりだという彼ら。「こんなチャンスねーから!」と、フルスイングのステージを約束し、「Emotions」からさらにギラついた音をぶつけていく。歌うようなJOJI(Ba.Vo)のリズム、YU-KI(Dr)のシンプルかつ的確に芯を狙うビート、ポジティブなサウンドが止まることなく投下される。かと思えば「You Are My Light」ではSUGAのギターリフだけでフロアの空気が変わり、ぐっちゃぐちゃに乱れたフロアにすっと晴れやかな空気が流れこんでいく。「今年の汚れ、今年のうちに」じゃないけれど、鬱憤はすべて落としてしまって最高の音楽で体中を満たして一年を終わりたい! きっと誰もがそんな気持ちになっていたはず。だからこそ、フロア全沸かし確定のキラーチューン「Here Comes A Miracle」ではダイバー渋滞が起こるほど、観客はハイテンションでバンドの音を迎えにいく。「聴き納めどころか、おかわりしにライブハウスに来てほしい」と、2024年もGORILLA HALL OSAKAはもちろん、全国のライブハウスに会いに来てほしいと想いを伝え、本編ラスト「Jupiter」へ。ライブハウスでこそ活きる曲があると実感させてくれる名曲で最高の締めを飾ってくれた。
dustbox 撮影=岩渕直人
ステージとフロアの距離をさらに縮めたところへ、アンコールでは”大暴年会”の冠にふさわしく、ENTHでおなじみのテキーラおじさんが登場。出演者も大勢ステージに乱入し、テキーラのショットで最後のガソリンを注入すると、「悔い残すな!」と「Tomorrow」など本編を越える爆発力で猛進。幸せいっぱい間違いなしの2024年へ向け、最高のエネルギーチャージを堪能させてくれたステージが終わると、心地よい疲労感と満足感が心も体に充満していた。
dustbox 撮影=岩渕直人

dustbox 撮影=岩渕直人

自由に楽しめて、誰もが元気になれるライブハウスを目指し、2023年に大阪に新しく誕生したGORILLA HALL OSAKA。その存在感は全国のバンドマンにもオーディエンスにも濃く、確かに広まったはず。2024年もどんな音楽が鳴り、どんな遊び場を作ってくれるのか期待したい。なお、すでに2024年12月30日は『GORILLA is NOT DEAD!! 大暴年会Special~』の開催が決定しているとのこと。年末のスケジュール、いまから抑えておこう!
取材・文=黒田奈保子 写真=オフィシャル提供(撮影:ハヤシマコ、桃子)

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