L→R KOZO(Dr)、玉屋2060%(Vo&Gu)、アサミサエ(Vo&Key&Sampler)、∴560∵(Ba&Cho)

L→R KOZO(Dr)、玉屋2060%(Vo&Gu)、アサミサエ(Vo&Key&Sampler)、∴560∵(Ba&Cho)

【Wienners】肩の力を抜いて勝てる相
手がいる時代は終わった

昨年、新メンバーを加えて復活したWiennersが、いよいよ本格的に本領を発揮してきた印象だ。新作『GOKOH』は彼らの志しの高さ、ポテンシャルの高さが分かる快作に仕上がった。その制作背景を玉屋2060%(Vo&Gu)がひたすら熱く語る!
取材:帆苅智之

2ndミニアルバム『GOKOH』収録曲は出音一発目でWiennersであることが分かるサウンドに仕上がってますね。

お、そうですか? 心のどこかで“自分たちのアイデンティティーは何なのか?”を考えていて、やるんだったら自分たちにしかできないものを…とは無意識の中で意識していると思うんで、それでこうなったんだろうなとは思いますね。

個人的にはアサミサエさんが前作以上にバンドへ注入されている印象があって、そこがとてもいいです。

あの子の声、歌、キャラクターをいいなと思ってバンドに誘ったんですけど、一緒にやっていくに連れて、彼女の出し方が分かってきて。もともと僕がWiennersを組んだ時に求めていた女性はこういう感じだったので、そこがはまっている感じはありますね。

女性ロックヴォーカリスト特有の“何か背負ってる感”とはまた別の、独特の空気感を持っている方ですよね。

哀愁を持った中学生みたいな感じというか(笑)。何かを経てきた女性の声よりも、無邪気な声のほうが時としてドキッとさせられることがあるし、僕はそっちのほうが好きで。

そのアサミさんと玉屋さんのツインヴォーカルに不思議な高揚感があって、1曲目のファンクチューン「おおるないとじゃんぷせっしょん」から他にはないタイプに仕上がっていると思います。

この曲は全体のイメージがかなり具体的だったというか、昔にやっていた『ソウル・トレイン』という海外の音楽番組に、誰も知らない侍のファンクバンドが乗り込んで、いきなりこの曲をやって、“何だ、この外国人は!?”となる…超アウェイな空気の中で“ジャパニーズ、すげぇ!”って観ている人の度肝を抜く、そういうイメージで作ったんです(笑)。ラップにしても、侍が“あ、これは落語を早口でやるんじゃな”って見様見真似でやってる感じですね(笑)。

もしかしてタイトルが平仮名表記なのも、そういったイメージが関係していますか?

はい。日本から見た海外のイメージ。墨文字で書いた平仮名です。

この他にも、「座頭市」「さよなら浦島太郎」「姫」は歌詞がもろですし、「TRY MY LUCK」「さよなら浦島太郎」はメロディーがJ-POP、「姫」はフォークと、今作は全体的に明らかに和テイストがありますが、これは意図的なのですね。

意識的です。日本の文化って異常で、100年ちょい前まで侍時代だったわけですよ。3世代遡ればちょんまげ時代になっちゃう。これってすごいことだし、そういうところで日本の文化って面白いと思ってるんです。僕は常に音楽以外の自分の趣味や興味を音楽につなげていくことが大事だと思っているので、僕が今一番ロマンを感じていることを音楽で表現してみたと。侍を表現する時に三味線とチンドンを使うんじゃなくて、あえてエレキギターを使ってビートを刻む。そのハイブリッドな感じ、独自な深化を遂げている感じですね。例えば、侍文化が途切れなくて今も続いていたら、たぶん“『ミュージックステーション』にやべぇ侍が出ているぞ!”みたいな(笑)。

歌舞伎者がバンドを組んでるみたいな?(笑)

そういうことを考えると、ほんと興奮してくるんです(笑)。このアルバムはそういうイメージです。

なるほど。これは邪推かもしれませんが、その背後には、海外の音楽=ロックを凌駕するような、日本オリジナルのロックを作りたいという欲求があったりするのですか?

それはあります。日本の文化って島国だから独特で、ゼロから1を作るのは難しいかもしれないですけど、1を与えられたらそれを10や100にする力はものすごいと思うんです。僕らは音楽=ロック、ファンク、パンクというヒントを与えられているので、それを独自に進化させたいなとは思っていて。ルーツをなぞるというのは大陸の方に任せておけばいいし、僕がやらなきゃいけない役目は、日本列島に入ってきたものをこの島国で進化させて外に鳴らしていくというか、ビビらせるというか。

日本独自の音楽を標榜して沖縄音楽や民謡へ傾倒していくアーティストも少なくないですが、玉屋さんは江戸時代以降にそれを求めていこうというわけですね。

はい。日本のルーツを辿ってそれを知ることも大事ですけど、一番大事なのは日本のルーツを探って得た知識で南蛮渡来のものを解釈していくことで。僕は日本国内のものをそのまま出してもあんまり面白くないと思っていて、渡来してきたものを日本人がどう嚙み砕いて消化していくかということに面白みを感じるので、どんどん吸収していって、どんどん大きくなっていこうという。

やはりWienners、すげぇ志しの高いバンドですね。

そうですかねぇ。ただ興味があるだけだと思うんですけどね(笑)。

いや、2曲目「TRY MY LUCK」にしても、一見ギャンブルをモチーフにした内容に見えて、実はバンド活動に真剣に取り組む姿勢を綴っているじゃないですか。

賭けてますよね。《このすべての財産を生涯にベット》って歌詞で言っている通り、バンドに人生を賭けちゃってるわけなんですよ。ていうか、人生を賭けるくらいじゃないと見えない景色ってあると思うので、そういう意味での賭けというか…本当の賭けってそうなんですよね。一銭二銭賭けるんじゃなくて、百両二百両賭けないと見えない景色があるというか。

《始まりの音が響いたなら 正気の沙汰ではいられない》という歌詞がありますが、ライヴにしても余力を残そうとして臨んじゃいかんということですよね。この覚悟は素直に称えたいです。

ありがとうございます。“楽な気持ちで”とか“肩の力を抜いていけ”みたいなことを言う場面ってあるじゃないですか。それもすごく分かるし、そうしなきゃいけないこともあるとも思うんですけど、今の自分が立っている状況はそれが許されない。肩の力を抜いて勝てる相手がいる時代は終わったんです。今、自分がいるのはプロの世界で、ステージに出たら余力を残していたら勝てないんです。

つまり、これはアーティストとしてのプロ宣言でしょうか。

それに近いかもしれないですよね。“こういうところでやってんだ”というものを、メンバーにも自分自身にも言い聞かせているようなところがあるのかもしれません。
『GOKOH』2016年10月05日発売 No Big Deal Records
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • NBDL-36~7 2160円
    • 【通常盤】
    • NBDL-38 1512円
Wienners プロフィール

2009年初頭、玉屋2060%を中心に吉祥寺弁天通りにて結成。パンク畑出身の瞬発力と鋭さを持ちつつも、どこかやさしくて懐かしい香りを放つ男女ツインヴォーカルの4人組ロックバンド。予測不可能だけど体が反応してしまう展開、奇想天外かつキャッチーなメロディーで他に類を見ない音楽性とユーモアを武器にさまざまなシーン、世代、カルチャーを節操なく縦断し続けている。Wienners オフィシャルHP

OKMusic編集部

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