【Wienners インタビュー】
今までの自分だったら勇気がなくて
できなかったようなことができた
音源を出す毎に、ツアーを決行する度に、確実に成長を遂げていることが分かる。そんな常に絶賛拡張中のWiennersからニューシングル「FACTION」がアライバル! フジテレビ系TVアニメ『デジモンゴーストゲーム』のオープニングテーマに起用されたことが大きなアドバンテージとなり、今まで以上にブランニューなWiennersサウンドが完成したぞ。
「GOD SAVE THE MUSIC」は
ガチャガチャしたWiennersの集大成
新曲「FACTION」の話をうかがう前に、8月に行なわれた『GOD SAVE THE MUSIC TOUR 2021』のファイナル公演が素晴らしく感動的だったので、その話を少し聞かせてもらえたらと思います。まず∴560∵さんがパーカッションを叩いていたのが印象的でした。
∴560∵
昔からやっていたんですけど、今回のツアーは久しぶりにやりましたかね。1stアルバム『CULT POP JAPAN』(2010年発表)に入っている「Justice4」という曲で、ライヴでパーカッションを叩くというパフォーマンスをしてたんで、それ自体を始めたのはすごい昔なんですけど、そこから、3rd『DIAMOND』(2014年発表)というアルバムに入っている「天地創造」でも叩いたりとか。でも、使う曲がかなり限られていたんで登場しないことが増えていって、今回が久々になった感じでした。今回のツアーで披露した新曲では“またパーカッションを取り入れよう”と…しかも、今までやっていたのとはちょっとアプローチが違って、“力強い太鼓!”というニュアンスで。もともとやっていたのは結構サンバ的な陽気なパーカッションで、高音が賑やかに鳴るようなことをやっていたんですけど、今回の新曲では力強くて太い太鼓で、大地を感じるようなビートを取り入れた感じでしたね。
パーカッションを取り入れたことでWiennersのライヴの幅は確実に広がったと思います。
∴560∵
やった! やりました(笑)。ありがとうございます。
はい。あと良かったのは、配信ライヴの映像も新鮮でとても良かったです。これはカメラマンの手腕によるところも大きかったとは思うんですが、バンド側から“こんなふうに撮ってほしい”といったリクエストはあったんですか?
玉屋2060%
いや、映像チームはWiennersを初期から撮ってくれているチームで、“こういうふうにしてほしい”と言わなくとも分かってくれる。センスが近いというのが一番大きいかもしれないですね。生配信の映像というのはWiennersは自信があるし、いいものができているんじゃないかといつも思ってますね。“これは生配信とは思えないっしょ?”という。エフェクトがかかったりもしますし。
これは悪い意味ではないんですけど、画がすごく雑なところもあるんですよ。
玉屋2060%
それ、重要なんですよ。整っているところは整っているところで作品として素晴らしいと思うんですけど、生配信では生感を伝えたいので、そういう意味で生っぽい…“今ここでライヴがマジで行なわれているんだ”みたいなことをちゃんと実感させてくれる映像にいつもなっていると思ってるんで。結局ライヴハウスで観ている画ってあんな感じじゃないですか。きれいな画は観ていなくて、すっげぇブレながら“うわーっ!”って…何なら、ほとんど見てない感じだったりすると思うんで(笑)。そのもみくちゃな感じが再現できて俺は満足しているし、映像チームには信頼を置いていますね。
あと、この間のライヴで言えば、個人的にアサミサエさんが貫禄を増してきた感じがありまして。半年前に比べて、バンドの中での存在感がどっしりとしてきた印象を受けました。
アサミサエ
嬉しい! 半年前に犬を飼って良かったと思います(笑)。
そういうこと?(笑)
(笑)。歌がさらに表現力を増しましたね。
アサミサエ
ありがとうございます。前回のインタビューでも歌のことを褒めてくださっていて、いつもそれを嬉しく思ってます。ヴォーカルは歌えて当たり前なところがあるので、そこに注目していただけるのはほんとうに嬉しいです。
先ほどの映像の話の通り、ライヴはごちゃごちゃした感じでもいいと思うんです。でも、歌までゴチャゴチャするのは違うと思っていて、アサミサエさんの歌がしっかりとしていることはバンド全体に安心感が出ると思うんですね。
アサミサエ
ありがとうございます。毎回ツアーの度に、意識的に…というわけではないんですが、自分自身をちょっと変えたいというか、“自然に変わっていきたい”“成長したい”というのがあって。そう思った時、自分が作ったかたちを崩すのが私は好きで。だから、そういう作業をしてツアーに臨んだりしていて。歌は特にそれが反映されているので、そこに気づいてもらえたのは嬉しいです。
以前に比べて勢いに任せていない…そんな言い方がいいでしょうか?
アサミサエ
そうですね。遠くから聴いてもらっても“この人が歌ってるんだな”って思われるような存在になりたいというのがあるので、遠くまで届くような歌声を意識して作り込んだりはしています。
分かりました。ツアータイトルでもあり、8月に配信リリースされた「GOD SAVE THE MUSIC」について触れておきたいんですが、これは初めてリモートで曲作りをしたものだと聞きました。逆に言うと、これまでは4人でスタジオに入って作っていたわけですね?
玉屋2060%
だいたいそうですね。デモを僕が持って行って、それをみんなで聴いて細かいところをいじっていく…みたいなのが基本だったんですけど、初めて完全リモートで会わずにやって。しかも、一週間もないくらいの期間で作ったので、ギュッとしていて。そんな作り方は初めてだったから、改めて“あっ、俺たちすげぇな!”と思いましたね(笑)。スタジオに入ってああでもないこうでもないってしている時間がなかったし、下手したら1ラリーくらいで終わらせないといけない感じだったんですよ。だけど、その1ラリーで自分の持ち場でいい味を出して、各々が考えたフレーズを曲に落とし込んでくれたので、改めて“やっぱこのバンド、4人とも才能あるっすね”ということが証明できたと思います(笑)。
∴560∵
玉屋主導で作ったライヴハウス・吉祥寺WARPのコンピレーションCD『WARP TREE』(2020年7月発表)に入れるために短期間でバッと作ったのが始まりだったので、各自が宅録で録ったデータを“これでお願いします!”みたいな感じで提出して(笑)。
「GOD SAVE THE MUSIC」はメロディックな部分あり、ハードコア、ファンキー、デジロックと結構、雑多に要素が入っていて、言ってしまえばWiennersらしい感じなんですけど、一回程度のやりとりで楽曲が完成したというのは、さっき玉屋さんがおっしゃられたとおり、全員が全員、心得ている証拠なんでしょうね。
玉屋2060%
そうですね。作っている時はまったく意識していなかったけど、Wiennersの全部が詰まっているなと。だからこそ、話が早かったんじゃないかという。作っている時は何も考えずに、ただただ“GOD SAVE THE MUSIC”と思って作っていて…Wiennersがコロナ禍に対する曲を作る時にシリアスになるのは、俺は絶対に嫌だったので、自分らなりの回答というか、こういうテンションの曲というのが自分の中では絶対に必要だったんです。そうしようと思ったら必然的に全部の要素が入ったんだと思うし、まったく狙っていないですけど、全員にスポットライトが当たる瞬間ができたという。なので、やっぱり必然だったんだと思いますね。
なるほど。このメンバーで何年間か活動し、何作か作品を作ってきて、みんなの中でWiennersが認識できてきて、そこでちょうど「GOD SAVE THE MUSIC」を作るタイミングがやってきたと言いますか。
玉屋2060%
そうですね。ある意味、ガチャガチャしたWiennersの集大成みたいな曲かもしれないです。Wiennersにはこれ以外にもいろんな要素があるので、ガチャッとした部分が合わさったのはこの曲だなと思います。
「GOD SAVE THE MUSIC」は2分ちょっとなので、すごい詰め込み方だと思っています(笑)。
玉屋2060%
2分ちょっとでも、聴き応えは長いと思っています(笑)。