こちらも『逃げ恥』を彩った楽曲。チ
ャラン・ポ・ランタン『進め、たまに
逃げても』

星野源が歌うエンディング曲の『恋』が、特に話題になりました。「恋ダンス踊ってみた」動画もたくさん投稿されましたね。しかし、ドラマのオープニングを彩った曲『進め、たまに逃げても』にも注目してほしいと思います。



この主題歌を歌っているのは、姉妹デュオのチャラン・ポ・ランタン。ボーカルの妹のもも、アコーディオンとコーラス担当の姉の小春が、派手な衣装を着てパフォーマンスします。多くの曲で、小春が作詞作曲を担当。時々ももも作詞に参加します。この『進め、たまに逃げても』は作詞はもも、作曲が小春です。特に、ももはこのドラマの大ファンで、毎週Twitterで絶叫することも話題になりました。





『進め、たまに逃げても』はテンポが速く、この曲の勢いがドラマの勢いを作っているとも言えます。サビのメロディで曲がスタート。「見せて 未来の私」という未来の自分に対する呼びかけで曲が始まります。「ねえ?」と疑問が入りながらも、未来への希望を歌っている歌詞。

「二人の」で、ドラマ内で登場する主演二人を連想させます。「歩幅」「呼吸」「仕草」が「重なっていく」という歌詞。ここで言葉を詰め込む構成です。「二人」の距離が縮まっていく高揚感を、言葉を詰め込むことで表現しているんですね。歌いやすさだけを選ぶなら、たとえば「歩幅」「呼吸」だけでもいいはず。そこをあえて「仕草」も入れて、「二人」の様々な行動パターンが似てきて感情が近づいてくる様を表現。テンションの高まりを曲で表現しているのです。

そして「明日を手に入れろ」でしめる、実は力強い歌詞。『逃げるは恥だが役に立つ』というタイトルの補足でもあります。「役に立つ」のはなぜか。それは、明日を手に入れるためなんですね。より良い明日を手に入れるためには、時に「逃げる」ことも必要なのです。



「私の部屋」が「お掃除したばかり」なのに、散らかっているという状況。一見、マイナスなことに思えます。しかし、「誰かのせいに出来る」というのは、実は「幸せはこういうことなのかな?」と歌詞の主人公は気づきます。この歌詞もドラマの内容とリンクしていますね。ドラマの最終回でこんな台詞があります「生きていくのって面倒くさいんです。それは一人でも二人でも同じでそれぞれ別の面倒くささがあって。どっちにしても面倒くさいんだったら一緒にいるのも手じゃないでしょうか?」。この台詞にもあるように、二人の生活には面倒くささもある。けれども、その「面倒くささ」も含めて「幸せ」なのだということを、この主題歌は的確に表現しているんですね。



そして、この箇所こそ、チャラン・ポ・ランタンの真骨頂。「いってきます」「いってらっしゃい」「ただいま」「おかえりなさい」という普通の会話をファンタジックなアレンジで彩ります。この「日常の会話」フレーズで、チャランポらしいファンタジックさを出しているんですね。「ことばとことば 色がついてゆくのよ」という歌詞どおりに、日常の会話にチャランポ色をつけているのです。このユニットは、ドラマ主題歌をとおして「何気ない日常こそファンタジーである」ということを示しているんですね。

星野源の『恋』があまりにヒットした為に見過ごされがちですが、この曲も『逃げ恥』を彩った歌です。ぜひ、今一度この曲とチャラン・ポ・ランタンというユニットに注目してもらいたいですね。



TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

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