10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by 加藤アラタ(Kato Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)

10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by  加藤アラタ(Kato  Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)

水瀬いのり、
3年連続での実施となった
横浜アリーナ公演をレポートが到着

声優アーティスト・水瀬いのりのライブツアー『Inori Minase LIVE TOUR 2022 glow』神奈川公演が、10月1日(土)に横浜アリーナにて開催された。今回は2022年7月にリリースした4thアルバム『glow』の楽曲を中心に全22曲を披露し、持ち前の歌唱力と軽妙なトークで満員のファンを魅了した。

場内が暗転し、メインスクリーンにオープニングムービーが上映される。ランタンを掲げ暗闇の中を進む彼女が白いドアをくぐった先には、視界いっぱいにまばゆい輝きが広がる。集まった光が流星のようにライブタイトル「glow」を描くと、ついにステージの幕が上がる。

オープニングナンバーは、ニューアルバムでもオーバーチュアを飾る「sunrise glow(overture)」。チクタク、と鳴る時計の秒針の音に合わせて、揺らされるペンライトにピアノの調べが加わり、段々と増えていく楽器とステージの光に呼応するように会場が一体化していく。そしてひときわ明るく輝いたステージの真ん中に、「僕だよ」と満面の笑みで彼女は現れた。シームレスに始まった「僕らだけの鼓動」を、色とりどりのチェックを合わせたセットアップに、シルクハットを合わせたポップな衣装で、手を振り上げて楽しそうに披露した。
「横浜アリーナ!みんなで一緒に盛り上がっていきましょう!」と思い切り声を挙げ、疾走感そのままにパワフルな「Step Up!」へ。再会を喜ぶように観客に手を振り、ハツラツとしたパフォーマンスを繰り広げると、それに呼応するかのようにフロアのペンライトも突き上げられる。そして「Catch the Rainbow!」のイントロが聞こえた途端、一気にアリーナのペンライトが虹色に染まった。客席をぐるりと見渡したり指を差したりしながら、パワフルなパフォーマンスを披露。ファンのボルテージをいきなりこの4曲で急上昇させた。

見事なスタートダッシュを決めたあとのMCでは、「改めて皆さんが作ってくれる景色も含めてライブなんだなと感じました!とても素敵な光景をありがとうございます!」と1年ぶりの横浜アリーナでファンと再会できた喜びを伝えた水瀬。「神奈川公演、スタート!」の声に合わせた軽快なドラムの音で始まったのは、マーチング風の祝祭感に満ちたナンバー「Wonder Caravan!」だ。旅をするキャラバンを描いた歌詞が、全国5都市をめぐるツアーに重なる。続いて、巨大モニターの映像がモノクロに切り替わり、ノスタルジックな雰囲気が漂う新曲「風色Letter」が流れだす。ステージ上には便箋の置かれたデスクセットとポストが現れ、デスクのそばに腰を掛けると、手紙に思いを綴るように一言一言を大切に歌い上げる彼女。曲の終わりには、手紙がポストにそっと投函された。

続いて、ライブではすっかりお馴染みとなったいのりバンドの紹介タイム。色とりどりに切り替わるステージの照明に合わせ、客席のペンライトの色も変化する。昨年のツアーで決定したバンドメンバーのイメージカラーだ。バンドアレンジされた「Kitty Cat Adventure」の手拍子に合わせて再び現れた水瀬は、白のオフショルダーと赤と白のボーダースカートという夏らしい衣装にチェンジ。浮遊感のあるダンスチューン「We Are The Music」のサビで大きく手を振る水瀬に合わせて、会場のペンライトも一緒にきらめく。そこから一変、暗転したステージに響くジャジーなピアノ。ステージ上に現れたナイトランプの点灯とともに、横浜アリーナに夜が訪れた。甘い恋心をシティポップ調のメロディに載せて歌った「Melty night」だ。フレーズによってころころと表情を変えたり、小さく指でハートを作ったりする姿がかわいらしい。

改めてバンドメンバーを紹介し、ファンとコミュニケーションを図ろうとする水瀬いのり。どこから遊びに来てくれたのかという質問を投げかけ、次々と地方の名前を挙げる。そして「夏ゾーンに入りたいと思いますよ!」と予告し、ライブでの披露は久しぶりとなる「夏の約束」に。ひと夏の恋を描いた爽やかな歌詞に合わせ、打ち寄せる波のように手を伸ばす振り付けが印象的だ。ステージ上を舞うシャボン玉と戯れながら、小指を出しかわいらしくゆびきりのポーズを決める。続く「八月のスーベニア」は、同じ夏の楽曲でも、もの悲しい晩夏を思い起こさせる恋愛ソング。低音域を聴かせる情緒的なメロディを切なくも爽やかに歌い上げる。アッパーチューンからメロウなポップスまで、楽曲によってステージの世界観を一変させる水瀬いのりの表現力に魅せられるブロックになった。

スクリーンに映し出された幕間映像は、文化放送にて放送中のレギュラーラジオ「水瀬いのり MELODY FLAG」の出張版。コーナーは、昨年12月のファンクラブイベントでも実施し、大好評を博した「お悩み相談室」だ。手元に届いた素朴な悩みを読みながら、どこか察した様な笑顔を浮かべつつクールに丁寧に答えていく彼女。相談の送り主は声優仲間であり大親友でもある大西沙織と佐倉綾音。まさかの登場に、会場には笑い声の代わりに拍手が何度も鳴り響いた。

そしてライブは後半戦に突入。和やかなムードをガラリと一転させたアッパーチューン「REAL-EYES」からの3曲は、思いっきりアガりまくるゾーンに。再びステージに現れた水瀬が纏うのは、ブラックのジャケットとチュールを合わせた甘辛ミックスの衣装。サビではメインステージからトロッコに乗ってセンターステージへ進んでいく。続く曲は「HELLO HORIZON」。2曲続けてTVアニメ『現実主義勇者の王国再建記』オープニング主題歌だ。センターステージから客席を360度見渡し、サビで力強く拳を突き上げる彼女に合わせ、観客のグリーンのペンライトが激しく掲げられた。そして「Starry Wish」ではセンターステージのリフターが高く上昇!3階席と目線を合わせて、激しさを感じさせながらも透明感のある、凛とした歌声で楽曲の世界観を表現。彼女の下に広がる客席のペンライトが青く輝く様子はまるで銀河のようだった。

観客からの「まわって~」の声に代わるペンライトの合図に応え、「この衣装は各地でもすごく好評です」と笑いも交えつつこだわりを込めて製作した衣装への思いを語る。「名残惜しいですが(メインステージに)帰りますね!」と再びトロッコに乗り、客席ひとりひとりと目を合わせ「ありがとう!」と手を振りながらステージにゆっくりと戻る。

戻った先にはスタンドマイクが用意され、始まるのは「僕らは今」。「声は出せませんが、盛り上がっていきましょう!」と告げるとバンドメンバーが立ち位置を変え、ステージ中央に立つ彼女と横並びになる。2020年のコロナ渦中に制作された本楽曲は、ライブでみんなと一緒に作り上げたいというメッセージが込められている。声は出せなくても全力で応えてくれる客席のペンライトの海に、感極まり瞳を潤ませながらも熱唱。続く「星屑のコントレイル」では明滅するライトとレーザーの演出が、楽曲の鮮烈さを一層強調した。ギター2人によるソロの掛け合いなど、熱量の高いパフォーマンスに圧倒される。

そして、訪れた一瞬の静寂の後、降り出す雨の音と青い光に包まれる。聴こえてきたのは「パレオトピア」だ。どこか神秘的な雰囲気の中、雲間に射すような光と共に階段上に現れた水瀬。きらめく刺繍やストーンをあしらった真っ白なロングドレスの裾をひらめかせながら、階段を降りる姿は神秘性すら感じさせる。祈りのように歌い上げられる「パレオトピア」に、会場は深い余韻に包まれた。続く「心つかまえて」は、日常を綴った温かみのあるミディアムナンバー。ステージに満ちるあたたかな電球の輝きと、伸びやかに響く豊かな歌声が印象的だ。「ココロソマリ」でも彼女の美しいロングトーンを堪能できる。水瀬いのり本人が、家族の愛をテーマに作詞をした本楽曲。溢れ出す想いを込めるように歌う彼女の声に、観客はじっくりと耳を傾けていた。

「みんなが私と一緒に歩いてきて良かったなと思えるような今日になったらすごく嬉しいな、という気持ちで歌わせていただきました」と涙を滲ませながら告げると、本編最後の楽曲、7月20日にリリースしたアルバムの表題曲「glow」へ。今回のツアータイトルにも冠されているこの曲を、水瀬は「私が皆さんに伝えたいメッセージや、私自身にも伝えたい言葉がたくさん詰まっている曲」と表現した。ファンタジックなサウンドに合わせて揺れる、アリーナ一面のペンライトの光に幸せを噛み締めるような表情で手を振る彼女。会場の一人一人が掲げる光に包まれながら、万感の思いを込めて歌い上げ、ステージを後にした。

興奮冷めやらぬ客席からの熱いアンコールの手拍子に応え、ツアーTシャツに着替えた水瀬が、なんとトロッコに乗りながら再登場!手を振りながらアリーナを周り、「今を僕らしく生きてくために」、「コイセヨオトメ」を歌唱。しっかりとファンの目を見て、振られるペンライトやハンドサインに応え、1階席、2階席、3階席と順に指をさしながら弾ける笑顔を見せた。

今回の「glow」ツアーTシャツと合わせて、2020年にコロナ渦により中止となってしまったライブ「We are Now」のグッズであるベルトを着けて登場した水瀬。「あの日のことを思い出して、ちゃんと未来が明るいよっていう気持ちでまたここに戻ってこられたのが本当に嬉しいです」と改めて無事に集まってくれたファンへの感謝を伝えた。そしてここでお知らせが!この横浜アリーナ公演の模様を後日配信されることが決定。さらに、自身のオフィシャルファンクラブ”いのりまち“のファンクラブイベント『いのりまち町民集会』が2023年2月19日に開催されることも明らかとなり、「次の楽しみが増えたということで、ぜひまたお会いできる日を楽しみにしています」とファンとの喜びを分かち合った。

アンコールラストの「Starlight Museum」は、彼女が今までの感謝と、これからへの想いを込めて作詞をした楽曲。青、水色、黄色。 客席の一人一人が掲げる色とりどりの光がきらめき、星空のように広がる。そのきらめきの中で金のテープが発射され、輝きと幸せに包まれてライブを終えたはず……なのだが、会場からは鳴り止まない拍手が。全員の手拍子が一つになったとき、再び水瀬がステージへ。「皆さんとの絆を、もっと強く結べたらいいな」と告げ、彼女が最後の最後に選んだのは「harmony ribbon」。この曲におけるハーモニーとは、ファンとの絆の象徴であり、その声による繋がりを胸に前進する気持ちが歌詞に描かれている。

「本日は本当にありがとうございました」とオフマイクで叫び、ステージは大団円を迎えた直後、突如思い出したように「みんなまだ帰らないで!」と掲げたのは今回のツアーグッズのひとつ、「光るくらりマスコット」。「glow」のタイトルにちなんで明かりが灯る仕掛けが付けられた、くらげモチーフの水瀬いのりオリジナルキャラクターだ。青いペンライトの海の中、ゆらゆらと揺られるくらりたちを見て、「ありがとう!」と満面の笑みで感謝を告げる姿につられ、最後は客席にも笑顔があふれる中フィナーレを迎えた。

“日常を過ごしているなかで見つけたものを閉じ込めたような、親近感のあるアルバムにしたい”という思いを込めて作ったというアルバム「glow」。その楽曲たちが披露された今ライブは、名前の通り暖かい輝きに満ちたライブとなった。

photo by 加藤アラタ(Kato Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)

【セットリスト】
01 sunrise glow(overture)
02 僕らだけの鼓動
03 Step Up!
04 Catch the Rainbow!
05 Wonder Caravan!
06 風色Letter
07 We Are The Music
08 Melty night
09 夏の約束
10 八月のスーベニア
11 REAL-EYES
12 HELLO HORIZON
13 Starry Wish
14 僕らは今
15 星屑のコントレイル
16 パレオトピア
17 心つかまえて
18 ココロソマリ
19 glow
〈ENCORE〉
20 今を僕らしく生きてくために
21 コイセヨオトメ
22 Starlight Museum
〈DOUBLE ENCORE〉
23 harmony ribbon

■『Inori Minase LIVE TOUR 2022 glow』特設ページ
https://www.inoriminase.com/special/2022/glow/

【配信情報】

『Inori Minase LIVE TOUR 2022 glow』神奈川・横浜アリーナ公演オンライン配信決定!

【配信日程】
2022年10月23日(日) 18:00開演予定
【アーカイブ配信】
配信終了後〜10月30日(日)23:59
【チケット代金】
4,400円(税込)
【販売期間】
10月3日(月)10:00~10月30日(日)18:00
※チケット代金とは別途、配信メディアごとに異なる手数料がかかります。
【配信メディア】
■オフィシャルファンクラブ「いのりまち」会員
・PIA LIVE STREAM (チケット購入ページ:https://www.inorimachi.com
※ファンクラブページログイン後、「チケット」ページよりお申し込みください。
■一般の方/海外からのご視聴の方(中国以外)
・PIA LIVE STREAM (チケット購入ページ:https://w.pia.jp/t/inoriminase-hh-pls/
※チケットのご購入前に、配信メディアサイト記載の注意事項をよくお読みいただき、ライブ配信視聴に適したインターネット環境・推奨環境をお持ちかどうか必ずご確認ください。

『いのりまち町民集会 2023』

2月19日(日) 両国国技館
※昼・夜2回公演を予定。
※チケットは11月上旬申し込み受付開始予定です。
10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by  加藤アラタ(Kato  Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)
10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by  加藤アラタ(Kato  Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)
10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by  加藤アラタ(Kato  Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)
10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by  加藤アラタ(Kato  Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)
10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by  加藤アラタ(Kato  Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)
10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by  加藤アラタ(Kato  Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)
10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by  加藤アラタ(Kato  Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)
10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by  加藤アラタ(Kato  Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)
10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by  加藤アラタ(Kato  Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)
10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by  加藤アラタ(Kato  Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)
10月1日(土)横浜アリーナ公演 photo by  加藤アラタ(Kato  Arata)、三浦一喜(Miura Kazuki)

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着