手越祐也

手越祐也

【手越祐也 インタビュー】
みんなに自分自身の人生を
大事にしてほしいと思った

独立し、ソロアーティストとして新たな一歩を踏み出した手越祐也。2021年7月より6カ月連続でリリースしてきた楽曲は文字どおりカラフルで、その全ての曲を収録したアルバム『NEW FRONTIER』も完成! そんな今作についてはもちろん、彼のパーソナルな部分にも触れて話を訊いた。

今、音楽をやるということは、
すごくやり甲斐につながる

これまで配信リリースしている曲は本当にカラフルで、毎回驚かされています。これらの曲を歌うことによって、改めて歌うことの楽しさを感じているのではないでしょうか?

そうですね。“この人と言えばこういう曲”というイメージをつけるのもひとつの戦略だとは思うんですが、2002年から芸能界に入り、いろんな曲を歌わせていただいた中で、ヴォーカリストの自分を俯瞰して見た時、一曲一曲まったく違う声の出し方、表現の仕方ができるというのが武器だと思ったんです。だからこそ、ひとつのジャンルに固執するのではなく、手に取って聴いてくれる人たちを裏切らず、飽きさせないような曲を今後も歌っていくほうが絶対にいいと思ったんです。なので、選曲もとても楽しいんですよ。

となると、インプットも必要になってくると思うのですが、どのようなところにアンテナを伸ばしているのでしょうか?

僕自身、音楽が大好きで、いろんなアーティストの曲を聴くんですね。だからこそ、今の流行りも理解しているつもりですし、その中で自分がどんなふうに表現し、どんな歌詞の世界観で、その先にあるMVもイメージしながら歌うかを考えているんです。あと、この一年で音楽に対して“やっぱりすごい”と思ったこともたくさんあったんですね。例えば、日本では歌い手が歌っているようなボーカロイドの曲やK-POPとか。なので、今になって改めて本物がより評価される時代になってきたと思うんですよ。70年代、80年代の音楽ってアーティストやアイドルはみんな歌が上手でしたけど、それ以降は歌よりもビジュアルや見せ方が注目されていたように感じていたんです。でも、2020年くらいからは、またしっかり歌って、ちゃんと踊れる、そしていい曲を歌えるアーティスト、アイドルじゃないと評価されない時代になったなって。となると、今、音楽をやるということは、すごくやり甲斐につながると思ったんです。

確かに。周りのレベルもグッと上がっていますよね。

はい。すごく刺激を受けます。それに、この1年は音楽畑での、まさに1から作り上げているアーティストとの共演が多かったんです。小さなライヴハウスからアリーナまで上り詰めた方々と話をしていると、音楽の厳しさを知っていることが伝わってくるんです。特に最近は音楽番組のMCをしているので、そこにゲストできてくださるバンドやミュージシャンの方々と話していると、改めて音楽の素晴らしさや、その方たちの生き様を感じるんですね。全員の色が違いますし、それぞれに違う魅力があるので、本当に勉強になります。

そんな中、6カ月配信リリースが行なわれていますが、本当にジャンルレスで驚きました。

ありがとうございます。これまで、いい意味で期待を裏切るサプライズもしたかったし、僕自身のヴォーカリストの幅を聴いてもらいたかったという想いも強かったんです。だからこそ、毎月の流れはなんとなく決めていたんですよ。「シナモン」でスタートして、2曲目は『2021荒野CHAMPIONSHIP – 夢への道』のテーマソングにもなった「ARE U READY」を届けて、世間がイメージしているチャラい手越が思い浮かぶような明るくて楽しい「LUV ME, LUV ME」、さらにハロウィンにはその季節感のある「ウインク」を。そして、現時点で最新の第五弾には昔から僕のヴォーカルを知っている人は“手越=バラード”というイメージがあると思うので、寒くなってきたこの季節にぴったりな「ONE LIFE」を選曲したんです。

「ONE LIFE」はすごく美しいバラードですね。

この曲は武部聡志さんがアレンジを担当してくださったんです。武部さんはこれまでに何度も共演しているからこそ、手越祐也のヴォーカルをしっかりと知ってくれているんですよ。どんなキーで、どんなこの特徴があって、どこがいいというところを研究してくれているから、本当にやりやすいんですよね。“ONE LIFE”には“一人の人生”という意味があるんですが、“自分自身の人生”という意味にもなっているんです。僕はこれまで海外に行ったり、独立したりして、今までと違う景色を見た時、もっとみんなに自分自身の人生を大事にしてほしいと思ったんです。どうしても偉い人の顔色をうかがっていたり、他人のSNSの批判を気にしていたりと、他人のために人生を生きている人が多いと思ったんですよね。だから、もっと自分がやりたいことをやって、人から受ける評価を気にすることなく、信じた道を、信じた仲間と、毎日が楽しいと思えるように過ごせたらいいのになって。そういった想いを込めたので、この曲を聴いてくれた人が新たな挑戦をしてみようと思ってくれたら嬉しいですね。

レコーディングはどのように進めていったのでしょうか?

僕、レコーディングがめちゃくちゃ早いんですよ。

それはどんな曲でもですか?

はい。「ONE LIFE」はブースに入る前に武部さんと、どんな感じの声色で歌うかとか“ここはファルセットでいこう”など、ある程度のことを決めていたんです。小分けに歌ってレコーディングするアーティストが多いんですけど、僕の場合はほぼ一発録りに近いんですね。というのも、どんな曲も頭のイントロから最後のアウトロまで、一個の物語だと思っているんです。映画で例えるなら2時間の作品を40分だけ観たり、5分ずつ観るのは間違いだと思っていて。1番には物語があって、2番で展開していき、最後のサビで集大成になる…という流れを途切れさせたくないんですよ。それに、小分けにしてレコーディングをすると、どうしても感情が途切れてしまうので、このスタイルだけはこだわるようにしています。

だからこそ、ライヴで聴いているかのような感覚になるのかもしれないですね。また、これまでもジャケットやMVなどのアートワークに強いこだわりを感じるのですが、「ONE LIFE」はいかがでしたか?

先日、震災から10年が経った2021年の陸前高田での復興ライヴに参加させていただいたんです。これまでずっと意識はしていたのですが、なかなか被災地に行くチャンスがなくて、ずっと心残りだったんですよね。それもあって今回のお話をいただいた時、この曲のリリースも決まっていたのでMVも撮影しようと決めたんです。なので、現地のローカル電車や実際に津波に流されてしまったところ、さらにはこの10年で復興して新しく生まれ変わっている場所、そして湖や山など大自然を美しく反映した作品となりました。「ウインク」の時は渋谷でメイクをしっかりとした状態で撮影をしていたので、その対比となるようなナチュラルなMVになったと思います。
手越祐也
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手越祐也
手越祐也
配信シングル「ONE LIFE」
アルバム『NEW FRONTIER』【初回限定盤】
アルバム『NEW FRONTIER』【通常盤】

OKMusic編集部

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