「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
幅広いリスナーに愛される
サザンオールスターズのヒットを探る

CD、音楽配信、カラオケの3部門からヒットを読み解く『臼井孝のヒット曲探検隊』。この連載の概要については、第1回目の冒頭部分をご参照いただきたい。ただし、第5回の安室奈美恵からは2017年末までのデータを反映している。

コミックバンド扱いから
不動の国民的アーティストへ

サザンオールスターズについては、熱心なファンサイトやWikipediaなどで丹念にまとめられたものがあるので、ここでは簡潔にまとめてみたい。彼らは青山学院大学の学生で結成されたバンドで、1978年6月25日にシングル「勝手にシンドバッド」でデビュー。ちなみに、この6月25日は後にTAISHITA記念日と設定され、ほぼ毎年のように何らかのサザン関連アイテムのリリースやLIVEの実施、あるいは活動に関する重大な発表が行なわれている。

当初はその早口でまくし立てるような歌詞やランニングシャツに短パンという衣装でコミックバンド扱いされがちだったが、翌年の3rdシングル「いとしのエリー」のロングヒット以降、アルバム・アーティストとして定着し、以降、国民的アーティストへの道を歩むことになる。

アルバムは着実に売り上げを重ねていたものの、シングルとしては「チャコの海岸物語」が久しぶりのヒットとなった1982年に、メンバーの桑田佳祐と原由子が結婚、そして1985年に原が産休に入ったのをきっかけに、翌年以降、各メンバーのソロ活動も盛んになる。

デビューまる10年となる1988年6月25日に、シングル「みんなのうた」にて再始動し、以降1989年の通算26作目となるシングル「さよならベイビー」で意外にも初のオリコン1位を獲得(ちなみに、レコード以外の要素を加味した『ザ・ベストテン』では「いとしのエリー」「チャコの海岸物語」「Bye Bye My Love (U are the one)」「Melody」が1位を獲得。世間のイメージはこちらに近いかもしれない)。

ドラマ中心にヒットを量産した90年代、
「TSUNAMI」で再ブレークした
00年代を経て08年に活動休止

90年代に入ると「涙のキッス」「エロティカ・セブン」「あなただけを ~Summer Heartbreak~」「愛の言霊 ~Spiritual Message」とドラマ主題歌への起用でミリオンヒットを量産するなど、CDバブル時代の波にも上手く乗っていた。しかし、1997年頃からやや難解な作品が増え、TOP10ヒットはキープするも、徐々にヒットに翳りが見えてきた。

それを払拭したのが、やはり2000年の「TSUNAMI」だろう。しばらくの間、あえて避けてきたようなサザンの王道中の王道バラードだが、蓋を開けてみればオリコン調べのみで累計294万枚以上というヒットで、これは日本史上でも3番目という売上げに。以降は、再び年間TOP10クラスのヒットを出すようになった。ただ、2001年以降は、桑田のソロ活動が活発になり、また桑田作品とサザン作品の区分も難しくなってきたこともあって、2008年に無期限での活動休止を宣言。以降は、また各メンバーがソロ活動に入っていた(但し、2011年の東日本大震災に向けたチーム・アミューズとしてのチャリティー・シングル「Let’s try again」にメンバー全員で参加)。

2013年の活動再開後も
順調にヒットを重ね、
メンバー全員60代に突入

その後、デビュー35周年となる2013年6月25日に活動再開を発表し、2015年には約10年ぶりとなるオリジナルアルバム『葡萄』を発表、50万枚以上を売り上げ、オリコン年間CDアルバムの7位にランクインし、その健在ぶりが見て取れた。ちなみに、サザンオールスターズとしては何度かの活動休止期間もあるのだが、その期間中も桑田佳祐はソロあるいはKUWATA BANDなど別名義の活動もあり、桑田佳祐自身はデビューから還暦を過ぎた現在に至るまで、ほぼ毎年のように何らかの新作をリリースしている。これもサザンや桑田に若いファンが生まれ続ける大きな要因と言えるだろう。

「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」
MV

そして、この2018年にはサザン名義では約3年ぶりとなる新作を発表。まず、6月にはサザンとしては初となる配信シングル「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」をリリース。本作は長瀬智也主演の映画『空飛ぶタイヤ』の主題歌に起用され、その社会派の内容に合わせてか、哀愁漂うメロディーのエールソング。今回は集計対象外だが、既に10万ダウンロードを突破している。

「壮年JUMP」の“アイドル”とは、
SMAP、アムロちゃん?
それともヒデキ?

続く7月にも配信シングル「壮年JUMP」をリリース。こちらは三ツ矢サイダーの2018年CMソングに合わせた爽やかなポップチューンで、それでいて自分が大好きだったアイドルへの感謝を込めて「夢ありがとう グッバイ」と歌う部分が、ちょっと切なくも聴こえる。

そのためか、SNS上では“この歌はSMAPの歌では?”、“アムロちゃん(安室奈美恵)への感謝ソングでは?”、はたまた過去のサザンのLIVEでサプライズ登場したという縁もあって“ヒデキ(西城秀樹)を想い出して泣けてくる!”といった年輩の方の意見も飛び出している。

「壮年JUMP」MV

こうした幅広いリスナーに愛される国民的アーティストの根幹となっているのは、やはりサザンの大半の楽曲を手がける桑田佳祐の類まれなソングライティング力だろう。それは社会風刺の効いたものから放送コードギリギリどころか自粛してしまうほどのエロい歌詞まで、また曲調もロック、ジャズ、歌謡曲、沖縄民謡など自由奔放でありつつ、それを一流のヒットソングに仕立てるという唯一無二の存在だ。8月にはデビュー40周年を記念し、約20年間をまとめたプレミアム・アルバム(どうやらベスト盤とは呼ばないそう(笑))『海のOh,Yeah!!』が発売、出荷では累計400万枚をも超えている98年発売の『海のYeah!!』にどこまで迫るかにも期待がかかる。

そんなサザンの総合ヒットはどんな曲が並ぶだろうか。リスナーの中には、サザン作品と桑田ソロ作品を特に意識せず聴いている人もいるだろうが(その証拠に「好きな“サザン”の楽曲は?」のようなTV番組のアンケートで、必ずと言って良いほど「波乗りジョニー」や「明日晴れるかな」など桑田ソロ名義の楽曲が入ってくる)、サザンだけでも大量のヒット曲があるので、ここではグループとしての魅力にスポットを当てて考察してみたい。

OKMusic編集部

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