「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
平成の歌姫、浜崎あゆみの
ヒットを探る
キッズモデルや女優などの活動を経て
アーティストに転身
デビューから2ヶ月ごとにシングルをリリースし、その張り詰めたように繊細な高音ボーカルが女子高生たちの共感を呼び10万枚前後のヒットを重ね徐々に人気が浸透。デビュー曲から5枚のシングルを収録した1stアルバム『A Song for X X』が140万枚を超えるメガヒットとなり、一気に注目されるようになる。一般に、女性ファンは同性アーティストのシングルをアルバムまで買い控える傾向があるが、彼女の場合、アルバムでのセールス急増がより顕著だった。特に、化粧品や菓子などターゲットが明確なタイアップも多く、アルバム発売時にはさほど音楽に関心のない女性リスナーをも取り込んだのだろう。
「poker face」MV
デビュー当時は孤独をテーマとした楽曲が多かったが、やがて孤独な聞き手を鼓舞するようなパワフルな楽曲が増えていく。それでも年末にはラブバラードを歌うという路線を外すことなく、2001年から史上初となる3年連続の日本レコード大賞を受賞(ちなみにエイベックス所属アーティストの受賞は1995年のTRFから2015年の三代目J Soul Brothersまで21回中14回と、なんと3分の2を占める高確率! これは実際の市場規模の同社シェアを遥かに上回る)。
「LOVE~Destiny~」MV
セールス記録よりも
自由な音楽活動を
続くシングル「Terminal」は初登場24位となり、バッシング記事も見られたが、実際は既に発売されていたアルバムからのリカットで、収録曲も「Teminal」とそのリミックス2曲のみ、販売形態もDVDのない1種のみで(オリコン1位記録を更新している時期、収録DVDやジャケット違いの4種で発売したり、週末に急遽4枚同時購入特典を付けたり、まさに記録作りを死守していたのとは対照的)、むしろより自由な音楽活動に向かうために、浜崎サイドからセールス記録をあえて断ち切ったようにも思えた。
「Feel the love」MV
ただ、本人の存在感が絶対的であるがゆえに、逆に個々のヒット曲についてはさほど語られてこなかった気がする。デビューから今年で20年となる今だからこそ、どのようなヒット曲を残してきたのかを総合的に見てみたい。