【RIZE インタビュー】
気付いたら武道館を目指すバンドに
なっていた
L→R KenKen(Ba)、JESSE(Vo&Gu)、⾦⼦ノブアキ(Dr)
昨年、結成20年目に初の日本武道館公演を成功に収めたRIZEが、その歴史を凝縮したベストMIXアルバム『ALL TIME BEST』を発表! MIGHTY CROWNのMASTA SIMONがミックスを担当しており、この中身がとにかくすごい。同時発売の武道館公演を収めたライヴ映像作品も必見だ。これまでの20年を振り返りつつJESSE(Vo&Gu)が語ってくれる。
ただのイキがってる20歳前半じゃ
アメリカには勝てなかった
まずはRIZEの20年間を振り返って思うことは?
最初の頃はナメてたかもしれない。親父(Char)がミュージシャンだったし、そこまで肝を据えずに始めたから。アメスク(アメリカンスクール)に通ってて、周りの友達はみんなエリート大学に行ったんだよね。でも、俺は行かなくて、あっくん(金子ノブアキの愛称)とバンドやろうか?って。だけど、その時は極めようとも思ってなかったし、バンドはストレス発散の場でしたね。街で“外人だ!”って差別されることもあったし。当時は吉祥寺プラネットK、下北沢251でよくライヴをやってたんだけど、そこでライヴをやれば“すっきりした!”みたいな感じで。
あぁ、そういう状況だったんですね。
でも、20年やると職人じゃないけど、極めたいと思うようになって。この間もあっくんと今後のRIZEについて5、6時間話したんだよ。ぶっちゃけ、日本武道館公演までしか見えてなかったから。で、いざ武道館に立ち向かったら、一曲一曲をクリアーするような感覚で余裕なんてなくて、一曲一曲が敵だとしたら、それを倒すような感覚だった。ほんとに緊張した。
ライヴを観てて、それはまったく分からなかったですよ。
ふとしたら緊張がなくなるんだけど、“やべ、緊張しなくなってる!”と思ったら、また緊張しちゃって(笑)。武道館は魔物が住んでるってみんなが言うけど、ほんとにそんな感じだった。俺ら東京っ子からすると、武道館でやる意味はでかいし、気付いたら武道館を目指すバンドになってたことにもびっくりで。2003年頃にアメリカに行かなかったら、武道館を2回ぐらいはやってたかもしれないと思う。
でも、2003年にロサンゼルスにバンドの拠点を移して、50本以上のツアーをやった経験は大きかったのでは?
みんなは日本でまだやり残したことがあると言ってたけど、メンバーの中でも一番年上だった力を活かして(笑)、やり残したことはアメリカでもできるんじゃねえのって。評価されたくないからロックバンドをやっていたし…だけど、アメリカに行っても一緒なんだよね。評価されてお金が入って、リスペクトされるわけで。で、アメリカに行って全部ぶっ潰れて、日本に帰って来て『Spit&Yell』(2005年7月発売の4thアルバム)を作ったあと、職人的な気持ちが生まれたかなと。“俺はまだこんなもんじゃねぇよ!”って。それでひとりひとりが名を上げる修行に入って、あっくんもソロ作を出したり、俺もソロ作を出してみたりして。その二足の草鞋を履いた二刀流が俺らしいのかなと思えたから。
今考えると早めにアメリカに行って良かった?
良かったと思う。失敗が一番の師匠だと思っているんで。
2000年初頭に海外に行く日本のバンドはほとんどいなくて…それこそTHE MAD CAPSULE MARKETSが、『Ozzfest』に出演して大きな話題になったぐらいで。
ですよね。俺らはKottonmouth Kings、PHUNK JUNKEEZ、Bone Thugs-N-Harmonyともやったし。ほんといろんな経験しましたね。バスの中に放浪してる彫り師がいきなり入ってきたり。俺の胸に入ってるタトゥーはそいつですからね。“俺は有名な奴らに入れてるんだ、お前は有名になる!”って。それは嬉しいけど、お前は誰なんだよ!って(笑)。
(笑)。アメリカで得たものと失ったものを挙げると?
得たものはマーチャンダイズに本気で取り組むようになったこと。Kottonmouth Kingsは放送禁止用語だらけの曲だからラジオでもかからないから、常にツアーを回って、そこで物販するんですよ。すげえお客さんもたかってて、メンバーも物販のところにいてファンにサインしたりして。その物販の売り方がクールだったんだよね。で、ツアー中に曲を作って、作品ができたらまたツアーに出るっていう繰り返し。それを見てたから俺はE.D.O.という会社を作って、RIZE、The BONEZの物販を担当しているんだよね。その物販のおかげで自分のスタジオも作れたし。打ちのめされたことは…ただのイキがってる20歳前半じゃ、アメリカには勝てなかったということ。
そして、RIZEは活動休止するわけですよね。
ほんとは解散に近くて、やってらんねぇよ!ってなってTIME OUT(活動休止)にしようと。メンバーにも相当なストレスを抱えさせて、事実上は解散にしてたけど、いつか再会できるようにTIME OUTにしたんだ。アメリカに行ってレーベルとの契約も破って作品も作らずに帰って来たから、借金もあったんだよね。で、事務所ももう畳もうとしてた時に最後の望みとしてDef Techを送り出そうと思ったんだ。アメリカに飛ぶ前からDef Techをプロデュースしていたし、いろんなレコード会社に話を持ちかけたけど、全部断られてたから、じゃあ、自分たちでやろうと。そしたら250万枚も売れて借金も返せたという。
それはすごいことですよね。
ウォー!ってなりましたもん(笑)。TENSAIBAKA RECORDS第一弾はDef Techですからね。アメリカでプライドをぶち壊されて、俺もそこで変われたから。
それを経てRIZEも立ち直さなきゃいけないと?
そうだね。そこで夢を見れたから。地元の無名だった俺の同級生があんなにでかくなったから。奇跡を見た瞬間に人間は蘇るんだよね。その意味でDef Techには感謝してますね。
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