「風俗で働くと心を病む」は嘘? 根
強い誤解と偏見をカリスマ風俗嬢が徹
底分析
風俗業界でも、業界以外でも話題の新書
2月3日に発売され、業界の内外を問わず、大きな話題を呼んでいる新書がある。『風俗で働いたら人生変わったwww』が、そのタイトルだ。著者は水嶋かおりん。現役の風俗嬢にして風俗嬢講師、さらには性の健康や性労働者の権利向上に関する社会活動も精力的に行う、人呼んで“風俗業界のアルティマ・ウェポン”である。
さて本書だが、タイトルこそポップであるものの、ひとたび紐解けば極めてマジメな風俗論が展開されていることが分かる。風俗嬢という職業の魅力や面白さ、あるいは風俗嬢を巡る誤解や偏見、さらには風俗嬢を「弱い」存在たらしめている制度上の問題などを矢継ぎ早に指摘していく著者の筆致は、時に一現場人として熱っぽく、時にジャーナリストのように冷静だ。いずれにせよ、その分析眼は冴えている。
たとえば「風俗で働くと心を病む」という世間に定着しているイメージについても、風俗嬢になると心を病むのではなく、実際は「メンヘラが多くこの世界に入ってくる」のだと語り、その理由は「風俗嬢という職業が、メンヘラにとって非常に都合が良いからだ」と、鮮やかに切って捨てる。
もちろん、だからと言って風俗嬢とは誰にでも務まる仕事ではないし、そうした点についても著者は本書内で繰り返し主張している。たとえば、本書は「風俗は女の最後の砦」であるというイメージに対して「現実離れした妄言に過ぎない」と真っ向から否定。その上で、現在の日本の状況を「少数の男性器を、多数の女性器で奪い合っているというのが、偽らざるこの国の現実だ」と分析する。
その他、本書では風俗嬢の納税や転職事情といった、これまで余り語られてこなかった部分についても言及が行われ、さらには「女性性を売りにすべきではない」といったフェミニズム的言説についてもかなり挑発的な態度が取られている。詳しくは実際にお読み頂く他ないが、全編を通して、痛快極まりない内容だ。
ていうか、これだけ重厚な内容の本を現役の風俗嬢が書いたということが、そもそもセンセーショナルだろう。あるいは、その事実によって、著者は「風俗嬢は女の最後の砦だ」、「女性性を売りにすることは頭の悪い仕事だ」というイメージが「ただの偏見」に過ぎないということを実践的に示したのだと言えよう。
(文・佐々武史)
おすすめ書籍:「風俗で働いたら人生変わったwww」(コア新書)水嶋かおりん著
さて本書だが、タイトルこそポップであるものの、ひとたび紐解けば極めてマジメな風俗論が展開されていることが分かる。風俗嬢という職業の魅力や面白さ、あるいは風俗嬢を巡る誤解や偏見、さらには風俗嬢を「弱い」存在たらしめている制度上の問題などを矢継ぎ早に指摘していく著者の筆致は、時に一現場人として熱っぽく、時にジャーナリストのように冷静だ。いずれにせよ、その分析眼は冴えている。
たとえば「風俗で働くと心を病む」という世間に定着しているイメージについても、風俗嬢になると心を病むのではなく、実際は「メンヘラが多くこの世界に入ってくる」のだと語り、その理由は「風俗嬢という職業が、メンヘラにとって非常に都合が良いからだ」と、鮮やかに切って捨てる。
もちろん、だからと言って風俗嬢とは誰にでも務まる仕事ではないし、そうした点についても著者は本書内で繰り返し主張している。たとえば、本書は「風俗は女の最後の砦」であるというイメージに対して「現実離れした妄言に過ぎない」と真っ向から否定。その上で、現在の日本の状況を「少数の男性器を、多数の女性器で奪い合っているというのが、偽らざるこの国の現実だ」と分析する。
その他、本書では風俗嬢の納税や転職事情といった、これまで余り語られてこなかった部分についても言及が行われ、さらには「女性性を売りにすべきではない」といったフェミニズム的言説についてもかなり挑発的な態度が取られている。詳しくは実際にお読み頂く他ないが、全編を通して、痛快極まりない内容だ。
ていうか、これだけ重厚な内容の本を現役の風俗嬢が書いたということが、そもそもセンセーショナルだろう。あるいは、その事実によって、著者は「風俗嬢は女の最後の砦だ」、「女性性を売りにすることは頭の悪い仕事だ」というイメージが「ただの偏見」に過ぎないということを実践的に示したのだと言えよう。
(文・佐々武史)
おすすめ書籍:「風俗で働いたら人生変わったwww」(コア新書)水嶋かおりん著
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