飲食店を襲う、クチコミどう喝業者の
恐怖

店の評価を下げる専門レビュアーが紛れ
込む

 少し前にネットの食通レビューサイトで問題になったのが「おたくの店の評価を上げますよ」と風評操作を営業してくる(運営会社とは無関係な)外部企業。お店からオカネをもらい、良い評価のクチコミをやらせでたくさん書いてしまうというものだが、ニュースで報道されるほどひどくなったことからグルメサイト側も、評価アルゴリズムの変更対策を講じる。その結果、それらは概ね地下に潜っていってしまった。

 だがいまでは、そのせいで「悪徳ヤラセクチコミ業者」(以下悪徳業者)も手法の巧妙化が進んでいるという。 被害を受けた飲食店へ聞いてみた。
「あのサイトは不正防止で『グルメレビュアー』を高評価するようになったでしょう。あれのせいで、本格的食通を気取るレビュアーの一部に、悪徳業者と契約していると思わしきものがいるのです」(某飲食店関係者)
 以前のニセレビュアーは「評価している店数が少ない」「短文が多い」「(評価店が少ないことから)点数がグレー」でそれが集中して同じ店舗についていることから、素人が普通に読むだけでも見破ることが出来たが、いまのニセレビュアーは最低数十店から数百店を評価していて、そして長文。写真も豊富。そして『イイね(賛同票)』もたくさんついている。

「レビュアー評価を上げるために普通のレビューもたくさん書かれているのですが、お店が電話営業してきた悪徳業者との契約を断ると、業者の経費で飲みに来て『虫が入った』『ボッタクリ』『高い』『汚い』『信じられない対応』『もう行きません』(一例)と嫌がらせレビューを書き込みます。『虫』も『ぼったくり』もクチコミのガイドライン違反なので運営側が認識すれば消えますが、それ以外の部分は適当に褒めていれば、多少こきおとしても消されないですからね。あと、レビューにつく『イイね』も意味があるんです。たくさんあることで、俺のレビューは影響力が強いんだ、と間接的な脅しに使えるわけです」(前出の関係者)

 まるで、昭和の高度成長期、一部にあった、ヤクザのみかじめを断って店を焼かれたというヒドイ話を彷彿とさせる。

悪徳業者も関与は一切匂わせない

「これが怖いのは、直接は一切脅してこないですから、ターゲットにされた店舗は大変ですよ。万が一記事が消えたとしても続々と名前を変えて来る。さらに、外部ブログ投稿もあるのでイタチごっこ。結局無視するしかないのですが、悪徳業者は自分の関与は一切認めず、時間を置いて再営業してくると思われます。気が弱かったら、契約してしまうかもしれません」(前出の関係者)

 ネットの悪徳業者がなぜここまでのことをするのか。店舗から相談を受けたことのあるネット企業によれば、
「クチコミで評価を上げる業者は下げるビジネス(風評被害対策)もやっている所が多い。風評被害対策といえば聞こえはいいですが、要は不正な情報操作。依頼元の企業には問題がある所も多く、ブラック企業の要求に応えているうち、一部に非合法まがいなことをいとわなくなる業者もあるんです」(ネット企業オーナー)

 このような匿名を盾にとったトラブルがあることからか、最近では他社の「実名グルメクチコミアプリ」が急成長しているというが、ネットにおけるグルメレビューにはまだまだ様々な課題があるといえそうだ。

(文/楠尾袋)写真:Yanik Chauvin / 123RF 写真素材

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