林原めぐみ

林原めぐみ

【林原めぐみ インタビュー】
『エヴァンゲリオン』というのは
誰かが誰かを想うドラマでもあった

待望のシングル「終結の槍/終結のはじまり」は大ヒットした映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の映像を初めてパチンコに搭載した『ぱちんこ シン・エヴァンゲリオン』 のテーマソング。積み重ねてきた“集結”シリーズを“終結”へと導く2曲には、終わりから新たな世界が始まるという、実に『エヴァンゲリオン』らしい不思議なループが仕込まれている。激変するシーンの先端に立ち続けてきた彼女だからこそ見える景色、語る言葉の重みが光る最新インタビューをお届けする。

美しく完結した物語に紡ぐ言葉もなく、
“何をしよう?”って途方に暮れた

1年振りのシングル「終結の槍/終結のはじまり」は、前作と同じく『エヴァンゲリオン』シリーズの遊技機楽曲となりますけれど、オファーを受けた時の率直なご感想をうかがえますか?

前作「集結の果てに」(2022年12月発表のシングル)は『Pゴジラ対エヴァンゲリオン〜G細胞覚醒〜』のテーマ曲で、そのジャケット撮影をしていた頃に今作のお話をいただいたのですが、まずは“あぁ、『エヴァンゲリオン』に戻ってくるんだな”という気持ちがひとつ。ゴジラやキングギドラとコラボするということで、“『エヴァンゲリオン』はどこまで行っちゃうんだ?”と思っていましたから。ただ、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』であそこまで美しく完結した物語に対して、当時は紡ぐ言葉があるわけもなく、依頼を受けはしたけれど“どうしよう?”って途方に暮れていました(笑)。

では、何を取っかかりに制作を?

ジャケット写真を宇部で撮ろうというのだけは、実は最初から決めていたんですよ。私の今までのジャケットって、作り込んだ世界とナチュラルな自然体が、わりと交互に来ているんですね。行くところまで行ったら次は等身大という感じで、まさに「集結の果てに」は“行くところまで行く”の極地みたいな撮影だったんです。首にキングギドラ、下にエヴァ、肩にゴジラみたいな衣装だったので、その撮影中に“次は宇部に行こう”というのだけは言っていました。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のラストシーンには、宇部新川駅がイメージモデルとして登場しますもんね。

そうなんです。あのラストシーンの世界に行ってみようと。で、いざ宇部で撮影できることになって映画を観直してみたら、成長したシンジくんとマリちゃんはもちろん、公式には言ってないけれど、レイっぽい人とカヲルくんぽい人、アスカっぽい人もホームにいるじゃないですか。それを観て、通称・黒レイちゃんも連れて行ってあげたいと思ったんですよね。彼女の想いは劇中で潰えたわけですけど、綾波レイというひとつの魂から分離したものと考えるのであれば、ぜひ彼女の魂も連れて行ってあげたいし、それをやれるのは私だなって。そこで、黒い服に赤い三角が入っていて首だけ赤っていう、本当に雑に描いたデザインラフを丸投げして、シンプルだけど、プラグスーツをほんの少しだけ連想できるような衣装を作ってもらったんです。この駅には明らかに溶け込んでいない服装ですけど、そんな違和感も黒レイちゃんだなぁって。まぁ、田植えでプラグスーツの人なので…。

一から衣装を作ったんですね。ちなみに、向かい側のホームにうっすらと写っている白い人影は?

私ですね! 黒レイちゃんと白レイちゃんみたいなイメージで、両方私で撮って合成しました。こう、ジャケットを開くと…(黒い服と白い服を着たふたりの林原めぐみが並んで写っている写真が現れる)。

えっ!? まったく気づきませんでした! シンプルなジャケットの裏に、こんな仕掛けがあったとは!!

ありがとうございます(笑)。人によっては“わざわざ宇部まで行く必要ある? 白バックで撮って合成しても美しく仕上げられるのに”という意見も今となってはあると思うんですよ。ただ、実際に宇部に行って分かること、感じる空気、CGでは届けられない何かって絶対にあるんですよね。今はインプットもネット上で手軽にできちゃう時代ですけど、やっぱり空間をがらりと変えて、目に映るものが日頃と違う場所に自分を置いてみないとできないインプットはありますから。

同感です。これまでの遊技機曲ではタイトルに“集結”のワードを使っていたのに、今回は2曲とも“終結”という同音異義語に替えたのは、劇場版で物語が完結したという想いからですよね。

そうですね。そもそも最初は1曲の予定だったのが、作曲のたかはしごうさんが“どっちがお好みですか?”とメーカーさんに2曲プレゼンしたところ、両方お気に召したようで(笑)。“じゃあ、両方使いましょう!”という嬉しい誤算で2曲になったんです。そうなった時に、“歌詞はどう書き分けようか?”“2曲を連動させようか?”“視点が違うだけで言っていることは同じにしようか?”とか、いろいろ考えてみたんですけど、もともと“槍”というワードを使ってほしいというオーダーがメーカーさんからあったから、まずはご依頼を果たそうと「終結の槍」を書き。そして、今まで“集結”シリーズとしていろんなものを集めてきたので、やっぱり今回も集まってもらおうと「終結のはじまり」を書いたんです。
林原めぐみ
シングル「終結の槍/終結のはじまり」

OKMusic編集部

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