中尾ミエ、人生を楽しく生きる秘訣と
は? 77歳のバースデーライブを開催
~「常に志を持って、楽しく生きてい
きたい」

「可愛いベイビー」でデビューし、歌手・女優として60年以上にわたり活躍を続ける中尾ミエ。2023年6月にコットンクラブで77歳のバースデーライブを開催した彼女が、2024年2月9日(金)から12日(月・祝)、東京・有楽町のI’ M A SHOWでさらにパワーアップしたライブを届ける。今回は自身の芸能生活を辿る楽曲に加え、尾藤イサオ、正司花江、モト冬樹、光枝明彦をゲストに迎え、2015年から2019年まで中尾が主演・プロデュースを務めた『ザ・デイサービス・ショウ』の楽曲も披露する。改めてライブへの意気込みや、仕事に対する向き合い方について聞いた。
――どういったステージになるのか、構想をお伺いしたいです。
2023年の6月6日に行ったバースデーライブをベースに、ゲストをお招きしたいという思いがありました。(2019年まで続けていた)『ザ・デイサービス・ショウ』がコロナ禍で中断してしまったところもあって、でも、皆さんまだお元気なのでもう一回できるなと思って。確証はなかったけれど、連絡したらOKをいただくことができました。私自身もすごく楽しみです。
――今回の魅力、見どころはどこになりそうですか?
バースデーライブと『ザ・デイサービス・ショウ』のロックバンドのドッキングです。ゲストの方々はモト冬樹さん以外私より先輩。皆さん私を元気だと言うけど、もっと元気な先輩がいるのを知ってほしかったんです。6月のライブは1日だけでしたが、私の周りのご高齢の方から「久しぶりに出かけてショーを観る楽しさを味わえた」という声をいただきました。「機会があったらやっぱり外に出たいんだ。それなら私が頑張ろう」と思ったんです。着ていく服を考えたり、終わったら友達とどこに行こうかとワクワクしながらスケジュールを立てていたりするのを見たら、こういう場を作りたいと思いました。本当に、高齢の方に来ていただきたいですね。若い人に負けないパワーがありますし、みんな現役で頑張っているのを見せつけてやりたいです!
――公演タイトルの『No Time At All〜人生もっともっと楽しまなくちゃ〜』にかけた思いを聞きたいです。
『ピピン』で歌ったんですが、歌詞がすごく等身大でした。70歳になって新曲なんて普通はありえないけど、歳をとったからこそ歌える歌に巡り合ったわけです。自分の気持ちを代弁するような曲を歌い続けたいと思って選びました。
――『ピピン』についての思い出も少しお伺いしたいです。
関西公演もあって2ヶ月近い公演だし、アクロバットは初めて。自分でも持つかどうかわからなかったんですが、やってみたら「あ、できた」となって。若い人もみんな初めての経験で、誰一人として楽な役はなかったから誰も弱音を吐けないんですよね。自分だけが大変じゃないとみんなわかってるし、大袈裟じゃなくみんな命懸けだから。毎日「今日も無事に終わった」と思っていたし、パワフルで充実していました。実は、オーソドックスな『ピピン』は前にもやっているんです。そのつもりで受けたら全然面影がなくて。全員が大変な中に放り込まれて、とにかく1日1日無事に終わればいいという気持ちでした。
――『デイ・サービス・ショウ』のメンバーがまた集結することを楽しみにしているお客様も多いと思います。思い出やゲストの皆さんの印象を教えていただけますか。
正司さんは昔ギターを弾いてらしたけど、弾く方からするとエレキギターはまた全然違うらしいんです。光枝さんもこの作品で初めて楽器を持って、本当に1から始めたんですが、皆さん毎日練習してくれました。正司さんは「冬樹さんには負けたくない」と言ったりして。稽古がすごく楽しみだと言ってくれて、「こんなデイサービスがあったらみんなすすんで行くのに」、「みんながやりたいことをやらせてくれる環境があればいいな」とつくづく思いましたね。目標を作って、発表会でも施設のイベントでもいいから誰かに成果を見てもらうってすごく励みになる。私はロックバンドを作りましたけど、なんでもいいから本当に楽しくてそこに行きたいと思う環境が作れたらと思います。
――その想いに共感するお客様も多かったと思います。反響などはいかがでしたか?
何回も見に来てくださる方が多かったですね。車椅子で来てくださった90代の方もいらして。出かけようという気持ちがパワーになるし、出かけるためにおしゃれしてお化粧するのってワクワクするじゃない? ワクワクするひとときを持ってもらいたいです。こういうと僭越ですが、年寄りばっかりのショーをする人っていないと思うから。ぜひ高齢の方に来て、元気になってほしいし、まだ頑張ればできるというのを証明したいと思っています。
――頑張ればできるということですが、体力やスタイルをどうやってキープしているんでしょう。
やっぱり日々の努力ですね。特別なことって続かない。簡単なことでいいから毎日続けていれば筋肉ってついてくるし体が動くようになるともっといろんなことができるようになる。何歳になっても体は変わります。私はこの歳になって人生で一番体ができていると思いますね。これは声を大にして言いたいけど、いくつになっても遅すぎないから始めてほしいです。
――これまでの芸能生活を振り返って、ターニングポイントはどこでしょうか。
最初は30歳になった時かな。バースデーコンサートをやる時に、6分くらいのダンスナンバーを作ったんです。1日6時間くらい練習していたら本番前日に足を痛めてしまって。付け焼き刃ではいけないと思い、そこからトレーニングを始めました。あとは60歳になった時、「人生一周したんだ」と思って、自分が経験してきたことをもう一回掘り下げてみようと考えるようになりました。自分が苦手だったこと、避けてきたことにもう一度挑戦してみようかなと思うようになって、やってみると芋づる式に発見がある。できないと思っていたこともできるようになるから楽しいですね。
――前向きでいられるマインドの持ち方について聞きたいです。
これから先、周りがいなくなると頼れないでしょう。自分が楽しいと思うことを身につけておかないと。例えば周りの人からしても、「歳をとったので面倒を見てください」って言われても嫌じゃない。まず自分が楽しく生きていれば、周りも楽しんでくれるんじゃないかと思う。一緒にいて楽しいと思ってほしいから、新しいことにもどんどん挑戦しています。こういう取材でも、十年間同じことを言ってたらみんな「それ前も聞いたよ」と思うでしょう。年1回くらい新しいネタを提供すると話題も広がるし。ショーでもそう。同じことだけじゃ自分も飽きるし、目新しいことをしていれば「絶対に楽しいから見にきて」って自信を持って言えるじゃないですか。
――中尾さんのパワーや笑顔の源はなんでしょう?
年々先が見えてくる状態だから、今やっておかないともう間に合わない。健康で体が動くうちに、楽しいこと、やりたいことをやらないと。後悔したくないから1年1年がすごく貴重。この気持ちは年々強くなっていくわけだから、一種の終活だと思っています。
――同世代・若い世代問わず、頑張っている人たちへのエールをいただきたいです。
最近いろんなところで言っているけど、人生を最後の最後まで楽しみたい。何十年先のことはわからないけど、自分で目標を立てて、クリアしたらまた次と死ぬまで志を持っていたい。もしかしたら到達しないかもしれないけど、そこにいくプロセスを楽しむことができれば、日々充実感を得られるからいいの。誰かが亡くなった時に「志半ばで残念だっただろう」ってよく言うけど、私は最近、志半ばで死ねるのは幸せだなって思うようになった。最後まで志を持って生きていたいなと思って。目標に向かうパワーを持って生きるのは幸せだと私は思いますね。必ず終わりはあるから、ゴールまでの間本当に無駄なく生きていかないと。
――最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージや、これからの中尾さんの目標をお願いします。
皆さんにも、嫌々人生を終わってほしくない。でも、自分が何をやりたいのか、何している時が幸せなのかは自分で見つけるしかないんです。楽しいと思えることが見つかったら、時間を無駄にせず今すぐ始めてほしい。なるべく人の迷惑にならないように気を付けないといけないけど、楽しくて明るい人なら、みんな迷惑に思わないだろうから。歳をとった人の強みってやっぱり経験。なんでもないことを話しても勉強になるし、同じことを話しても新鮮に聞いてくれる人もいますから。楽しい、可愛がられる年寄りになりたいと思っています。
取材・文=吉田沙奈 写真=ヒダキトモコ

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