ドレスコーズ Photo by 森 好弘

ドレスコーズ Photo by  森 好弘

【ドレスコーズ インタビュー】
調子が良くて、
作り足りないものがある感覚がある

今までの自分の活動に感謝、
素敵なご縁につながっているので

「最低なともだち」のMVは映画監督の山戸結希さんが手がけていらっしゃいますが、“撮りたいです”とおっしゃってくださったんですか?

はい。なので、こちらも“喜んで撮られます”と。

中学生のテニス部の少年たちを描いたMVで、そこに台詞はないですが、壁の時計が示す時刻、ホワイトボードの文字、髪型の変化とかを通して物語を想像できる映像作品になっていて。

はい。映像作品に対してあとから主題歌をつけるのはよくあるかたちですけど、それとは逆の成り立ちですね。僕が勝手に作った“架空のドラマの主題歌”に山戸監督があとからドラマを与えてくださったので。

僕は曲を聴いて、不吉霊二さんが描き下ろしたイラストのジャケットとも向き合ったあとにMVを観たので、“山戸さんはこの曲をこうとらえたんだ”と感じる楽しさがありました。どういうMVにするかは山戸さんにお任せしたんですか?

全てお任せでした。

登場する志磨さんに関しても、いろいろな解釈ができそうです。天使や妖精ととらえることもできますし、もしかしたら悪魔なのかもしれないですし。

そうですね。禍々しさもありますから。

あの花びらは魔法かもしれないし、呪いなのかもしれないし、もしかしたら祝福なのかも…とか、いろいろ考えています。

ありがとうございます。山戸結希さんも不吉霊二さんも、僕が毛皮のマリーズをやっていた頃から僕の作品と出会ってくださっていた方なので。僕は不吉さんがSNSにアップしていた短編漫画を偶然見かけて、“なんていい漫画だ!”と思って短編集を購入したんです。それから「エロイーズ」(2022年5月発表の配信シングル)のジャケットのイラストをこちらからお願いしたら、実はもともと毛皮のマリーズがお好きだったとうかがって。山戸さんも学生の頃から毛皮のマリーズを聴いてくださっていたそうで、それもまた僕がたまたま山戸さんの自主制作映画を観て“この人は天才だ!”と騒いでいたら、次の映画にお声がけいただいたんですよね。それは音楽ではなくて役者として。

山戸さんの『溺れるナイフ』『ホットギミック ガールミーツボーイ』に出演しましたよね?

そうなんです。なので、今までの自分の活動に感謝ですね。巡り巡ってこうした素敵なご縁につながっているので。いい曲作っていて良かった。

ミュージシャンは楽曲制作、ライヴが活動の主軸ですが、そういうご縁が志磨さんの活動の幅を広げている部分もありますね。

自分としてはなるべく純度の高い創作、活動をしたいと思っていて…だから、バンドマンが役者デビューするようなことは絶対に嫌だと思っていたんです(笑)。でも、天邪鬼なので、どうしてもバンドマンらしくしていられなくて。面白そうだと感じることには飛びついてしまうんですよ。なぜなら、やったことがないことだけをやっていたいから。

「最低なともだち」もMVも含めた素敵な表現へと広がっていきましたが、この曲を配信したあとに関しては、何か決まっている動きはあるんですか?

新しい曲ができたらそれをライヴで演奏して、メンバーとスタジオに入ってレコーディングをして、すぐにリリースして、そういう感じで昨年からやっているので、今年もそれを継続するつもりです。今も曲を作っているところで、いっぱいできていますよ。

今年も軽やかなフットワークで活動していくことになるんですね?

はい。お誘いいただけたらライヴもどんどん受けますし。

先日は小西康陽さんとのライヴがありましたね。

あのライヴは僕からのオファーでした。「最低なともだち」の初披露もその日でした。小西さん、最高でした。

小西さんは憧れの大先輩ですよね?

はい。日本はどんどんカッコ良いおじいちゃんが増えていきますね。昔の自分が想像していた“おじいちゃん”像と全然違います。

志磨さんもそういう年齢の重ね方をするんだと思いますよ。

そうなれたら嬉しいですね。

取材:田中 大
Photo by 森 好弘

配信シングル「最低なともだち」2023年5月11日リリース EVIL LINE RECORDS
ドレスコーズ プロフィール

2003年「毛皮のマリーズ」結成。日本のロックンロール・ムーブメントを牽引し、2011年、日本武道館公演をもって解散。翌2012年「ドレスコーズ」結成。2014年以降は、ライヴやレコーディングのたびにメンバーが入れ替わる流動的なバンドとして活動中。8thアルバム『戀愛大全』(2022年)、LIVE Blu-ray & DVD『ドレスコーズの味園ユニバース』(2023年)が発売中。9thアルバムが2023年9月13日に発売予定。秋にはアルバムをひっさげたツアーも開催予定。近年は菅田将暉やももいろクローバーZ、上坂すみれ、PUFFY、KOHHといった幅広いジャンルのアーティストとのコラボレーションも行なっている。音楽監督として『三文オペラ』(2018年 ブレヒト原作・KAATほか)『海王星』(2021年 寺山修司原作・PARCO劇場ほか)などに参加。俳優として映画『溺れるナイフ』Netflixドラマ『今際の国のアリスSeason2』などに出演。映画『零落』(2023年 浅野いにお原作・竹中直人監督)では初のサウンドトラックを担当。現在は東京新聞にてコラムも連載中。ドレスコーズ オフィシャルHP

「最低なともだち」MV

OKMusic編集部

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