舞台『パラサイト』出演~キャリア3
1年の山口森広がバイプレイヤー人生
を振り返り思う「役者をしていると毎
日が楽しい」
この作品は家が主題ですし、舞台と言えばワンシチュエーションというイメージなので、そういう意味で舞台化も楽しみだなと思いました。それに加えて演出が鄭さんだから、関西を設定にしてやる意味があると思うし、関西弁で『パラサイト』をやるのは絶対面白いだろうなぁ。人間の内から湧いてくるエネルギーみたいなものとか、舞台ならではの表現も鄭さんの演出でより際立ちそうな気がします。
鄭さんとは今回初めてご一緒しますが、実はいろんな人から、「きっと合うと思うよ」と言われたので楽しみにしています。自分が所属する劇団ONEOR8の作・演出である田村孝裕さんと、人間の描き方やセンスなど、重なるところがある気がするんですよね。あと演出が細かいというのもの好きです(笑)。ようやく鄭さんワールドに参加できるのが嬉しいです。
全体がどんな作品、どんな色なのかわからないから、あらかじめ何パターンか用意してのぞむけれど、結局は柔軟性が大事だと思います。現場の雰囲気に合わせて変化できたらと思います。
この前、死体を見つける役を演じる機会がありまして。台本を読むとシリアス、コメディ両方の可能性があるなと思って、どちらかなぁと思いながら現場に行ったんです。その時はシリアスを求められたので、そっち方向で頑張りました(笑)。
一昨年初めて監督を経験して、演出側のことも考えるようになりました。カメラワークについて「ここ使われるな、ここ大事だな」と思ってやったりして。でも放送を見るとそこが全然使われてなかったりして、すぐ初心に戻らされます(笑)。
一個一個の作品が新鮮だから、それぞれの作品や現場によって、心がけることも変化しますね。
こうやって振り返ってみると思うんですけど、基本全部100%楽しんでるんですよね。うまくいかなかったり、思ったことと違ったりして反省することもあるけど、やっぱり楽しいなぁと。
でも最近はそうも言ってらんないというか、役者としての成長のために変わっていかなきゃいけないと思うようになりました。だから出演作品もたくさん見てます。プライドとかこうしたいという願望よりも、反省しながら成長につなげていきたい。時にはエゴサ―チもするし。
野球は一点をとったら一点、エラーしたらエラーとルールがわかりやすいですが、芝居ってホームランもエラーも人それぞれ。役者論には答えがないですよね。
だから反響があるのはとても嬉しいし、それを糧に頑張れます!
公演が終わった2か月後に、家族に「ようやくパパに戻ったね」って言われたんですよね。なんとなく物腰が柔らかめだったみたいです。それまでは、役が抜けないとか自分にはないと思ってましたけど、私生活に少なからず影響してる部分はあるのかなと思いました。
フランスの戯曲のリーディング公演を経験したときも、言いたいこと言うフランス人のセリフを、そのままの勢いで妻にも言っちゃったら喧嘩になったことがあって。『それを言っちゃおしまい』という作品でした(笑)。
昔から老けてる老けてるって言われたけどようやく年齢に追い付いてきた気がしています。今後もいろんな作品に携わっていきたいので、この記事を読まれた監督さん、プロデューサーさん、マネージャーまで連絡ください(笑)。一緒に面白いことしたいです。頑張ります。
1981年9月23日、神奈川県横浜市出身。11歳の時に子役としてデビューして以来、数多くの舞台、映画、ドラマ、配信作などに出演する。最近では、日本テレビ系『ブラッシュアップライフ』、テレビ朝日系『家政婦のミタゾノ』、フジテレビ系『イチケイのカラス』、Netflix『全裸監督2』などに出演。2021年には短編映画『捨てといて捨てないで』で初めて監督・脚本にも挑戦した。
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