山崎育三郎がフルオーケストラと届け
る「プリンスの集大成」~『山崎育三
郎 Premium Symphonic Concert Tour
2023』インタビュー

山崎育三郎が2年ぶりにフルオーケストラとのコラボレーションツアーを、2023年7月15日(土)札幌文化芸術劇場 hitaruを皮切りに、全国9都市10公演開催する。
「SFIDA(挑戦)」と題した前回のツアーでは、その至上の歌声とともに希望の光を届け、各地で大好評を博した。
今回は『billboard classics 山崎育三郎 Premium Symphonic Concert Tour 2023 ―PRINCIPE―』と題し、全国9都市10公演で“PRINCIPE(王子)”として観客を極上の音楽会へと誘う。ツアータイトルに込めた想いや、連日登場する豪華ゲスト陣について、山崎育三郎に話を聞いた。
■会場にいるみんなをプリンセスにしたい
ーー今回のツアータイトルは、イタリア語で王子を意味する「PRINCIPE(プリンチペ)」ですが、このタイトルに込めた思いやコンセプトについてお聞かせください。
今回、自分の中にある“プリンス”を全て出し切ろう、という想いがありまして。そろそろプリンスは卒業かな、と。
ーーまだまだ続けていただきたいです。
まだ大丈夫ですか? ちょっとタイトル変えてもらおうかな(笑)。というのは冗談ですが、年齢とともにプリンスから卒業していく可能性もあるので、そろそろ僕が持っているプリンスを一度全て出し切ってみよう、というのがコンセプトとしてあります。
山崎育三郎
ーー“プリンスの集大成”を見せていただけそうですね。山崎さんが思う「プリンスとはこうである」、という定義のようなものはありますか。
そうですね……自分自身ですかね(笑)。品があって、優しさがあって、姿勢が良い、というのはプリンスに必要な要素な気がします。でも、「プリンスです」って自分で言い始めたわけではなく、『レ・ミゼラブル』でのマリウス役や、『ロミオ&ジュリエット』のロミオ役など、20代の頃にミュージカルで演じてきた役柄の影響もあって、そう呼んでいただけるようになったんだと思います。逆に、女性は何をもって「プリンス」と感じるのか知りたいですね。
ーー「キラキラ感」とかでしょうか……。改めて問われると難しいですね。
僕の場合、やはりミュージカルという場所で育ったことがとても大きくて。これはよくお話しするエピソードですが、20代前半のときに初めてファンクラブのイベントをやらせてもらったのですが、自分が出たら「キャー!」って歓声が上がると思っていたら、皆さんとても静かで落ち着いていらして(笑)。面接やオーディションでお話しするみたいな空気だったので、「これは予想していたのとはちょっと違うぞ」と。そうなると、「ちゃんとしなきゃ」と、あいさつや言葉遣いなど自然と選ぶようになるんです。そういう意味では、ファンの皆さんが僕の佇まいをつくってくださったのかもしれないですね。
ーーファンの方の存在が大きかったんですね。
高いチケット代を払えるような、いろんなエンターテインメントを見てきた経験豊かな大人の女性の方が多かったので、育てていただいたような感じですね。皆さんに満足していただける内容を、と試行錯誤しましたし、そういった経験や立ち振る舞いが結果的にプリンスと呼んでいただけるようになったのかもしれません。それに加えて、自分自身も品がある方が好きなんですよね。ちゃんとしている方がかっこいいと思いますし。
ーー今回のコンサートでは、プリンスとしてどんな世界を立ち上げていかれますか。
自分の立ち振る舞いから楽曲選びも含めて、会場にいるみんなをプリンセスにしたいなと思っています。今回ゲストでお呼びする皆さんも、“ミュージカル界のプリンセス”たちですし。グッズも含めて、皆さんに喜んでいただけるものを考えていますので、ぜひ楽しみにしていてください。
山崎育三郎
■ミュージカル界を代表する豪華女性ゲスト陣が集結
ーー前回は一部がミュージカル曲、二部がカバーやオリジナルの曲が中心でした。今回はどのような構成になりそうでしょうか。
今回も一部がミュージカル曲、二部がオリジナル楽曲中心になる予定です。よく歌わせていただく「美女と野獣(Beauty and Beast)」は、前回フルオーケストラでデュエットできなかったので、ぜひ実現したいですね。あと、今回はクラシックの楽曲も歌おうと思っています。音大生時代にずっと歌っていた大好きな楽曲があるのですが、それをクラシックのプロの皆さんと一緒にお届けするのは、自分の中でも新たな挑戦です。
ーー前回にはない試みも楽しみですね。また、先ほど“ミュージカル界のプリンセス”というお言葉も出ましたが、今回は錚々たる女性ゲストの方が日替わりで出演されます。公演日順に、おひとりずつの印象やエピソードをお聞かせください。まず、初日は明日海りおさんです。
明日海さんとはミュージカルの共演はまだありませんが、以前コンサートにゲストで出てくださっていて。明日海さんとは同い年なんですよね。普段はものしずかな雰囲気の方ですが、楽曲を歌うときや作品の役に入るときの集中力やパフォーマンスのダイナミックさには、圧倒されるものがあります。このステージで初めて一緒に歌う舞台のナンバーがあるので、そちらも楽しみですね。
ーー続いて、木下晴香さんはいかがでしょうか。
晴香とは『モーツァルト!』という作品で初めて共演して、当時はまだ10代だったのかな。彼女の天性の歌声は本当に素晴らしいですよね。きっと長くミュージカル界で活躍していくんだろうな、とずっと注目していました。一緒に舞台で歌ってきたナンバーをお届けできたらと思っています。
ーーその次の回は濱田めぐみさんです。
めぐさんとは、今ちょうど『ファインディング・ネバーランド』という作品でご一緒していてお稽古の最中ですが、もうミュージカル界の“レジェンド”ですよね。コンサートでは『ファインディング・ネバーランド』からもデュエット楽曲を披露できないかと考えています。めぐさんは劇団四季時代に『美女と野獣』にも出演されているので、そのコラボも楽しみにしていただけたらと思います。
山崎育三郎
ーー涼風真世さんはいかがでしょうか。
『モーツァルト!』で涼風さんに初めてお会いしたときに、「私ね、『ラ・カージュ・オ・フォール』であなたがステージに出てきた瞬間に、この子はスターになる! ってすぐ分かったの」って言ってくださったのが印象的でした。節目節目で励ましてくださる、大好きな大先輩ですね。いろんなお話をしながら、二人で歌うデュエットを楽しみたいと思っています。
ーー続いて、昆 夏美さんです。
昆ちゃんとは、彼女のデビュー作『ロミオ&ジュリエット』でご一緒したのが最初です。それから『レ・ミゼラブル』でも共演して、『ミス・サイゴン』にも僕が卒業した後に出演されたりと、共通する出演作が多いんですよね。サイゴンも一緒にやりたかったね、なんて話もしていたので、デュエットを一緒に歌えたらなと思っています。あと、彼女とは「美女と野獣」をずっと一緒に歌ってきたので、今回フルオーケストラでお届けできるのが今から楽しみです。
ーーシルビア・グラブさんについてはいかがですか。
シルビアさんは、僕が初めて『レ・ミゼラブル』に出たときにファンテーヌ役で出演されていて、そのときから仲良くさせていただいています。一緒にカラオケに行ったり、当時よく可愛がっていただきましたね。最近はお会いできていなかったのですが、シルビアさんの歌唱力や表現力が大好きで、また一緒に歌いたいとずっと思っていたので、念願かなっての共演が楽しみです。
ーー続いて、島田歌穂さんです。
歌穂さんは、子供の頃から観ていた『レ・ミゼラブル』のエポニーヌの方、という印象が強く残っていて。ずっと聴いていたレミゼのCDのエポニーヌも歌穂さんでしたから、僕にとっては野球のイチローさんと同じような存在。歌穂さんを前にすると少年に戻るような感覚があります。レジェンドでもあるので、やはりレミゼの楽曲を一緒に歌えたら嬉しいですね。
ーーその次は、夢咲ねねさんです。
夢咲さんは『ファインディング・ネバーランド』で、僕の妻の役で共演させていただいているんですが、作品の中ではデュエットがないんです。ですが、彼女は宝塚初演の『ロミオとジュリエット』でジュリエット役をやっていたりと、共通する作品があったりするので、どの楽曲にしようかといろいろ考えているところです。
ーー和音美桜さんはいかがでしょうか。
和音さんとは、『レ・ミゼラブル』『レディ・ベス』『モーツァルト!』など共演が多いのですが、個人的に僕は和音さんの歌声のファンでもあるんです。「ずっと聴いていたい声」と言いますか。なので今回オファーさせていただきました。これまで作品の中でのデュエットはあまりなかったので、今回コンサートでご一緒できるのがとても楽しみです。
ーーそして千穐楽は、新妻聖子さんが登場されます。
聖子ちゃんは、『レ・ミセラブル』や『ミス・サイゴン』でずっと共に闘ってきた、20代を一緒に駆け抜けた戦友のような存在ですね。テレビのお仕事も、聖子ちゃんと二人で歌番組でミュージカル楽曲を一曲歌わせてもらう、といったところから一緒にテレビの世界を開拓していった同志でもあります。彼女の歌声も大好きなので、今からとても楽しみです。
山崎育三郎
■自分自身を表現し、感謝の気持ちを伝える場所
ーーここ数年、精力的にコンサートやライブを開催されていますが、今、山崎さんにとってどんな場所になっていますか。
「自分自身として表現できる場所」だと感じています。舞台や映像の作品では、役として存在して、かつ演出家や監督がいらっしゃる中での表現になりますが、コンサートやライブでは、自分はどんな世界を作りたいのか、というところから始まるので、自分自身を全てさらけ出して、伸び伸びと表現できる。それをお客さまと共有できる時間という意味でも、いちばん楽しみな場所になっていますね。
去年も全国ツアーをやらせていただいて、舞台の公演では行くことができない場所にもたくさん行くことができました。お客さまもテレビで僕のことを知ってくださった方が多く、そういう方たちに直接会って、自分の言葉で想いを伝えたり、歌を届けることができるのが嬉しいですね。いろんなきっかけで僕を知ってくださった方が、ギュッと一同に集まるのがコンサート会場になっているんです。そして、会いに来てくれたみんなに感謝の気持ちを伝える場所でもありますね。
ーー直近の舞台の出演作についてもお聞かせください。今、ミュージカル『ファインディング・ネバ―ランド』のお稽古中とお聞きしていますが、どんなところに作品の魅力を感じていますか。
これまでも素晴らしい作品ばかり出させていただきましたが、こんなにもみんなに観てもらいたいと思う作品は初めてかもしれない、というくらいに、この作品の虜になっています。稽古でも、場面ごとにみんなが涙を流して見ていたりするんです。とくに大人の方にぜひ観ていただきたいですね。忘れてしまった大切なものを取り戻すような感覚を味わえる作品だと思います。
ーーお稽古場の雰囲気はいかがですか。
4人兄弟の物語で、子役の子供たちがWキャストで8人いるんでが、この子たちが今まで出会った子役たちの中で、過去最高に自由奔放なんです(笑)。でもそれを誰も制することなく、小学校の休み時間みたいな感じがずっと続いているような状況なんですが、それが逆にすごく良くて。大人になるとみんなきちっとして、空気を読むようになっていきますが、子供たちを通して、周りを気にせずに自分らしく生きることの大切さに気付かされています。観た方の人生によって、それぞれに感じ方が変わる作品だと思いますが、とくに後半は心が掴まれて揺さぶられるような感覚になるので、「すごい作品だな」と毎日感じながらお稽古しています。
ーーミュージカルの出演作も引き続き楽しみです。最後に、コンサートを楽しみにされているお客さまへメッセージをお願いします。
前回初めてフルオーケストラのコンサートをさせていただいて、前回よりもっと、といろんな想いが生まれています。自分がいちばん輝ける楽曲を集めて、来てくださったお客さま全員をプリンセスにするので、ぜひ夢の時間を体感しに来てください。皆さんと会場でお会いできるのを楽しみにしています。
山崎育三郎
取材・文=古内かほ

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