L→R 小林 勝(Ba)、甲本ヒロト(Vo)、真島昌利(Gu)、桐田勝治(Dr)

L→R 小林 勝(Ba)、甲本ヒロト(Vo)、真島昌利(Gu)、桐田勝治(Dr)

【ザ・クロマニヨンズ リコメンド】
褪せないロックンロールの
魅力と斬新さが集積したアルバム

わずか2分40秒に凝縮されている
ワクワクするような興奮

 音源について触れてみよう。先行シングルとなった「イノチノマーチ」は、NHK Eテレ『ギョギョッとサカナ★スター』/総合『超ギョギョッとサカナ★スター』の主題歌だ。作詞作曲は甲本ヒロト。明るい曲調で突き進む、スピード感に満ちたナンバーで、親しみのあるメロディー、躍動感のあるバンドサウンドが聴き手を鼓舞する。歌詞に出てくるようにファンファーレが聴こえてきそうな、前向きな曲に仕上がっている。彼らが本来持っているポップな面とワクワクするような興奮、そして未来に向けた希望が巧みにミックスされた、最強の作品と言えるだろう。それがわずか2分40秒ほどに凝縮されていることに驚かされる。

 カップリング曲は「さぼりたい」で、こちらの作詞作曲は真島昌利。曲中にいくつものブレイクを挟む独自のアレンジがこれまでにない新鮮さをもたらす楽曲であり、途中からレゲエをベースにしたダブ的なアプローチで作られていることが分かる仕組みになっている。異色作ではあるが、ライヴでどのように聴こえるのか楽しみな曲でもある。そして、今回はアルバムにMONO MIXで収録されている。

ザ・クロマニヨンズにしか
作り出せない世界が展開されていく

 この2曲を含むアルバム『MOUNTAIN BANANA』全12曲は、どれもが珠玉のロックンロールナンバーなのは言うまでもない。シングルの2曲以外のナンバーについて触れていこう。冒頭は「ランラン」で幕を開ける。勢いのある歌声がエネルギーを放つ強烈なオープニングで、歌に呼応するハンドクラップが楽しさと軽快さを加速させる。音と歌声が発せられた瞬間から、ザ・クロマニヨンズにしか作り出せない世界が展開されていく。そして、《夜明け前の公園で》というフレーズが切ない。

 「暴走ジェリーロック」も勢いで圧倒する楽曲。タイトルを叫んで始まり、細かく散りばめられたコーラスが合いの手として効いていて、ライヴでも盛り上がること必至だ。ストレートなタイトルの「スボン」は真っ直ぐなのか? ひねくれているのか? さまざまなシチュエーションにズボンが登場する当たり前の光景なのに、こうして羅列すると妙にシュールに響き、だんだんとコミカルな内容に変化していく。爽快なサウンドも心地良い。タイトルだけでは何のことか分からない「カマキリ階段部長」も、ゆったりとしたテンポで歌詞をはっきりと歌い上げていくうちに、なぜか侘しさがつのる曲。音を埋め尽くさないアンサンブルで、聴き手に物語を想像する余地を与える。

 「でんでんむし」はベースとドラムが中心となって疾走するイントロが高揚感を生む、アップテンポなナンバー。カマキリの次がでんでんむしというのは、意識しての曲順だろうか? マイナー調のメロディーの切迫感に導かれ、ギターソロ、ハーモニカソロもスリリングだ。やはりあの妖怪のことらしい「一反木綿」は、アコースティックギターの柔らかなタッチが印象的な、のどかでフォーク調の楽曲。高らかに歌い上げたり、アメリカンロックぽさを漂わせるメロディアスなギターソロもあるなど、程良く緊張感をほぐしてくれる曲だ。

OKMusic編集部

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