【PLOT SCRAPS ライヴレポート】
『PLOT SCRAPS presents
ALWAYS BE HERE TOUR 2022』
今年の4月30日、PLOT SCRAPSがこの日と同じ渋谷WWWで開催した前作アルバム『My FRAGMENTS+』(2022年3月発表)のツアーファイナルの余韻がずっと残っていた。ライヴの終盤、追い上げるように自分たちが作り出す熱気に観客をグイグイと巻き込んでいった演奏を見ながら、解放、あるいは脱皮という表現で語ることができるバンドの変化を感じた筆者は、その後のPLOT SCRAPSの活動が俄然楽しみになったのだったが、その後、11月に発表したアルバム『ABH』のインタビューで陶山良太(Vo&Gu)から“11月19日から始まる今作のツアーは以前と比べものにならないくらい自信があるんですよ”と言われ、その『ABH』を引っ提げたツアーのファイナル公演―― つまりこの日のライヴをさらに膨らんだ期待とともに心待ちにしていた。
それは前述のインタビューで“間違いなく今までで一番いいライヴになると思います”とも語っていた陶山をはじめ、メンバーも同じだったはずだ。それだけに陶山が新型コロナウイルスに感染してしまい、広島、高松、名古屋、仙台の4公演が開催できなかったことは惜しまれるが、確実にその悔しさはバネになった。
PLOT SCRAPSの3人はこの日、前回のツアーファイナルの延長上にあると言える熱演を1曲目の「一等星」から繰り広げると、グッとアクセルを踏み込むように「Teardrop」「アンサー」「グライダー」とつなげ、タイトな演奏が生む勢いに観客を巻き込んでいった。陶山の甘い歌声には轟音の演奏に埋もれない力強さがあるところがいい。
この日、彼らが演奏したのは、『ABH』の5曲を含む全18曲。“行こうぜ!”“一緒に飛び出そうぜ、渋谷!”と亀山敦史(Ba)と陶山が観客に声をかけながら、リズミカルなギターと跳ねるベースが印象的な「Caramelic Love」、性急な裏打ちのリズムが観客を煽った「CHOCOLATE PUNK」、横ノリのグルービーな演奏をじっくりと聴かせながら、もぐ(Dr)から亀山、そして陶山と回したソロが観客を湧かせた「奇跡」と序盤から曲ごとにリズムの変化を楽しませると、中盤では「月夜に提灯」「pinky」「Cover Story」とバラードを3曲、立て続けに披露。もっともひと口にバラードと言っても、「月夜に提灯」のラップ調のヴォーカル、「pinky」のR&Bのリズム、そして、「Cover Story」の同期で鳴らしたピアノも交えたテクニカルなバンドアンサンブルと、それぞれに趣向を変えたアイディアも聴きどころになっているところがPLOT SCRAPSならではだ。
そんな中盤から一転、ニューウェイビーな音像にダンサブルなポップソングを落とし込んだ「Telephone Box」と「バタフライ」をつなげ、なだれ込んだ後半戦。“一緒に跳ぼうぜ、渋谷!”と声を上げた陶山に応え、それまで手拍子していた観客がジャンプ。その気持ちをさらに高揚させたのが、生きづらい世の中を生きる全ての人に贈るPLOT SCRAPSの心やさしいアンセム「FLAWLESS YOUTH」だった。
“大事なツアーが全公演できなかったり、生きてるとうまくいかないことも多いけど、僕はいつも、これからやる自分の曲に心を支えてもらって、毎日生きています。きっとみなさんの心も支えていってくれるような曲になると思います”
陶山は曲に込めた想いをそう語ったのだが、この曲を初めて聴いた時、胸が震えた、あの感覚は今も変わらない。《消えない希望があるよ》《一度でも それに触れたら/あなたは世界の中心/どんな事に変えても、そこにいてね》と歌うサビに手拍子していた観客の手が再びあがる。
““ABH”は“ALWAYS BE HERE”の略で、“いつもここにあるもの”っていう意味なんですけど、毎日生きていて、いいことばかりじゃない。悪いことのほうが多いんじゃないかと思う日もあるんじゃないかって。僕は結構そうなんですけど、そういう日にこそ、心が折れそうな時にこそ、忘れたくない言葉とか、それこそ音楽とか、希望になるようなものってみなさんそれぞれにあると思います。そういう存在になりたいと思って「ALWAYS BE HERE」、『ABH』という作品をリリースしました。メンバーがいれば、こうやってステージに立てる。メンバーがいることが幸せだし、それを手伝ってくれるスタッフがいることも幸せだし、そして何よりもみなさんが今日来てくれるってことが本当に幸せです。幸せなんですけど、もっともっと多くの人に、全国の人に俺達の音楽が『ABH』な存在だと知らしめたい! それが俺の夢なんです! みなさん、応援よろしくお願いします!”(陶山)
ディレイをかけたギターのカッティングから迸る光を放つような音色が会場全体を包み込み、3人の演奏がひとつになる「ALWAYS BE HERE」がハイライトにふさわしい眩い景色を作り出す。そして、“ラスト2曲!”と陶山が声を上げ、「リブラ」「タイセツナモノ」とたたみかけたラストスパートの勢いはそこで止まらず、アンコールに応え、ステージに戻ってきた3人はフォーキーな曲を転調で盛り上げる「こころ」に加え、アップテンポのロックナンバー「水銀灯ウォッチャー」を披露。
その2曲を演奏する前に“日常の中で自分たちの音楽を聴いてもらえることが本当に嬉しくて、みなさんの中に俺らの音楽があるのかと思うと、めちゃめちゃ幸せなんです”と語った陶山は続けて、“幸せなんですけど、もっともっと多くの人の心を支えられるような音楽だと自分で信じているので、これからもそれを届けにいきたいと思っています!”とダメ押しするように改めての決意を口にした。
『ABH』のリリースインタビューで、“もともとまったくライヴハウスに通ってこなかったという出自を持つ自分がライヴシーンに出ていって、やっとやるべきライヴが見つかった気がしています”と陶山は語っていたが、この日、ステージの真ん中に躍り出るようにギターソロを弾き、熱っぽく観客に語りかけた陶山をはじめ、自信に満ちあふれていたように見えたメンバー3人の姿に、前回のツアーファイナルの時以上にPLOT SCRAPSのこれからが楽しみになったのだった。
それは前述のインタビューで“間違いなく今までで一番いいライヴになると思います”とも語っていた陶山をはじめ、メンバーも同じだったはずだ。それだけに陶山が新型コロナウイルスに感染してしまい、広島、高松、名古屋、仙台の4公演が開催できなかったことは惜しまれるが、確実にその悔しさはバネになった。
PLOT SCRAPSの3人はこの日、前回のツアーファイナルの延長上にあると言える熱演を1曲目の「一等星」から繰り広げると、グッとアクセルを踏み込むように「Teardrop」「アンサー」「グライダー」とつなげ、タイトな演奏が生む勢いに観客を巻き込んでいった。陶山の甘い歌声には轟音の演奏に埋もれない力強さがあるところがいい。
この日、彼らが演奏したのは、『ABH』の5曲を含む全18曲。“行こうぜ!”“一緒に飛び出そうぜ、渋谷!”と亀山敦史(Ba)と陶山が観客に声をかけながら、リズミカルなギターと跳ねるベースが印象的な「Caramelic Love」、性急な裏打ちのリズムが観客を煽った「CHOCOLATE PUNK」、横ノリのグルービーな演奏をじっくりと聴かせながら、もぐ(Dr)から亀山、そして陶山と回したソロが観客を湧かせた「奇跡」と序盤から曲ごとにリズムの変化を楽しませると、中盤では「月夜に提灯」「pinky」「Cover Story」とバラードを3曲、立て続けに披露。もっともひと口にバラードと言っても、「月夜に提灯」のラップ調のヴォーカル、「pinky」のR&Bのリズム、そして、「Cover Story」の同期で鳴らしたピアノも交えたテクニカルなバンドアンサンブルと、それぞれに趣向を変えたアイディアも聴きどころになっているところがPLOT SCRAPSならではだ。
そんな中盤から一転、ニューウェイビーな音像にダンサブルなポップソングを落とし込んだ「Telephone Box」と「バタフライ」をつなげ、なだれ込んだ後半戦。“一緒に跳ぼうぜ、渋谷!”と声を上げた陶山に応え、それまで手拍子していた観客がジャンプ。その気持ちをさらに高揚させたのが、生きづらい世の中を生きる全ての人に贈るPLOT SCRAPSの心やさしいアンセム「FLAWLESS YOUTH」だった。
“大事なツアーが全公演できなかったり、生きてるとうまくいかないことも多いけど、僕はいつも、これからやる自分の曲に心を支えてもらって、毎日生きています。きっとみなさんの心も支えていってくれるような曲になると思います”
陶山は曲に込めた想いをそう語ったのだが、この曲を初めて聴いた時、胸が震えた、あの感覚は今も変わらない。《消えない希望があるよ》《一度でも それに触れたら/あなたは世界の中心/どんな事に変えても、そこにいてね》と歌うサビに手拍子していた観客の手が再びあがる。
““ABH”は“ALWAYS BE HERE”の略で、“いつもここにあるもの”っていう意味なんですけど、毎日生きていて、いいことばかりじゃない。悪いことのほうが多いんじゃないかと思う日もあるんじゃないかって。僕は結構そうなんですけど、そういう日にこそ、心が折れそうな時にこそ、忘れたくない言葉とか、それこそ音楽とか、希望になるようなものってみなさんそれぞれにあると思います。そういう存在になりたいと思って「ALWAYS BE HERE」、『ABH』という作品をリリースしました。メンバーがいれば、こうやってステージに立てる。メンバーがいることが幸せだし、それを手伝ってくれるスタッフがいることも幸せだし、そして何よりもみなさんが今日来てくれるってことが本当に幸せです。幸せなんですけど、もっともっと多くの人に、全国の人に俺達の音楽が『ABH』な存在だと知らしめたい! それが俺の夢なんです! みなさん、応援よろしくお願いします!”(陶山)
ディレイをかけたギターのカッティングから迸る光を放つような音色が会場全体を包み込み、3人の演奏がひとつになる「ALWAYS BE HERE」がハイライトにふさわしい眩い景色を作り出す。そして、“ラスト2曲!”と陶山が声を上げ、「リブラ」「タイセツナモノ」とたたみかけたラストスパートの勢いはそこで止まらず、アンコールに応え、ステージに戻ってきた3人はフォーキーな曲を転調で盛り上げる「こころ」に加え、アップテンポのロックナンバー「水銀灯ウォッチャー」を披露。
その2曲を演奏する前に“日常の中で自分たちの音楽を聴いてもらえることが本当に嬉しくて、みなさんの中に俺らの音楽があるのかと思うと、めちゃめちゃ幸せなんです”と語った陶山は続けて、“幸せなんですけど、もっともっと多くの人の心を支えられるような音楽だと自分で信じているので、これからもそれを届けにいきたいと思っています!”とダメ押しするように改めての決意を口にした。
『ABH』のリリースインタビューで、“もともとまったくライヴハウスに通ってこなかったという出自を持つ自分がライヴシーンに出ていって、やっとやるべきライヴが見つかった気がしています”と陶山は語っていたが、この日、ステージの真ん中に躍り出るようにギターソロを弾き、熱っぽく観客に語りかけた陶山をはじめ、自信に満ちあふれていたように見えたメンバー3人の姿に、前回のツアーファイナルの時以上にPLOT SCRAPSのこれからが楽しみになったのだった。
撮影:スエヨシリョウタ/取材:山口智男
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