MASH A&R presents『Treasure Tour』
出演3バンド予習コラム Vol.2 〜Y
AJICO GIRL編〜

Panorama Panama Town、YAJICO GIRL、ユレニワによるスプリットツアー『MASH A&R presents「Treasure Tour」』が10月14日からスタート。3組で全国をまわりつつ各地に対バンを迎える形式で、名古屋、新潟、大阪、岡山、福岡、東京の計6公演で、ツアーファイナルは11月11日、東京・Spotify O-Crestで行われる。SPICEでは同ツアーの開催を記念し、主催3バンドの紹介記事を掲載する。
この記事ではYAJICO GIRLにフォーカス。四方颯人(Vo)、吉見和起(Gt)、榎本陸(Mm.)、武志綜真(Ba)、古谷駿(Dr)の5人組で、2012年に結成、2016年の『MASH FIGHT! Vol.5』でグランプリ獲得。短いスパンで新曲を発表する多作家であり、ストリーミング配信サービス内のプレイリストでこのバンドの名前を見かけたことがある人も多いのではないだろうか。今年に入ってからは5曲入りの『Retrospective EP』と新曲2曲=「Airride」「寝たいんだ」を配信リリース。さらに10月19日には「美しき町」の配信も控えており、こちらは11月9日にリリースされるEP『幽霊』からの先行シングルに位置付けられている。
ディスコグラフィにおける転換点は、2019年8月リリースのアルバム『インドア』だろう。それまではもっとギターロック然とした作風だったが、『インドア』以降、R&Bやヒップホップ、ビートミュージックを自分たちなりに咀嚼したエレクトロニックな音像に。フランク・オーシャンやチャンス・ザ・ラッパー、ケンドリック・ラマーらの作品から刺激を受ける中で、日本のバンドシーンがブラックミュージックの世界的な盛り上がりにアジャストしていないことを自覚、その流れに素直に向き合って音楽を作っていこうという判断に至ったという。自身のスタンスに“Indoor Newtown Collective”という名前をつけて活動するようになったのもこの頃からだ。
ループミュージックのような心地よさとメンバーの熱量がグッと表出するような瞬間、その両方を兼ね備えたYAJICO GIRLのライブでは、バンドのグルーヴに身を委ね、ゆったり自由に踊るのが楽しいだろう。予習におすすめの1曲としては『Retrospective EP』収録の「VIDEO BOY」を紹介したい。大人になった今の立場から“あの頃”を懐かしむ甘酸っぱくも切ない曲。一つのリズムを軸に展開するバンドサウンドや韻を踏みまくる歌詞は生で聴くとさらに気持ちよく、思わず身体が揺れてしまうような感じだ。慣用句を上手く取り入れた歌詞表現、子音と母音を接続させて滑らかに発音する2番Bメロのボーカルなど、ソングライター&ボーカリストとしての四方の手腕も光るこの曲は、シュールだがキュートなMVも併せてぜひ。

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