工藤晴香

工藤晴香

【工藤晴香 インタビュー】
今までリリースしてきたものとは
ちょっと違いを見せたい

『流星列車』を作るにあたって
妥協したくない想いが強くあった

歌の話が出ましたので、続いてヴォーカルについて話しましょう。今作のロックチューンの歌は譜割が細かく、言葉が詰まったものが多いので、難易度が高い気がします。

激しい曲はめちゃめちゃ難しかったです。ただ、歌のディレクションをしてくださる方がソロデビューしてからずっと同じ方で、“慣れてきたね”とは言われました。私自身の中にも、平地さんの曲をずっと歌っているから特徴みたいなものを掴めてきたかなという感覚はありますね。あと、耳中(レコーディングする時のヘッドフォンのモニターバランス)を、ちょっとドラムを大きくして歌ったりしました。

歌うだけでも大変なのに、曲によって歌の表情やキャラクターを変えているのも印象的でした。

歌詞を書いている時、ざっくりと“こういうふうに歌おうかな?”みたいなことを考えていて、プリプロでそれを試すんですよ。で、“その感じでいこう”だったり、“もうちょっと年齢を上げられる?”と言われて変えてみたり。そんなふうにいろいろ調整して、歌の表情や温度感は決め込んでいきました。

歌の年齢を上げてみようと言われて、それに対応できるというのはすごいことですよ。その辺りは役者ならではだと思います。

あぁ、確かに。私が歌うことしか経験していなかったら、年齢を上げるように言われても“はて?”という感じかもしれないですね。そういう意味では、声優をやっていて良かったと思います。

表現力の高さが奏功して、今作は歌の表情の幅がより広がっていますよ。

ありがとうございます。歌を録っている時はあまり分かっていなかったんですけど、アルバムを聴いていると“あっ! ちゃんと表情が変わっている”って思うんですよ。そういうふうに自分でも成長を感じています。

それぞれの曲はもちろん、例えばAメロはキュートで、Bメロは少し大人っぽくなって、サビは華やかというように、一曲の中でも表情を細やかに変えていますよね。では、ヴォーカルレコーディングで、特に印象が強く残っている曲を挙げるとしたら?

歌いやすかったのは「Real me」ですね。この曲のレコーディングはすごく楽しかったです。ライヴをイメージして、ライヴのノリで歌ったので。逆に難しかったのはバラードですね。バラードは難しいです、やっぱり。バンドをやっている時もバラードは演奏がすごく難しいと感じるんですけど、歌も難しい。遅い曲は誤魔化しが効かないというか、本当に細かいところまで気を配らないといけないから。特に「家路」が難しかったですね。温かみのある声で最初から最後までずっと歌うということで、すごく集中して録りました。

「家路」のウォーム&キュートなヴォーカルも表情が絶妙です。「No scenario」の歌録りはいかがでしたか?

時間がかかりました。構成が全部違うし、歌のパートもめっちゃ多いので。“Aメロ、Bメロ、C、D、E、F、G、H…なんだ、これ?”って(笑)。勢いでいけるところはワァーと歌いましたけど、“いつ終わるんだろう?”と思いながら歌っていましたね。録り終わったと思っても“あっ! まだ残っていた…”みたいな(笑)。だから、時間がかかってしまったんですが、歌録り自体はすごく楽しかったです。

そんな『流星列車』は充実した内容で、なおかついい意味でジャンル分けできない独自の魅力にあふれた一作に仕上がりましたね。

ジャンル分けできないとしたら嬉しいです。確かに“ジャンルは何ですか?”と尋ねられた、自分でも“うーん…”ってなります(笑)。

そこは“工藤晴香というジャンルです!”と答えるといいのでは?

それはロックですね!(笑) 『流星列車』を作るにあたって妥協したくない想いがすごく強くあったから、“絶対に絶対に妥協したくない! 後悔したくない!”と思って制作に挑んでいたんです。ずっとアルバム作りに集中していたし。アルバムが出来上がってからは毎日何回も聴いているんですけど、何回聴いても“いい…”という感じなんですよ(笑)。“めっちゃええやん!”っていう(笑)。いいアルバムが作れた手応えを感じているので、早くみんなの反応を知りたいですね。だから、“早く3月30日(アルバムリリース日)にならないかな? 早くライヴの日にならないかな?”と思っています。

ライヴと言えば、豊洲PITでワンマンライヴ『「Vogel」-Under the Sun- / -Cry for the Moon-』が開催されますね。

タイトルの“Vogel”というのはドイツ語で“鳥”という意味で、この日は2回回しでやります。昼の部のサブタイトルが“Under the Sun”で、夜の部は“Cry for the Moon”。コンセプトっぽい感じにしたい気持ちがあったので、そういうかたちでいくことにしました。この2年で曲がすごく増えたから、いろんなことに挑戦したいんですよね。もちろん昼夜それぞれだけを観ても楽しんでいただけるライヴにしようと思っていますけど、両方を観ていただけると本当に嬉しいです。アルバムと同じようにライヴも妥協せずに、後悔しないように挑んで、同時に思いきり楽しみたいと思っています。来てくださったみなさんと一緒に楽しい時間を過ごしたいですね。

取材:村上孝之

アルバム『流星列車』2022年3月30日発売 CROWN GOLD/日本クラウン
    • 【初回限定盤】(CD+M-CARD)
    • CRCP-40640
    • ¥5,000(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • CRCP-40641
    • ¥3,000(税込)

ライヴ情報

『工藤晴香ワンマンライヴ「Vogel」-Under the Sun- / -Cry for the Moon-』
5/04(水) 東京・豊洲PIT
1部:-Under the Sun-
開場 14:00/開演 15:00
2部:-Cry for the Moon-
開場 18:00 / 開演 19:00

工藤晴香 プロフィール

クドウハルカ:高校生時代からモデルとして活動し、2005 年にテレビアニメ『ハチミツとクローバー』の花本はぐみ役で声優デビュー。その後も数多くのアニメに出演し、トップ声優としての地位を確立。16 年から『BanG Dream!』の氷川紗夜役を担当し、Roselia のギターとしてライヴ活動も展開。声優、ミュージシャンに加え、イラストレイターやデザイナーとしても活動するマルチクリエイター。20年3月、ミニアルバム『KDHR』でメジャーデビューを果たす。工藤晴香 オフィシャルHP

「Under the Sun」MV

『流星列車』全曲試聴トレーラー

OKMusic編集部

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