【工藤晴香 インタビュー】
ポップでキャッチーな
胸キュンソングに初チャレンジ
1stシングル「Under the Sun」はギターをメインにしたロックサウンドはそのままに、夏らしいポップさも持った楽曲で、歌詞は初の胸キュンソングにチャレンジ! さらにカップリングには「MY VOICE」と「KEEP THE FAITH」のリミックスを収録し、工藤晴香の新たな一面を見せてくれる一枚となっている。
人生が映画だとしたら
終わりが絶対にある
今回は1stシングルということで、どんなビジョンを持って制作に入られたのでしょうか?
アーティストデビューして一年ちょっと経って、その間にミニアルバムを『KDHR』(2020年3月発表)『POWER CHORD』(2020年10月発表)と2枚もありがたいことに出させていただけて、その上での1stシングルなので、私のことを知らない人でも“工藤晴香1stシングル”という文字を見て、私を初めて知る取っかかりになる、すごくいいきっかけだと思っています。それで前作のミニアルバムと同じように、強い曲でバチバチのロックをやるのもありですけど、もっとキャッチーでポップな分かりやすいテイストの曲にするのもいいかなと思って、こういうシングルになりました。
今回は詞先ですか? 曲先ですか?
曲先です。音源を聴いて夏っぽいと思ったので、7月のリリースですし、それなら夏を感じる曲にしようと思って歌詞を書き始めました。イントロのシンセの感じが好きで、そこからのバンドインでギターが鳴って…今までと違ってキャッチーではあるけど、作曲編曲の平地孝次さんの色がすごく出ているし、なおかつ最後の大サビで転調するところが、すごくエモーショナルだと思いました。
歌詞はラブソングですね。
今回リリースするにあたって、“恋愛ソングを書いてみるのはどうでしょうか?”という提案があったので。今までは“工藤晴香はこういう人間です”とかの名刺代わりのような歌詞だったり、前に進む勇気とか強さとか、人の背中を押す応援ソングにしたかったというか、そういうメッセージ性の強い曲が多くて。でも、いろいろな曲に挑戦したい気持ちもあるし、今回は1stシングルで曲もキャッチーなものに挑戦したから、歌詞もチャレンジしてみようと思って恋愛ソングの歌詞を書きました。
初チャレンジの恋愛ソングというところで時間はかかりました?
過去最短でした!(笑) 今までは自分でテーマを見つけるところから始めなくてはいけなかったけど、今回はテーマがあったので。それに、最初から机に向かって書くのではなく、移動の時や仕事の空き時間にぼんやり“どうしようかな?”とずっと考えていて、材料がたくさん集まっていたから、いざ机に向かって書き始めた時はブワ~ッと一気に書くことができました。
7月にライヴがあるので、それに向けたファンへのメッセージも重ねているのかなと思いました。
歌詞を書くにあたって、私の経験とか私が感じたものにはしたくなかった…それこそ、“さよなら”してしまってもう会うことはないけど、私は前に向かって進んでいくという意味にとらえることもできるし、“今は会えないけど、きっとまたいつか会えるよね”という意味にもとらえることができるので、後者の意味だとファンとかライヴと重ねることができると思います。それに、私個人の歌にならないように、映画をモチーフにすることで、少し離れたところから見ているような視点にもなっています。
なぜ映画をモチーフに?
私はすごく映画が好きなので、自分の思い出や記憶が蘇る時って、映画が再生されるような感じだと思ったんです。
なるほど。映画になぞらえて《続編は無いよ》って言ってるのもいいですね。
人生が映画だとしたら終わりが絶対にあって、続編はないじゃないですか。恋愛もひとつの恋が終わって次の恋が始まるとしたら、それはもう続編ではなく新作だと思うので。
では、レコーディングはどうでした?
ジャケットの撮影終わりで臨んだんですけど、思いのほか疲れていたみたいで、“あぁ、今日は無理だな”と思ってサビだけ別日に録ったんです。自分からそういう申し出をしたのは初めてですね。今までなら何が何でもその日のうちに終わらせたいから、そのまま突っきっていたと思うんですけど、今回は自分の中で“それは違うな”と思ったので。
明確なイメージがあって妥協したくなかった?
そうです。100パーセント元気な状態でなければ、サビが違うものになってしまうんじゃないかと。その日は頑張っても70パーセントくらいだったんです。後日100パーセントで録ったので、イメージ通り完璧なものが録れました。
とはいえ、いつもよりやわらかく歌っている印象でしたよ。
キャラクターを作り込まずに歌うことを意識した結果、そういう歌になりました。いつもは少年っぽくとか、大人の女性っぽくとか、自分の中でキャラクターを結構考えて歌っているんですけど、この曲に関しては等身大の私のまま歌おうと決めていたので。ただ、Dメロの部分でメリハリをつけることは意識しましたね。
《We talked about》は少し可愛い感じもありました。
楽器の鳴りが若干少ない部分なので、声が目立つようにちょっとだけ味をつけています。
そして、MVは映画仕立になっていて、ゾンビに追われて戦うという。
映画はSFなど宇宙ものを中心に、恋愛モノやコメディー、ヒューマンドラマなど何でも好きなのですが、ゾンビ映画も好きなので。自分ならどこに逃げるとか、どうやって戦おうとか、考えるのがすごく楽しいんです。いつかゾンビ映画に出てみたいと思っていたので、今回MVで夢が叶いました(笑)。
ガンアクションもカッコ良かったです。
舞台で拳銃を持ったことはありましたが、今回の撮影で使ったものは本格的で、すごく重かったです。ショットガンも初めて撃ったんですけど、あれって一回ごとにガシャンってやらなきゃいけない上に、リップシンクもしなきゃいけなかったので、一度にやることが多くて頭がパニックになりました(笑)。