工藤晴香

工藤晴香

【工藤晴香 インタビュー】
今までリリースしてきたものとは
ちょっと違いを見せたい

すごいのできちゃったけど、
みんな、分かってくれるかな?

先ほど話があったように、『流星列車』はラウドチューンに限らず「HOPE」「家路」「Scar」という良質なバラードも3曲収録されていて。

はい。アルバムという話が出た時点で、バラードは絶対に入れたいと思っていました。それに、バラードは日本語で歌詞を書きたいというのがあったので、メロディーは分かりやすくしてほしいと平地さんにお伝えしました。アップテンポの曲は裏のリズムを活かしたメロディーが多いので、日本語だとハマらないから英語を混ぜて歌詞を書くんですけど、バラードに関しては全部日本語で、分かりやすく歌いたかったんです。平地さんがそれに応えてくださって、ありがいことにバラードは全部日本語で歌えました。

自身が表現したいものが明確なことが分かります。バラードはそれぞれテイストが違っていることも注目で、中でも抒情的な楽曲と身近な視線の歌詞の取り合わせを活かした「家路」は、アルバムのいいアクセントになっていますね。

「家路」はちょっと恥ずかしいというか、昔の自分だったら絶対に書けない曲です。壮大な曲というよりは、今おっしゃったように、すぐ側にある、実際に触れられるものを題材にした歌詞を書きたいと思っていたんです。そんな中、甥っ子が生まれまして、初めて会った時に“生まれてきて良かったね”と思って、その感情を曲にしたいと思ったんです。ただ、“旅”というテーマに沿うことができるのかという想いもあって。でも、いろいろ考えていたら“家路”という言葉が浮かんできたんです。

旅をテーマにしたコンセプトアルバムなるとファンタジックな作品をイメージしますが、リアルな心情を入れ込むというのはいいですね。さらに、今作はマニアックな曲も収録されていて、まず「Real me」はヘヴィなギターリフやサイバーなキーボードなどを活かしたアグレッシブなナンバーになっていて。

昨年はライヴをたくさんできて、今までとまた違う景色を見れたというのもあり、ライヴで盛り上がる曲が欲しいと思ったんです。あとは、自分が歌っていて楽しい曲を書きたいというのもあったので、韻を踏んでいるところがあったりとか、英語と日本語をごちゃ混ぜにして、何を言っているのか分からないけど楽しそうというような歌詞を書きました(笑)。「Real me」は自分が楽しみたいという気持ちと、ファンのみんなと一緒に楽しみたいという気持ちを集約した曲ですね。それに、この曲の歌詞は結構強めなイメージで書きました。

楽曲にフィットしたロック感のある歌詞になっていますね。それこそ、ややSな歌詞といいますか。

それは…どうなんでしょうね?(笑)

工藤さん自身が“S”ということでははなくて、ライヴの時にはそういう面が出るのではないかと。

この曲はプリプロの時、あえてキーを下げたんですよ。もともとのキーだといつもの私というか、可愛くてポップな感じになるという話になって。それで、“試しにキーを下げて歌ってみる?”と言われて、それで歌ってみたらめちゃくちゃカッコ良くなったんです。いつもよりキーが低いこともSっぽさを感じさせる要因になっているのかもしれないですね(笑)。

新たな工藤さんの魅力に触れられる曲と言えますね。そして、スピーディーにどんどん場面が変わっていく「No scenario」、この曲は本当に驚きました。

みなさん、そうおっしゃいます(笑)。一般的な曲というのは、Aメロがあって、Bメロがあって、サビがあって、それを繰り返してDメロがあって、サビで締める…みたいな構成になっているじゃないですか。平地さんは面白い曲をたくさん作られている方なので、だったら全部のパートが違う曲があるといいかもと思って。それで、そういう曲を作ってほしいとお願いしました。

えっ!? この曲も工藤さんのアイディアだったんですか?

はい。“構成が全部違う曲をお願いしまーす”とお願いしたら、本当に全部違う曲が届いたので、“わぁー、すごい! 全部違う! …どうしよう?”ってなりました(笑)。“歌詞が書けなーい”ってなって、最初ちょっとだけ書いて、その後2~3カ月寝かせたんです。プリプロの時も歌詞が穴ぼこだらけの状態で(笑)。自分でこういう曲が欲しいとお願いしたのに“私、この曲が分かりません”って(笑)。で、寝かせていたら“あの曲どうなったの? 書けたの?”と訊かれて、ドキッとなって“が、頑張ります!”となったら意外とサァーッと書けたんですよね。“あぁ、良かった〜”って(笑)。寝かせて他の曲に取りかかっている間もこの曲はずっと心の中にあったので、無意識のうちにイメージが固まっていったんでしょうね。

中間のセクションはただ単に場面が変わるだけではなくて、テンポ自体が変わっていたりしますよね。そういう展開にしっかりフィットした歌詞とヴォーカルになっているから流石だなと思いました。

良かったです(笑)。この曲は歌も遊びました。「No scenario」はすごい曲だと思いますね。1曲なのに3~4曲分のカロリーがある(笑)。カオスですよ、本当に。すごく面白い曲になっているので、ぜひ聴いてほしいです。

同感ですし、こういう曲を工藤さん発信で作られたというのは驚きましたし、ワクワクしますね。

怖かったんですよ。“すごいのできちゃったけど、みんな、分かってくれるかな?”みたいな感じで。なので、そう言っていただけて安心しました(笑)。

OKMusic編集部

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