ため息が全部お金になったらいいのに…

鈴木詩子の「私が出会ったウンザリ女」

第19回「嫉妬深い女にウンザリ」

 部屋の大掃除をしていたら昔の写真の束が出て来たんですよ。
懐かしいな~と、思い見ていたら…
4~5歳の私が転んで泣いてる上を、自転車のまま横断しながらニコニコ笑ってる6~7歳位の女の子の写真が出てきたんです。
(ひ、ひどい…コレって思いっきりわざと自転車で私の事ひいてるじゃん…て、いうかこの子誰?)
と、思い…母親に写真を見せてみたんです。

「あぁ…これ、近所に住んでたいとこのKちゃんだよ、覚えてない?」
「う~ん…あんまり…」
「Kちゃんはずっと周りの大人にチヤホヤされて姫扱いされていたの…でも、詩子が生まれたらみんな詩子ばっかりかまうようになって…嫉妬してよく意地悪してたのよ」
「やっぱコレ本気で憎くてやってるんだ…」
「詩子が赤ちゃんだった頃なんて、こんなもんじゃなかったよ~」
「えっ…どんな?」
「泣き声がするから見に行ってみたら…仰向けに寝てる詩子の上に馬乗りになって、何度も往復ビンタしてたり…片腕だけ掴んで、その辺引っ張り回してたり…口いっぱいにポップコーン詰め込まれてたりとか…ホント危なくて目が離せなかったわよ」
「ちょっと、なんでKちゃんの事怒らないの!? ちゃんとやめさせてよ~!」
「もちろん怒ったわよ! そしたら『ぎゃーー!!』って凄い声で叫びながらキレて、その辺にあった紙切れにライターで火をつけ始めたのよ」
「あ、危ないって!」
「そうなのよ~! 慌てて座布団かぶせて消したら、Kちゃんがその上に金魚鉢をひっくり返して…焦げ臭いは、水浸しだは、金魚はビチビチ跳ねてるはで…もう、地獄絵図よ…」
「Kちゃん怖い…そういえば、Kちゃんて今何してるんだろ?」
「言ってなかったっけ? 随分若いうちに建設会社の社長さんと結婚したよ」
「ふうん…なんか納得…ずっと姫体質のまま大人になったのかな?」
「あっ…詩子は自転車でひかれても何も言えない頃のまま…大人になっちゃって…だから結婚出来ないんだ?(ニヤニヤ)」

「ハッ…」

なんだか、ストンと腑に落ちてしまった自分が悲しくて…写真の束をまた押し入れの奥に戻したのでした。ウンザリ☆

【鈴木詩子:プロフィール】
すずきしいこ…漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなアイドルは嗣永桃子。著書に『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)

チヤホヤされたい女子高生・桃子は、いつだって残念な感じだった。でも、そんなのもうイヤ! 立ち上がった桃子の熱い想いは、クラスのみんなに届くのか!?
オススメコミック:『女ヒエラルキー底辺少女』[コミック](青林工藝舎)/著:鈴木詩子

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