【宮野真守 インタビュー】
“こんな自由が待ってるなんて”と
歌える日が必ず来る
恋の駆け引きや
やり取りの面白さみたいなものを
描こうと思った
「透明」はサウンドもビジュアルも心が浄化されるような作品になりましたが、カップリングはポップでさわやかな「残照」に、クールなダンスチューンの「Question」と、また味わいの違う曲が揃いましたね。
今までの音楽活動の中で、やっぱり僕らはライヴを意識してバラエティーに富んだ楽曲を表現してきましたからね。「残照」は作ったのが去年の秋冬で、その頃はちょうど太宰 治の「御伽草子」から「カチカチ山」を題材にした舞台をやっていたんですよ。その時に、純文学の世界観っていいなと思ったんです。実は一方的だったり、強すぎる想いだとかが文学的で美しい言葉で描かれていて、そういう見せ方って素敵だなと。
言われてみると、純文学って純な分、煮詰まっているというか…
そう! いろんな想いが混ざっていて全然純じゃないんですよ(笑)。だから、「残照」でも素敵な言葉の裏にあるのは、かなり一方的な強い想いだったりするんです。なのに、曲調はトレンドを押さえたさわやかなポップさがあって聴きやすいっていう、そのミスマッチ感が面白いんじゃないかなと。
ええ。曲はさわやかですが、歌詞を読み込んでいくとなかなかに重いですね(笑)。
ちょっと怖いですよね(笑)。太宰 治の世界観って読めば読むほど、この人って本当に自分を卑下して“自分なんてダメだ!”って言ってるくせに実は自分のことが大好きだっていうのが見えてくるんですよ(笑)。7月には「カチカチ山」の舞台がCSで放送されるようなのでぜひご覧ください! それを観た上で聴くと、また聴こえ方が変わってくると思います(笑)。
同じ恋愛を主題にした曲でも「Question」はもっと洗練されたイメージがあって、ある意味健全というか。
恋愛を含めた曲が欲しいという要望がプロデューサーからあったんですね。でも、ゼロから恋愛の曲を作るっていうのがなかなかイメージできなかったんです。なので、恋愛は脇に一度置いて、“今って世間で何が流行ってるんだろう?”と考えた時に出てきたのが謎解きで。実際、自分も役者仲間と脱出ゲームとかに行ったりするし、きっと謎を解いていくっていうドキドキ感と能動的な感じが魅力なんだろうなと思ったんです。そこからイメージを引っ張ってきて、恋の駆け引きというか、そういったやり取りの面白さみたいなものを描こうということになり、作詞曲をしてくださったHIROさんが“Question”というタイトルをつけてくれました。あと、いつライヴができるか分からないとはいえ、やっぱりダンサブルな曲は僕らの楽曲に必要だろうと、サウンド的にはその方向性で作っていきました。
宮野さん以外の方のコーラスが入っているのも非常に珍しいですよね。
ボーイズアイドルグループみたいな曲にしたくて(笑)。こういう曲はいろんな声が聴こえたほうがカッコ良いんじゃないかと前々から感じていたので、HIROさんにちょっとだけコーラスに参加してもらいました。自分で歌って自分で“HEY!”とか合いの手入れるのはちょっと恥ずかしいし(笑)、たまには誰かに入れてもらってもいいんじゃないかと。
お話をうかがっていると、やはりライヴというものは宮野さんの根底にずっとあるんですね。
そうですね。ファンのみなさんも待っていてくれていると思います。