川谷絵音が語る、FM802の春の「ACCE
SS!」キャンペーンソングーー「この
タイミングで迎える春は、多分みんな
今までと違う」

indigo la Endやゲスの極み乙女など4つのバンドを掛け持ちするだけでなく、楽曲のプロデュースや提供までをもをこなす川谷絵音。高校生の頃からラジオを聴き始め、当時はラジオネームが有名になる程リクエストやコメントを送っていたという。そんなラジオヘビーリスナーの川谷が、大阪のラジオ局FM802が毎年春に実施する「ACCESS!」キャンペーンのキャンペーンソングを手がける事となった。このキャンペーンはFM802がゆかりのあるアーティストと楽曲を制作する企画で、2008年から開始されており、14作目となる2021年のテーマソング「春は溶けて」。川谷が作詞、作曲し、川谷本人と北村匠海 (DISH//)、長屋晴子 (緑黄色社会)、ホリエアツシストレイテナー)、三原健司 (フレデリック)、yamaの6名から結成されたユニットRadio Bootsy(レディオブーツィー)が歌唱を担当する。同楽曲を独占オンエアするFM802で『ROCK KIDS 802 -OCHIKEN Goes ON!!-』(毎週月曜〜木曜、21:00〜23:48)などを担当するDJ 落合健太郎をインタビューアーに迎え、この曲を作る上でのこだわりを訊いた。
ーー3月30日、31日にインテックス大阪で開催されたFM802主催のフェス『START UP!!‐ロックの春2021-』では、indigo la Endに出演いただき、縦ノリが続いた中で横揺れの曲調のバンドがあることが素敵でした。当日はドラムも横に並べていましたね。
ツアー中からメンバーを横並びにして音を作っていたので、会場の大きさは関係なく引き続きその体制でやりました。みんなが見えていいかなと。ドラムが奥にあると見えないじゃないですか。
川谷絵音
ーーそうですね、それにしてもカッコ良かったです。今回は4月から放送されるFM802の「ACCESS!」キャンペーンソングの話を伺えればと思っています。絵音さんに今年の「ACCESS! キャンペーンソング」「春は溶けて」の作詞、作曲を手掛けていただきました。最初にFM802からキャンペーンソングのオファーが来た時はどう思われましたか?
歴史ある企画で、元々2018年の「栞」(作詞、作曲:クリープハイプ 尾崎世界観)や2019年の「メロンソーダ」(作詞、作曲:aiko)も聴いていました。これまであんまり春の曲は作ったことがなくて、どうしようかなと思ったのですが、春に希望を感じる曲は自分に合わないなと思っているので悩みましたけど、すごく嬉しかったです。
ーーこのアクセスキャンペーンソングは、言ってみれば丸投げではなくてFM802も制作に携わるので、スタッフとのやりとりも多かった思います。やりづらさを感じたりは?
いつも作ってる最中はもっと孤独なので、いろんな人が関わってくれることが新鮮でしたね。やりづらいとかは全然なくて、むしろ助かりました。
ーー今回は絵音さん含めた6人のシンガーが参加しています。これだけの人数が参加する曲を作ったことはありますか?
グループはありますけど、複数シンガーが参加する曲は初めてですね。色んな人が歌うことが前提にあったので、キーを考えるのが難しくて。高いけど男性でも歌えて、でも低くしすぎない、男性と女性の間を狙って作りました。
川谷絵音
ーーストレイテナーのホリエアツシさんが、何回か自分の音域の限界があったと話されてましたね(笑)。でもそのギリギリのところがキュンとくるというか、心を掴まれる部分だなと。
あそこまで上げないと、女性が歌う時にあまり熱が伝わらないから、何回かキーを変えましたね。
ーーキーが高くなっていくところに、歌の熱量が生まれたりするんですか?
そうですね。熱量で言うと、製作初期にサビを歌わない人もいるかもなと思い、それだともったいないなと思い、Bメロもサビのようにしました。熱量的にはBメロの方が高くなるんですけど、サビを2段階にして、どっちも頭に残るようにしましたね。逆にサビは、春にドンと盛り上がるイメージを持っていないので、ゆったりしてみました。これまでのアクセスキャンペーンソングはサビに勢いがあったので、それも考えて最後にテンポをちょっと速くしましたね。
■春の儚さをさりげなく醸し出す「椿」の花言葉■
ーー僕も聴かせていただいて、とても優しい曲だなと思いまして。僕自身も春はそこまで得意な方ではなくて、例えば変わらなきゃいけないと周りから思わされたり、変わってない自分が周りに置いていかれるような感覚に陥ったりします。そんな気持ちと、この曲は寄り添ってくれますね。今回は歌詞と曲のどちらを先に作ったのですか?
メロディーとコードが先ですね。歌詞で悩んでいた時に、FM802の方から「ディスタンス」というテーマをもらって、そういうのもあったなと気づかされました。それまであまり春とコロナの状況をリンクさせていなかったんですが、僕も常々春に距離を感じていた人間なのでテーマとして面白いなと。実際コロナ禍で人との距離ができたことによって、自分に集中できる時間が生まれて、人のことを気にしすぎていたなと気づけたりもして。このタイミングで迎える春は、多分みんな今までと違うんだろうなと。これまでの春はずっと人が近くにいるから、その人のことが気になって自分がダメに思えることも多いかと思うんです。でも自分1人で過ごす時間が多い中で春になっていくから、隣の芝生が青く見えづらいというか。そういう意味では春に人との距離があることはよかったんじゃないか? みたいなところから、歌詞を書いて完成させました。テーマをもらって助かったという感じですね。
川谷絵音
ーー人生の浮き沈みも歌詞の中で感じます。歌詞には椿やひばりが出てきますが、春といえば多くの人が桜を浮かべる中で、椿を選んだのは理由があるのですか?
歌い出しに、歌詞がスッと入ってくる春のものが欲しいなと思ったんです。桜満開のイメージではないと思い調べていく中で、春の季語でもある椿の花言葉が「控えめな素晴らしさ」と知って、この曲に合っているなと思って。なので椿を歌い出しに持ってきました。
ーー確かにこの絵音さんの歌い出しは、少し不安が残るような歌い方になっていますね。ところで僕も調べましたが、椿には種類がたくさんあるんですね。
ありますね。色によって花言葉も結構変わるみたいです。indigo la Endの「チューリップ」では、花言葉が色によって変わることを書いたんですけど。今回は椿の花言葉をコレと自分で決めようと思い「控えめな素晴らしさ」だけを抽出しました。色によって変わったり、種類によって全然違ったり、花言葉は面白いですね。
ーー面白いですよね! まさしくindigo la Endの「チューリップ」が大好きで、曲を聴いたりミュージックビデオを見て共感していました。もう1つ、ひばりも春の季語なんですか?
そうですね、スピッツに「ヒバリのこころ」という曲あって。これまでの曲にもたまに、わかる人はわかるオマージュを入れていました。スピッツのファンの人にはまた入ってると思われるかもしれませんが、そういうのもいいかなと。
ーートオミヨウさんのアレンジはいかがでしたか?
僕だったらやらないだろうなというアレンジが多くて勉強になりました。トオミさんは曲を汲む力が高いですよね。以前トオミさんと対談させていただいた時に、中性的な感じのアレンジが多いから好みが似ているなと思っていました。予想通り好みが合って、素晴らしいアレンジでした。
川谷絵音、トオミヨウ
ーー曲の最後にみんなで合唱するパートがありますが、どういうふうに進めたのですか?
人によっては歌詞をどう捉えてもらえるかわからないじゃないですか。色んな人に歌ってもらうから、最後にみんなで歌詞がないコーラスを歌って終わると、どのファンも受け入れやすくなるんじゃないかなと思って。こんなに個性的な声が集まったらどうなるか分かりませんでしたが、せっかく色んな人に歌ってもらうので、声は合わさった方がいいなと思っていて。これで終わってもよかったのですが、合唱の後に不気味で不穏なピアノで締めてみました。少しの切なさを残したかったんですよね。
ーー今回は「春は溶けて」のオンエア直前にインタビューしています。これからFM802で流れていきますが、ドキドキしますか?
そうですね、いつもは自分のバンドの曲は最初にファンの人が聴いてくれますが、今回はFM802のリスナーの方達なので、初体験にドキドキします。変な緊張感がありますね。
ーー年月を重ねるとこの時を思い出させてくれる、写真のアルバムみたいな曲になっていくと思います。素敵な曲を届けてださってありがとうございます。
ありがとうございます。FM802さんとともにこの曲を届けていきたいと思っています。
川谷絵音
取材=落合健太郎 文=川井美波 撮影=高田梓

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